26話 前世と今世では色々価値観が違うって面白いと思いました…。
「お待たせしましたー! カボチャのパイとジャガイモとベーコンのキッシュをお持ちいたしましたぁ~。」
元気な声と共に、目の前にはMサイズのワンホールのパイとキッシュの香ばしい香りが漂う。その上、ウエイトレスのお姉さんが切り分けてくれるとの事でお願いした。パイにナイフが触れる度にパリパリと心地のいい音がなっている。それと同時に焼きあがったカボチャの甘い香りが漂って、美味しそうだ。本当に! キッシュは1度パリと音がなった後はすっとナイフが通っていた。
「お、おお~。いい匂い~! いい音ぉ~。やっばい。匂いでわかる! 絶対に美味しい!」
音と匂いで食欲がそそられる!
「はい! この国の1番人気ですので! あ、お熱いのお気を付けてください! どうぞ!」
私の声に反応して、元気にウエイトレスさんが答えてくれた。
「ありがとうございます! わーい!」
取り皿に分けてもらい、目の前には切れにカットされたカボチャのパイとジャガイモとベーコンのキッシュ。
「んじゃ。食うか。」
「うん。いただきます。」
手を合わせてたから、フォークを手に取り、カボチャのパイから頂く。
「あつ…ぃけど、甘くて美味しい! 煮込んだり焼いたりしたら甘くて美味しくなる!」
てか、これ、デザート…ケーキと同じ部類じゃん! うまうまだぁ~。
「はは。旨そうに食うなぁ。キッシュも食えよ?」
「はぁーい。」
口にモノが入った状態だからちゃんと話せないけど、これ絶対にキッシュも美味しいよね!? そんな私を嬉しそうに見ている姿が目に映る。なんとなく。本当になんとなく思った。
「イオ。」
「ん?」
「はい。”あーん”」
切り分けたキッシュをさらにフォークが刺さりやすい一口サイズに切り、笑って口の前に差し出す。
「…。ん。」
一瞬だけ驚いた顔をしたが、素直に口を開けキッシュを食べた。ありゃ…。熱くないのかな?
「美味しいね。」
「うまい」
「ねぇー。今度、イオ作って。」
「そうだなぁ。作り方調べておく。因みに何がご所望で?」
「うーん。あ、キノコは?」
「キノコ…キノコなぁ。確かに、出回ってはいるが、あまり食ったことねぇーな。」
「うん。結構、沢山種類あるのにね?」
不思議だ。前世では手の出しやす価格だったし、いろんなご家庭でよく出ていた。もちろん私もお世話になっていた。そりゃ、高級品のキノコ様はいらっしゃる! それに、この世界でもよく、森で見るし!
「まぁ、キノコって輸入品だからなぁ。」
「へぇ~。輸入品…? ってのは?」
え? ど、どういう意味!? 輸入品なの!? キノコ?? 森の中に生えてるのはもしや毒!? 毒キノコですか!? よくシスターと山菜採りついでにキノコ採ってギルドに渡して…ん? そう言えば、生まれてから、キノコ食べてなくね!?
「え?? ん? イ、イオ、どーいう?」
「”キノコ”ってさ。エルフの国からの貿易の輸入品なんだよ。」
「…え?」
キノコが?? え? あの、キノコが…? まさか、お、キノコ様…なの!? え?? 私の混乱を他所に、イオはさらに言葉を重ねる。
「まぁ、密輸とかもあるんだけど、田舎だとよく拠点にされがちなんだよなぁ。」
「へーえ。つまり、キノコはさぁ。」
キノコ…やっば。もしや、この世界でキノコは高価な品なの?? てか、勝手に摘んでギルドに渡してるけど、あれは…大丈夫なんだろうか…い、いや考えるのはやめよう。うん。
「高級品ってことだなぁ。」
「ひへぇ~。」
黙っておこう。私がどこで知って、採れることも…。怖い。そんな私の姿を見ながら既に、イオの中では確定していたなんて私の知る由もない。
「まぁ、でも、キノコなぁ。知り合いにキノコ作ってるやついるし、1回聞いてみるかぁ。」
キノコって高級品だったんだ…。この7年最大の驚きである。
そうこうしているうちに、頼んだキッシュもパイも食べ終わり…キノコがヤバいっていう記憶のほうが強いけど、めちゃくちゃ美味しかった!
「はぁ。ごちそうさまでした!」
「ああ。おすすめなことがあるな。」
ほくほくで店を後にした。後は、お土産を考えて渡すだけだ! まぁ、無難なものにしておこう。
「んで? お土産決まったのか?」
「まぁ、一応?」
「ふーん?」
興味なさそうだなぁ。もぉ…。店を出てから露出店が多くありそうな場所にきて、ここ1時間ほど見回ってる。まぁ、だからだろう。
「飽きたでしょう。イオ」
「ああ」
「だとは思ったけど! 隠して。ていうか、イオは決まったの? お土産。」
「ああ。」
「何?」
参考までに聞きたな。3人一緒ってことはない…よね? いや、でも。
「酒。」
「一応、教会なんだけど…お酒って…」
「まぁ、聖職者でも嗜む程度ならいいだろ。後は、シルバーが飲むし。」
いいのかなぁ~。飲酒って。うーん。
「んで? オペラは?」
「ああ。えーっと、あ! あそこのさ。」
指をさした先を見たイオがああっと言いながら頷いた。お、これはありかな?
「氷華ね。いいんじゃね?」
私あんまり聞いたことないけど、なんか綺麗にお花を保存できそうだし!
「だよね? 生花じゃないし! 好きなお花を氷華にしてくれるって。」
「ふーん。何本買うんだ?」
「1本かな。」
「あー。」
ちらっと、氷華の看板のしたの本数の価格表を見て頷いた。価格がすごいんだよね! 1本で銀貨2枚と…いや、泣くって! 高い!!
「めっちゃ高い! ギリギリなんだよね。持ってきたお小遣いだと!」
乙女ゲームの世界は、前世と大体同じだが、お札などは、無く”コイン”で支払われる。ただし、現状で、私が知っている事では…。西の国やら東の国はお札が有るかも知れないけど、今はわかんない!
因みに、金貨=5万円 銀貨=5千円 銅貨=500円 という感じみたいだ…。うーうん。計算は楽なのは楽。
また、ギルドに所属している場合は”ギルドカード”で支持払いができる。なんでも、ギルドカードには、受けた依頼の報酬分をチャージするか、コインにするかの2つの選択を選べるらしい。クレジットカード…じゃん! っと思ったのは言うまでもない。貴族には貴族専用のカードがあるとかないとか…。はははは。
「7歳だからね! 頑張ってお小遣い貯めたの!」
スタンプを押してもらって! 10回お手伝いしたら銅貨もらうか貯めるかを選んで一生懸命貯めたんだ! 頑張ったなぁ。私! さっきイオがお会計の時出してた。なんか、黒かったんだけど…見なかったことにしよう。
「1本でも、お土産としたらいいほうでしょう? 束なら神父様が買うよ。」
多分。氷華が1本でこの価格なんだから生花なんて買ったら、いろいろオプション付けられて金額がヤバくなりそうだし!!
「あいつなら、108本の薔薇の花束とか買いそだな。」
「そうだね。気持ちでもいいと思うんだ。薔薇108本…邪魔だよね。」
「花はご不満かな?」
「シスターは知らないけど、私は特に…できれば、食べられる方が嬉しいなぁ。」
薔薇を108本貰うのはいいんだけど、維持するのは大変だと思うんだけど。薔薇からジャムって作れたっけ?
「飴細工ならいいのか?」
「え? あーそうだなぁ。108本はいらないけど。飴はいいね。美味しいし!」
「そうか。」
「う、うん。」
え? 何々? なんか悩んでる?? なんで飴細工の話? あげる人いるのかな? そう思うと、一瞬、胸がモヤっとした。ん? 首をかしげてイオを見ていると気が付いたイオに花選ばないのかと言われた。
「花の種類どれにするんだ?」
「っあ、うん。」
言われて、選ぼうと並んでいる花を見ると、赤、青、黄の3種類で3本づつあった。
赤はアネモネ、ガーベラ、薔薇。青はヒヤリンス、リンドウ、ネモフィラで、黄色は、スイセン、ミモザ、マリーゴールドっと書いてあった…。よかった。私が知ってる花の名前もあったけど、どうしようかんぁ~。うーん。
「…迷うなぁ。」
「ふーん?」
薔薇は神父様が準備するだろうし…。シスターは何となく、黄色が似合いそうだし…ミモザかなぁ。でも、リンドウも捨てがたい! けど…うーん。
「んー。」
悩んでいると、店主さんが声をかけてくれた。
「1番人気はやっぱり薔薇だね! お嬢ちゃんは隣の恰好いい兄ちゃんに渡すのかい? それともお世話になった人かい?」
「お世話になった人ですね。彼には別で。あはは」
「おや、そうなのかい。」
少し意外そうな顔をしながら私を見る。いやいや、逆に私がここで買って渡すのはどうなんだ??
「えーっと、笑顔が可愛い女性なんです。それで黄色のお花にしようと思ってるんですが、青色のお花もいいなって思って…。」
でも、やっぱり黄色かなぁ。黄色のお花の笑顔似合うし、うーん。
「笑顔の可愛いなら”黄色”の花が人気って、俺の奥さんが言ってるよ。あははは」
「ほう? おじさんは奥さんにこの中のお花をプレゼントしたの?」
「俺か? 俺は、ひまわりを渡したんだ。」
金がなくてな…育てたんだよ。奥さんめっちゃ喜んでくれて…あの時は玄関に飾ってたんだ。そう照れながら言うおじさんの顔は幸せそうだった。めっちゃ惚気られた。
「うーん。黄色のミモザを1本お願いします!」
「あいよ。少し待ってな。」
言われて、1本のミモザを取り、正方形のボックスに入れると、外に取り付けてある真っ赤な石と青い石に触れる。あれって”魔石”かな? 赤は火で青は水? ん? 緑の魔石もあるってことは風で溶けないように最後コーティングするのかな? まぁ、企業秘密だろうなぁ。じゃないと、こんなに強気の値段設定はしない…はず。そう思っていると、出来上がったようだ。
「はい。できたよ。2~3日は移動で持つようにしているけど。冷凍保存が一番のおすすめなんだけど、難しかったら追加になるけど、この簡易保管バック買うかい?」
「か、簡易保管バック…。」
「ああ。このままの状態で保管できるよ。まぁ、これは、銅貨5枚なんだけど。」
申し訳なさそうに言うおじさんに隣からイオが声をかける。
「おっちゃん。平気。俺が持ってるし、魔石もあるから。」
「お、そうなのか! よかった。こんな小さい子からこれ以上とるのもなぁ。」
「まぁ、仕方ねぇよ。最近、国境付近で”魔物”でてるんだろ? それに、”人攫い”も出てるって話だしなぁ。」
「あー。そうなんだよ。国境付近だから、商人達もこっち来れないらしいし、人攫いも多くてな。特に、嬢ちゃんぐらいの子がな。兄ちゃんも気を付けてやりなよ。」
「ああ。十分に気を付けるよ。ありがとう。」
「にしても、観光客にも知られてるのか。早く、国が動いてくれればいいんだけどなぁ。自衛隊だけじゃ手は足りねぇーんだよ。」
はぁっとため息をつくおじさんを横目に、イオは口を開く。
「ギルドは…ああ、魔物討伐で忙しいんだな。」
「ああ。でも、C級以下のメンバーは居るからな。それにギルマスもいるし。」
そういって、私に氷華を渡してくれる。長方形の透明な氷の箱の中に入っている一輪の黄色ミモザ。うんうん。きれい! 結構いい買い物をしたのでは? 喜んでいると、コケるなよっと、イオが手を差し出してくれたので喜んで手を繋ぐ。そのままおじさんにお礼を言って宿に帰った。お風呂もあると受付のお姉さんが教えてくれたので、ルンルンで入る。お風呂で体の汚れと疲れをゆっくりとる。ぽかぽかになった体で部屋に戻ると戻っていたイオが氷華に魔法を施してくれていた。手を近づけると周りの空気がひんやりしていた。
「ありがとう。イオ」
「おー。んじゃ寝るか。」
「うん。」
ベットに横になるとイオも入り2人で横になった。そのままイオに抱き着き寝る。
「俺、さぁ男なんだけどなぁ。」
「知ってる。」
「あっそう。」
そのままぎゅっと抱きしめられると丁度、イオの心音が聞こえる。全然早くない。むしろゆっくりで穏やかだ。これで、私の事が好きって言われてもなぁ。と、思っていいるのは秘密にしておこう。そう思っていると、瞼がゆっくり落ちる。ああ、気持ちのいい睡魔だとなぁっと、そのまま誘われるまま…眠った。
「はぁ。国境での”魔物”と”魔獣”に”人攫い”…かぁ。」
教会で見たあの2人も関係するんだろう。目がヤバかったし…多分、オペラって事を知ってる可能性もあるしな。
「それか、…もう1つの呼び名を知ってたらどうするかなぁ…。はぁ。俺も寝るか。」
ゆっくり目を瞑り考える。まぁ、絶死の聖女を知ってても、相手を消せばいいんだし。どうでもいいか。とりあえず、魔法を覚えさせるか。
硬貨:金貨=5万円 銀貨=5千円 銅貨=500円 です。私が算数も数学も苦手なのでわかりやすくしました!
キノコは高級食材!!




