25話 ご飯が美味しい世界でよかった…。本当に!
チャリン…
扉を開けると、ベルの音がした。中には数人の日がご飯を食べている。
「いっらっしゃいませぇー!!」
元気な声とともに、私と同じぐらいの少女が制服のスカートを翻しながら笑顔で迎えてくれた。片手に瓶を5本ともう1つのお盆の上には大量のお皿とジョッキが積みあがっている。…すごい、バランス感覚してる。この世界のウエイトレスやウエイターはこれが普通なのかもしれない…。恐るべし乙女ゲーム!!
「お2人様ですね。こちらへどうぞ!」
「ああ。」
そのまま席に案内される。その間もずっと、グラスは揺れない、お皿も落ちない、瓶も指の間に挟んでるのに、全然疲れてる様子がない…。すっごい!
案内された席に着くと、イオが私を椅子に座らせて、自分も席に着くとメニューとお水を持って現れる。
「お決まりになりましたらお呼びください~。」
そのまま、笑顔で去っていく。おお、いい笑顔だ。さすがは、聖王様のおすすめのお店! これは、期待度が上がる! 見た目も味の期待してもいいよね?
「何食べる?」
「うーん。」
メニューを見ると、”パイ”の他にも”キッシュ”や”タルト”に”ガレット”や”クレープ”もあった。なんかここまでくると、粉もん…お好み焼きとかたこ焼きにもんじゃがあっても不思議ではなさそう…いや、でも、お好み焼きとかは、”西”の人じゃないとそうそうしないよね…。でも、世界は広いし…もしかしたら、ワンチャンあるかもしれないし…。いけるのでは!?
「おーい。メニューガン見しながら違うこと考えんなよ。あと、何食べたい?」
「えぇ~。なんでわかったの? うーん。迷う…聖王様のおすすめで!」
「見たらわらかる。…そうだなぁ。カボチャかアップルパイがおすすめって言ったけど? どっちにする?」
「カボチャ…かな? 食べたことなし! あ、甘いの?」
メニューを見ながら確認する。しかし、困ったなぁ…。キッシュもタルトも捨てがたい!! くぅー!! あーでもなぁ。うー。ガレットもクレープも食べたい!! 食べたい…けども! 絶対に入らないのはわかってる
「甘いな。ここのパイ系は全部甘いな。デザート系だな。なら、キッシュ頼むか?」
「うん! ほうれん草とキノコのキッシュがいいな。あ、でも、ジャガイモとベーコンもすてがたい!!」
それにしてもよかった。いや、本当に! 知ってる名前のが多くて良かったぁ~! これで知らない名前の食べ物だったら、マジで悩んだ。いや絶対、ウエイトレスのお姉さんに、一番人気を選んじゃうよ…。思い出したからも思い出した後でも違和感なくて嬉しかったよね! マジで!
「なら、ジャガイモとベーコンもキッシュも頼むか? 俺も食いたかったし、半分にしようぜ。」
「いいの?」
「ああ。俺も”キッシュ”は気になってからなぁ。マグダラと来るときは、いつもパイ系だったんだよ。たまに、クレープな。」
「へぇ~。」
聖王様は甘いのが好きなんだ。…そして、スマートだ。スマートすぎて怖い。こなれてやがる! 絶対何人か惚れさせてる!
「あ、何個食う?」
「え? 1個づづでいいのでは?」
「ワンホール?」
「ホール…? え? ここホール単位!?」
そ、そんなに大きいの!? ここでは、キッシュやパイはワンホールなの??
「いや? 1個からでも注文できるぞ?」
「あ、そうなの? よかったぁ~。確かにお腹は減ってるけど、そこまで、入らないし~。」
私、まだ7歳だし。そこまで胃は大きくなんだよねぇ。今のイオと同じ年齢ならいざ知らず…。そう思いイオを何気なく見ると、少しだけ驚いた顔をして慌てて片手で顔を覆う。え? 何?? どうしたの? 驚く私を他所にイオの声のトーンが下がる。
「…あーああ。だよ、だよな? っ…あ、い、いや…悪い。そ、そうだよな。普通は…そうだな。だって、7歳だもんな?」
「イ、イオ?」
ばっと片手で顔を覆いながら空いてる手で私の前に掌をかざす。なんだろう? っと首をかしげている。え? 体調でも悪くなった? 指の隙間から見えたイオの顔は青い。
「悪い。んで、あーっと、1切れにするか?」
「え!? 大丈夫!? てか、1切れ!? ホールから大分縮小したね!? さすがの私…あーそういえばお腹へってたんだよねぇ~。ホールにして半分こしよ? 」
ニコっと笑って、イオの手を握ると驚くほど手が冷たかった…。一応私私の食べる量の話だけで、ここまで狼狽える事ある? しばらく笑って握っているとイオが顔を上げる。
「そう、しようか。」
「うん! それに、私まだ、7歳だからね? これからたくさん食べるよ!」
大丈夫だよ~。そう笑ってイオを見る。
「そうだな。まだ、7歳だもんな。悪かった。女性でも少食な人はいるよな。因みに、オペラは、どのぐらい食べられるんだ?」
何の確認なのはわからないけど、イオの声が少しだけ震えている。もしかして主人公にかかわる事なんだろうか…。確かに、私は7歳にしてはあまり成長していないけど、神父様もシスターも特に何も言われてないからないし、おじさんにも少食だけど、ちゃんと食べれててるからねって言われてるし…。
「どうだろう? 沢山食べる女性はいると思うけど。私は、そこまで食べるってわけじゃないけど。イオのご飯は美味しいから沢山食べてるね。」
「そう、か。ならいい。悪いな。」
「いいよ。”また”教えてね。」
隠していた手を外して私の目を見て頷くイオを見ながら私も口を開く。これは、闇が深そうなイベントがあったのかな? まだ、《《フラグ》》はまだ立ってないよね?
「ああ。…ありがとう。注文するな。ワンホールでいいか?」
「うん! 大丈夫だよ。お願いね。」
笑って言うと、イオは頷き、店員さんを呼んでくれた。その姿を見ながら思う。きっとイオは私より主人公を知ってるんだろうなぁ。話を聞いている…というか、多分だけど、私に見せてくれた映像のように《《見ている》》んだと思う。どうやってか知らないけど…。でも、妹様の話を聞いただけで、あそこまで、鮮明な映像を私に見せることが出来ないと思うんだけど。でもなぁ。この世界は”魔法”が存在しているから断言は出来ないし。で~も~。うーん。今はわかんなーい! から、教えてくれるまで待つかぁ~。はぁ。食べ物の話ししただけで一瞬で《《青い顔》》するぐらいだしなぁ。 聞きにくい…。てか、これからのイベントで”食”に関してのヤバいイベントがあるって事か。だから、ってわけでもないけど、イオが私に食べさせてるのは、《《そー言う事》》かなぁ。最近、神父様とシスターに餌付けって呼ばれててなんか悲しい。
「オペラ」
「んー?」
きっとイオは私の為に黙ってくれている部分もあるとは思う。優しいからなのか、イオ自身の為なのか…まぁ、利用するだけなら、私に必要な部分だけ話せばいいんだし。ここまで付き合ってくれなくてもいいはずだし、何より、洗脳でもなんでもすればいいんだ。魔法って便利な力があるんだから。
「サイズS、M、Lあるらしいんだけど、どうする?」
「んー。Mかな? 意外とお腹減ってる気がする!」
脳内でごちゃごちゃ考えてるおかげでなんかお腹減ったし!
「そっか。Mサイズでお願いします。」
そう、微笑んでウエイトレスさんに伝える。私の事を利用するなら、修行やらここまで来ないとは思うんだけど…。もし、私を利用を…利用ねぇ~。仮に私を利用して、《《何を》》したいっいぇはぁって話だけどね。まぁ、今はなーんにも分からないってのが現状だけどね。
「オペラ。」
「んー?」
「なんか飲むか?」
「え? あーいいよ。お水あし。」
「そうか。わかった。以上でお願いします。」
さーて、どうしたもんかなぁ。困った…なぁ。腹芸は下手だし、駆け引きも苦手って言うか出来ないし。はぁ。”悪役令嬢救済措置”って、主人公は、どうなっちゃうんですかねぇ~。聞きたいけど、聞きたくな~い。良い事がなさそうなのがなぁ…。はぁ~。1人憂鬱になっていると、イオが注文を終えたのかウエイトレスさんの声が聞こえた。
「かしこまりました。それでは失礼いたします。」
オーダーを聞き終えたウエイトレスさんがお辞儀をして去っていく。その背中を見ていると、イオが私に話しかける。
「さーてっと。なんか質問ある?」
ニコリっと笑うイオを見て考える。めちゃくちゃ質問はあるし、聞きたい事はあるけど…まぁ、今じゃないよね? だって、今から聖王様のおすすめのご飯屋さんで食べるんだし。それに…
「聖王様とイオのおすすめのパイを食べるから…今はぁーめっちゃクチャ期にはなるけど…。まぁ、無粋かなって?」
仮に、これから起こる事で、死にそうになった私を助けに来てくれたら、信じられると思う。吊り橋効果かもしれないけどさぁ。私は、現状で《《イオに好感を持ってる》》。でも、それが、好きかって聞かれたらわからない。それに、好感を持ったからって、信頼は出来ても信用が出来るかと聞かれて即答出来ない。私って…、
「薄情かな…。」
「ん? 何か言ったか?」
「へ? ううん。何も。ただ、周りからいい匂いしてるから、期待が膨らむなぁって!」
危ない。こんなこと考えてるから、声が漏れちゃった。でも、こんな事考えてるなんて知ったら、イオは私の事嫌いになるのかなぁ。なーんてね。ま、イオは《《何も覚えていない私》》も含めて、好きと言ったんだから、これぐらいじゃ揺らがない…なーんて、変な願望を持ってるんだから、私は相当なんだと思う。
「期待していいぜ? うまいからな。」
「へぇ? 俄然楽しみだぁ。あ、なら待ってる間に聞きたいんだけど。」
「なんだ?」
「神父様とおじさんには何を買うかは一応決まってはいるんだけど! シスターには何がいいと思う? 女性の流行が知りたい!!」
「逆になんでシルバーとコールドのは決まってんだよ。」
いや~。2人は簡単なんだよねぇ。おじさんは、お酒で神父様は香辛料って…。逆に、シスターがわからない! だって! なんでもいいって言うんだよ!? 一番困る!
「あれかな。エロい下着を買えばいいのかな?」
「お前な。煩悩…。阿保だろ。後、7歳がエロいって言うな。阿保。」
パシっと頭に軽くチョップをされた。2回も阿保って言われた。いや、だってぇ~。
「えぇ~。でもぉ~。その、えっち下着はありかな?」
「無しだろ。そんなこ事して、藪蛇になったらどうするんだよ。無難にアクセサリーとかにしときなさい!」
「いや、指輪とかは神父様が送るから…かぶるじゃん!」
「なんで、指輪オンリーなんだよ! もっとあるだろうーが! ネックレスとかブレスレットとかアンクレットとか!」
そんなお土産に最適な答えを求めてるわけじゃない!
「…面白味にかけるかな? って、思ってぇ。」
「土産に面白味を出すな。出すなら、センスを出せ。」
センス~!? 私が、生きる中で一番苦手な分野…センス! なんだよ。センスって、人によって違うんだから難しいんだよ!
「せんす…」
扇とか団扇の類か! そう思った瞬間釘刺された。
「扇とかじゃねーからな?」
あるのか…いや、あるか! 貴族持ってそうだもんね!
「早い。早い! えぇ~。イオ~。」
「はいはい。後でな。来たぞ?」
そんなこんなで、ウエイトレスさんが持ってきてくれた。めちゃくちゃいい匂いしてるんだけど!!
イオは、オペラより主人公を知っているので、時々心配しすぎちゃって、妹ちゃんにもオペラにも確認をしちゃいます。
”食”に関しては、やる予定なので! それまで待っていただけると!




