15話 過去編5
「え…きえた、んだけど…。」
そう言って、エクリプスと名乗った自称神様は去ってしまった。私に飴玉が入っているであろう袋を渡して。
「あ、いっぱいある…。」
袋の中には色とりどりの飴玉が入っている。前世の駄菓子みたい…紐付いてたら、楽だった良かったのになぁ。にしても、コレ食べられる…よね?? 毒ではないか…あんなに強い神様が私を毒殺するなんて考えられないし…。
「んー。1つたべよう!」
袋から水色の飴を取り出して口に入れると、甘い。食べた事ある味が口に広がる。こ、これは! ら、ラムネ…。ラムネ味…。おいしい~。疲れた体に甘い飴は染みるなぁ~。
「かみ…かみさまかぁ。」
実感わかないなぁ…。はぁ~。世界って広いなぁ。いや、私の世界が狭いのかなぁ。まぁ、いや、帰ろ! うん! 一歩踏み出すと。コツンっと何かに当たった…。
「かぇ…えっ!?」
目を下に向けると、真っ黒い、人型…あーあああ!? こ、こ…っ子供だ。忘れて…い、いや。忘れてなんかないぞ!? う、うん! ちょーっと、ほんの少しばかり…う、嘘です。自称神様と飴貰って忘れてました…ごめーんて! 途中まで覚えてたんだよ! 嘘じゃないよ! 噓じゃない! 色々その後のインパクトが…って、違う! 慌てて駆け寄ると微かに気配がある。胸当たりが上下に動いている。 え? ま、マジか…な、治ってる?? え?
「え? …いきて? いきて…る?? 」
「け、…っほ。…ぁ、ぇ。」
さっきまで黒焦げになってたのに…って事は、エクリプス…様が?? これはもう、神様確定じゃん! 忘れるのにぃ~! えぇぇぇ~。くっそう! えぇ~もぉ~。脳内で私にイエーイって髪の毛でピースしている姿が見える。うわぁ…。なら、この飴玉はいい物なのでは?? 帰ったら神父様に聞いてみよう! しっかり袋を閉じて手に持つ。それと同時に”気配”がした。
「うーん。かんしゃはするけど。」
他のも掃除して行ってほしかったなぁ~。あーあ。あああ…もぉ~。よぃーしょっと子供を抱き上げる。
グルル…ッ! グガっ! グジュガーッガー!!
持ち上げたタイミングで先程よりも多い魔獣が現れる。あーやっぱり、まだ生き残りでもいたのかなぁ~。“上”はもう居な無そうだし。竜が何とかしてくれたかな?
「まぁ、このぐらいなら、だいじょうぶでしょ。」
そう言った瞬間、魔獣が私に飛びかかる。
「【黒輪】」
そのまま横に輪を滑らせる。それだけで、魔獣が真っ二つになる。襲って来た魔獣は、血を拭きながら倒れる。あーあ。グジュグジュだ。さて、っと。
「いいかげんでてきたら?」
「な、なんでだよぉ! 何なんだよ!」
奥から、男が何かを喚きながら言いながら現れる。結構身なりは綺麗な方だ。毛皮の服だけど、綺麗にしてる。ライオンを出したのは、この子だけど、魔法陣を書いたのはコイツなんだろう。さっきまで気配無かったのに、今はあるって事は隠れる相手居なくなったんだろうなぁ。はぁ~。めんどくさいなぁ。私、子供なんだけど?
「なにが?」
「お前らだよ! さっきの女と言い! 俺の仕事の邪魔しやがって!」
「かくれんぼはおわり?」
「っち! んだよ。わかてやがったのか。」
ニヤリっと嗤い問いかけるが内心は、違う事を考えている。いやーごめん。全然分からなかった。魔獣出て来たから、人が居るんだろうって思ったし、いきなり気配あるし! 《《今の状態》》じゃなかったら、ビビり散らかしてるよ! 今の私万歳! ポーカーフェイス保ってるよ! 感情と表情が表に出なくて良かった! さーってどうしよう。何で、神様はコイツ倒してくれなかったんだよぉ~! っは! やはり、私が主人公だから!? こんな奴ちょちょいのちょいって事!?
「どうするの?」
「あーああー。どうすっかなぁ。取り敢えず…死ね」
男が言った瞬間、真っ赤な石…赤い魔石を数個こちらに投げると同時に爆発した。
「【黒墨】」
爆発直前に黒い触手で防ぐ。その抱いている子供を影に入れるが、その前に赤い魔石が投げ込まれる。
「…ちぃ!」
爆風の中から外に出て距離を取るが、地面には既に魔石があり、真っ赤に光っている。あーあ。くそ。間に合わない。
バァァァァッン! ボーン!!
「はぁー。つっかれたぁー!! マジで! 貰ってる金じゃ、全然足りねぇー!! はぁ。これで死んでくれたらいいんだけどな。魔力も無さそうだし。」
岩が割れると中から現れたのは魔法で隠れていた男の姿だ。周りは、瓦礫や爆発の所為で出来た穴だらけ…クレーターが大量に出来ていた。
「うわぁ~これ絶対、俺殺される…ああああ! マジで嫌だっ! 折角、俺が魔法で作った場所だったのに! クソが~。あーでも、引っ越し魔しねぇーとなぁ。最初に来た冒険者にはもうバレたし。」
溜息を吐きながら階段の方に行く。
「なら、わたしのほうがましでしょ?」
ブスッ
「…は?」
後ろから男に、魔法で出した黒い剣を刺して、抜き、もう1回さす前に避けられる。
「ありゃ、よけられた。」
あーやっぱり子供の力だと致命傷にもならない。くっそ。勢いもなかたし。でも…まぁ、傷が付けばいいし。
「嘘だろ? 確実に殺ったと思ったんだけど…。俺も勘が鈍ったか? はは…」
「このすがたみていう?」
結構ボロボロなんだけど…マジで! ちゃんと巻き込まれてるからね? 痛いから! ちゃんと見てよ! 私! 半分火傷してるんだけど!? 治癒魔法とか出来ないから、治んないし! マジで、痛いから!!
「いや、俺、殺すつもり爆発させたんだぜ!? 何で生きてんだよ! 大枚はたいて買ったんだよなぁ。炎と爆発の魔石! ああクソが! あの量ならデカい城ぐらいなら木端微塵なのによぉ!」
「ふーん。ざんねぇーん!」
こ、コイツ! マジかよ! か弱い美少女(私)になんつーもん使うんだよ! コレ、主人公だから良かったものの! 許すまじ! てか、影姫から貰った魔力も尽きるんだよ! だから、さっさと終わらす!
「そうかい…残念だが、俺も死にたくはないんでね…満身創痍にお前には悪いがっ!」
満身創痍ってわかってんじゃん! でもさぁ、こっちも、やられっぱなしはいやだから、さ。
「こっちもおなじいけん」
「へぇー気が合うなっ! 【岩の弾】」
「【黒輪】」
飛んできた岩の弾をよけながらこちらも魔法を発動して、もう1つの魔法を発動する。
「ねぇ、さっきのいたくない?」
「あ? っ…は? あ? 何をした?」
問いかけた瞬間、男の腹からドロリっと血が溢れた。そのまま真横に傷が現れ裂ける。まるで、切り裂かれた様に…
「が、がっは…げっほ…ぁ? な、ん?」
「ふふ…あは。ねぇ、いたい? いたいよね?」
ふふふ…あはははは…よかったぁ~。傷ついただけでも発動したぁ~! ふふふあははは…。
「ふふ…おじさん。しんじゃうね? しんじゃうよー。ねぇ、どうする? どうしちゃう??」
「饒舌に喋りやがって、イカレ野郎が。」
「ひどーい! こーんなびしょうじょつかまえて!」
「っは! まぁ、確かに、目が死んでなきゃ。美少女かもな! じゃ、死ね。」
ニコニコ嗤う私の前に握り拳を出すと同時に赤く輝く。
「やだ。【闇夜】」
嗤って、言葉を口にすると、男の拳からでていた、真っ赤な光が紫色に変わり、男の拳が消えた。
「な、にを…俺の腕がっ!」
「いたくないよ? ちもでてないし?」
「ば、化物…化物が!」
「しっつれいだなぁ。」
はぁ、痛くないし、血も出てないのに…なんて言い草。こんなに優しいのに! まぁ、どうでもいいや。
「ま、いいや、じゃ。バイバイ」
「ひ、い、いやだ! 嫌だ! 俺は、おれ、は!」
「うるさい【黒洞】」
言葉と共に、真っ黒い穴が現れる。そのまま、男を吸い込もうとした瞬間、魔法が消えた。それと同時に声が割ってはいる。
「はーい。終わり。」
後ろから気配がした。あーもぉ、またか! 背後どんだけ取られるんだ私は! 邪魔した奴の顔を拝んでやる! 振り返ると、美少年が立ってた。マジかよ!
「だれ。」
「んー。そうだなぁ。お前に興味あるんだ。取り敢えず、名前教えて?」
「やだ。しらないひとに、おしえない。それより」
邪魔が入ったけど、取り敢えずコイツを消す。
「駄目だ」
優しく腕を掴まれる。なのに、振りほどけない。
「なんで?」
「もう、そいつ、気絶してるし。これ以上はやり過ぎ」
「なんで?」
納得いかない。だって…。ぎゅっと手を握ると両手で包み込みこまれた。
「それは、お前がしなくてもいい。」
「なら、だれがするの?」
「お前じゃないのは確か。もう直ぐ、俺が呼んだ奴らが来るから…な?」
「ふーん。だれがするの?」
それで、納得しろとは虫が良すぎる…。なら、誰がするかぐらい聞いてもいいだろ? なのに、相手は笑顔口を開く。
「秘密」
「なんで?」
「どうしても、そう言えば、オペラの影の中に入ってる子の意識戻ってるみたいだけど?」
「…っはぁ。のぞき」
「嫌だなぁ。気になる子の事は見てたいじゃん?」
「あっそ。」
「だから、コイツは任せほしいなぁって。」
「…いいよ。」
無理だなぁ。はーあ。
「よかった。入ってきていいよ。後はよろしく。」
そう言って片手を上げると、ぞろぞろと沢山入ってきた。うわぁー。全員強いなぁ…。騎士の人かな? ローブの人は魔法を使うのか? 魔力が違う…。うーん。1、2人なら全快の私なら相打ち覚悟でいける…。はぁー。怖…乙女ゲームなのに、戦闘があるって何この世界。言いながら、影から子供を取り出す。
「…っ。ぁ? ぁれ? だぁれ?」
小さな声が私に問いかける。
「んー。ただの”びしょうじょ”だよ。」
ふふふ…そう言って笑うとその子も笑って言葉を紡ぐ。
「き、れ…ぃ。せぃ…じょさ、ま?」
聖女? 聖女様かぁ~。この世界には聖女でもいるのかな? でも、なぁ、今の私は聖女と言えるかな? んー。記憶も消えるし…魔法的には違うなぁ。
「ふふふ…あはっは。“せいじょさま”ではないかな?」
だって、今の私、真っ黒だからね? それに、目も黒いし、後、”化物”らしいし? だから、私を見て聖女様ってのはお笑いだね。聖女様は見た事無いけど、神父様とシスターは身近にいるからね。違うだろうねぇ。
「でも、まぁ、かみさまはいるよ。」
自称が付くけどね?
「そ、かぁ…てん、しさ、ま…もっ…ぃる?」
「いるとおもうよ。ふふふ。つかれたでしょ? おやすみ。」
「ぅん。でも、わたしはおねーちゃんのこと”せいじょさま”だとおもうよ。」
「…おやすみ」
そう言って、私の腕の中で眠った子を見ながら、違うんだけどなぁ~。と想いながらこっちに来たのは女性だったから、渡したら大事に抱えてくれた。
「坊ちゃん。」
「んー? ああ、俺が話すよ。」
「わかりました。では、失礼します。」
「ああ。」
「よ。今、大丈夫か?」
暫く、騎士の人が周りを調べるのを邪魔にならない所で座りながら見ていたら、美少年に声を掛けられて頷くと隣に座られた。
「怪我は?」
「なおしてもらった。」
魔法って凄いんだなぁ…とさっきも思ったけど、直ぐに治るんだ…。
「そうか。んで? 聞きたい事ある?」
「たくさんあるけど、あなたは、だれ?」
聞くと、微笑まれた。綺麗に笑うなぁ。
「お前の事が気になった唯の男だよ。」
「ふーん。“みてた”ひと?」
私の事をずっと見てた人か…。
「はは。そうだよ。よろしく。オペラ。取り敢えずお近づきの印にクッキーでもどう?」
「…ありがとう。」
そのまま、口に入れると甘い。サクサクしてる。美味しい。最後まで食べきると、驚いた顔をしていた。
「おいおい、少しは警戒心をもてよ。毒とかだったらどうするだ?」
何を言っているんだろう? 首を傾げて目の前の彼に言う。
「わたしよりつよいのに? なんで、どく?」
「あー。ははは」
この人は私より強い。勝負にならないと思う。力の差があり過ぎて、仮にうまく行っても、この人に一撃いれてる間に私は10回は死んでる。と言うか多分、無理ゲーだよね。さっきの自称神様もだけど、何で顔がいい人は等しく皆強いんだよ。怖いよ。
「そんなひとが、わたしなんかにどくは、つかわないでしょ。」
「そうか。もう少し食べていいぞ。」
そう言うと、お皿にクッキーを出してくれた。サクサク美味しい…。夢中になっていたら全部食べてしまった。
「ん。おいしかった。ごちそうさま。」
パンっと軽く手を合わせる。はぁ…ご飯入るか心配になったけど、お腹すいてるから仕方ない! それに、美味しいのが悪い! うん!
「お粗末様でした。…なぁ? 次は何が食べたい?」
行き成り何の話だろう? 首を横に傾げて見上げる。すっごい美少年…。うっ! 眩しい!!
「なんで?」
「会いたいから?」
「たべもので、つるってどうなの?」
「まずは胃袋から掴めって言われてるんだよ。」
俺の家の家訓なんだ。っと楽しそうに言う美少年。いや、どんな家に住んでるの。
「…うーん。サンドイッチとケーキたべたい。」
でも、この事覚えてないだろうなぁ。美味しかったのに、残念だ。本当に! この美味しかった記憶も無くなるのかぁ。
「いいぜ。めちゃくちゃ美味い飯作って、これからの事話そうぜ?」
「…おぼえてないよ。」
「あははは、知ってるよ。でも、味は覚えてるかもよ?」
「むりだよ。」
だって、魔法使うのに記憶を使ったんだ。今日の全ての記憶を。殺した事も魔法を使った事も、感情も感触も…助けたと言えるかわからないけど、その全てを…全部使ってるから無理だよ。
「なら、俺が勝手に覚えてるよ。だから、今度会ったら婚約申し込むな? 思い出したら、そーだなぁ。結婚しようぜ。」
軽いノリで私と約束を…未来の話をする。それってどうなの? って思うけど…ま、いいっか。どうせ覚えてないし…?
「ははは…いいね。もし、きせき、おきておぼえてたら、けっこんしよう。」
「覚えてるよ。俺は、全部。オペラが子供を助けた事を…な。」
最後に笑って、そう言った顔が綺麗だった。だから、忘れちゃうのは少しだけ残念だった。次に目を覚ましたら、何も覚えていなかった。何も覚えてなくて、目を明けたら、シスターと神父様に抱きしめられてた。
上空から眺めるのは自称神様…エクリプスはニヤニヤ、ニコニコして2人の様子を見ている。
「ふふ…えぇーいい感じだぁ~。」
んふふふ…いい感じで! わぁ~あれぞ青春って感じだ! 知らないけどぉ~。髪の毛でハートマークを作り2人に当てる。うんうん。ラブって感じだ! 愛って感じ!! えぇ~かわいぃぃ~。ニコニコ2人がお菓子を食べている所を見ていると私の頭上に影が出来る。ありゃ~お迎え早いなぁ。
「以外と早いねぇ。白夜」
「…。お前の言ういい子だったか?」
白夜と呼ばれたのは真っ白い髪と陶器の様な白い肌。目は真っ黒な瞳と真っ赤な瞳の左右違う低すぎない声だ。背中には大きく真っ白な翼が4枚と腰には、黒い2枚の翼がある。うん。いつみてもえっちだなぁと思ってる。頭には2本のツノがありツノの片方には黒と光に輝く小さな輪が掛かっている。
「うん! いい子だったよ! 可愛かったよ。」
「ふーん。」
2つの色が違う瞳で、私を見る。おっと? おっーとぉ?
「んん? おやぁ〜もっしかっしてぇ。やきもちぃ?」
「殴るぞ。」
間髪入れずに返してくる返事に笑ってしまう。
「えぇ~横暴だぁ~」
「エクリプス」
「…いい感じにイカれてたよ。」
「そうか。」
「うん。…んで? どうかしたの?」
白夜が私を迎えにくるなんて珍しいなぁ。あーいや、うーん。
「陛下から招集がかかった。」
「あちゃ〜。私様待ち?」
それは悪い事をしちゃったかなぁ~。菓子折り持っていたた方がいいかな?
「いや、ミーティアと月光もいねぇよ。」
「お、なら良かった。あれ? 遅刻魔と常習犯が居ないね。風邪でもひいた?」
馬鹿は風邪引かないって聞いたのに…あれは迷信だったぁ~。
「アホ。アイツ等は獣人国に交渉しにいただろう?」
「…んん? 私様、それは知らないかなぁ~? いつ決まったの?」
え? そんな話聞いてないけど?? え? 前回の会議…寝てた?? うーん? 悩んでいると、白夜から衝撃的な答えが出て来た。
「お前が居なかった時にした会議。」
「なら、知らないんだけどぉ!? え? 何でさも当たり前に知ってるっておもったのぉ!?」
「あ? そうだったか? お前なら知ってると思った。」
いや、白くん関連じゃないから知らないなぁ。
「えぇ~。まぁ、いいや。んじゃ帰ろう。白くん!」
「ああ。」
そう言って白夜に抱きつくと、そのまま一緒に消える。
「またね。オペラ。」
朝、起きると綺麗な顔があってビックリした。あ、そっか、昨日一緒に寝たんだ…。
「…んっ。お、おはよう。オペラ」
綺麗な瞳黒い瞳が私を映してくれる。
「おはよう。イオ」
なんだか、見つめられると切ない気持ちになった。それを振り払う様に、イオに抱き着いて挨拶をしたら、朝から甘えんぼか? って笑われた。 シスターが起こしに来るまで抱き着いてたのは流石にやり過ぎたと反省はしてる。でも、イオは嬉しそうだからいいかと思ったのは内緒だ。
これで過去編終わらりです!
いえーい!




