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博打商人の脳汁ドパドパ道中  作者: うそさん


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3/5

第三話 ギャン中は勝負に出ます!

 翌朝。

 ロロとサシアは、はじめに、漁港に行った。


「わぁ、船がいっぱいですね」

「流石首都ってところだな」


 港には、大型のガレオン船から小型船まで、多様な船種の船が所せましと停泊している。漁師たちが早朝の漁から帰ってきたのだろう、港はすでに人で大賑わいだった。

 ロロは暇そうにしていた船貸しを捕まえ、一隻のボロい小型船を2か月借りる契約を行った。


「80000ジェリー!」

「だめだめ」

「90000ジェリー!」

「だめったら、だめ!」

「100000ジェリー!」

「はあ、参ったよ。わかった。まけにまけて100000ジェリーだ」

「っしゃあああ!」


 小型船といっても、物資は大量に積み込める。漁夫をつけるか悩みどころだったが、ロロとサシアは、船を使って商売をした経験もあるので、無駄な出費は抑えることにした。

 レンタル代は大金の100000ジェリー。行先はあえて言わなかったが、ロドスといえば、さらにふっかけられていただろう。


「まさか本当に行くつもりなんて……」

「当たり前じゃねーか。サシアは、残っていてもいいんだぞ」

「いいえ、同行させていただきます。ですが、魔獣が現れて危ないなと思ったらご主人様を船から蹴落とし、泳げる私は全力で退避します」

「ひでーな! おい!」

「ジョークです」


 サシアは澄ました顔でそういった。




 次に、ロロとサシアは、船に自分たちが食べるための食糧をそろえたのち、いくつかの商会を回った。干し肉の安い仕入れ先を探すためである。

 トミーの話にもあったが、ロドス諸島では、島では生産しにくい干し肉が高値で取引されるらしい。しかも、その搬入もラスコー商会の大船団が大部分が担い、そのほかは、ロロのような独立商人が細々と持ち込む程度。つまり、今年、魔獣のせいで大船団が来ない、さらには独立商人も立ち寄らないとなると、干し肉の値段はさらに高く吊り上がるというわけだ。ロドス諸島は、冬が厳しく、その需要は間違いない。


 そして、ロロはいくつか商会を回ったのち、最終的に最も売価が安く在庫の多いと噂のカターリ商会に目をつけた。


「いらっしゃいませ。カターリ商会のニーケと申します」


 ニーケと名乗る眼鏡の男は、50代に見えるのにも関わらずずいぶんとへりくだった男だった。


「独立商人のロロ・アルノルトだ。干し肉を売ってほしい。1キロン何ジェリーだ?」

「干し肉ですと……少々お待ちください」


 カターリは一瞬、建物の奥に消えたが、二分もたたないうちにすぐに戻ってきた。


「大変お待たせしました。現在、1キロン550ジェリーで販売させていただきます」

「……安いな。現物は?」


 ほかの商会は大体1キロン600ジェリーが相場であった。


「こちらでございます」


 ロロは、ニーケから干し肉のかけらを渡される。口に含んでみるとほのかに野生の香りがひろがったが、味は悪くない。乾燥も十分。


「悪くないな」


 ロロは、あごをさすりながらそうつぶやいた。


「いかがでしょう」

「よし、決めた。仕入れさせてもらおう」

「ありがとうございます。では、こちらへ」


 ロロとサシアは、すぐに二階の応接室に通される。カターリ商会は、ずいぶん繁盛しているようで、外観の装飾、廊下にかかっている絵画、階段の踊り場の花瓶、どれをとっても一流の出来だった。

 二人並んでソファーにつくと、すぐに商会の女性が紅茶を運んできた。


「さて、アルノルト様。早速、商談に入りたいですが、いかほどお売りすればよいでしょうか」


 迎えにすわったニーケは、契約書の作成を始めた。


「おれの全財産だ」

「え?」

「この金で買える在庫は全部くれ」


 ロロは、懐から大量の硬貨が入った巾着を取り出した。


「全賭けだ」

「ぜ、全賭け?」

「有り金は全部出す!」

「しょ、正気ですか?」


 ロロは、船代と食料代を引いて残った有り金、しめて150000ジェリーをすべて、机の上に乗せた。

 巾着から、数枚の金貨が漏れ出る。カターリ商会の男は、目を輝かさせた。


「わ、分かりました! いやはや、驚いた。では、今後ともアルノルト殿とは懇意にさせていただきたく、特別にお安くしましょう」

「へへ、助かるぜ」

「私どもでお売りできる在庫は、280キロンとなります。ですので、一キロン550ジェリーで本来154000ジェリーのところ、今回は15000ジェリーでお売りしましょう」

「わかった。それで頼む」


 こうして、ロロは全財産を使って、カターリ商会の干し肉の在庫をすべて買い取った。


「こちらをどこに持っていかれるので?」

「そいつは秘密さ」


 *


 商会を出たロロとサシアは港に向かった。カターリ商会の日雇いが商会から干し肉の入った木箱を次々と港に運んできた。まもなく、さきほどチャーターした小型船の干し肉の積み込みが始まる。干し肉が入った木箱が小型船全面に詰め込まれていく。この量であれば、ラスコー商会の大船団のものとそん色ないだろう。


「ぬははははっ」


 その様子を見てロロは高らかに笑った。


「ご主人様、気持ちの悪い笑い方をしないでください」


 脳がやける。脳が溶ける。

 魔獣に見つかれば、死。見つからなければ、大儲け。

 これが、命をかけた商売。


「最高にひりつくぜ」 



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