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家庭教師と悪ガキ♂ツインズ~荒んだオスガキ共を甘やか指導でメロつかせる~  作者: 巣暮イマ


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9話 ただのセクハラ野郎じゃなかったんだな



 3月後半、家庭教師6回目。



「ハルト、ハジメ。今日のテスト結果だが……」



「……ふん」



「早く教えろよ八雲!」



「……2人とも、全問正解。100点満点だ」



「よっしゃあ!」



「……まあ、当然だな」



 全ての回答に赤丸が付いた答案用紙を渡すと、ハジメが元気よくガッツポーズを決める。



 ハルトも口ぶりでは冷静な反応をしているが、どことなく気分が良さそうだ。



「(これで、最低限はなんとかなったかな……)」



 今日まで教えてきたのは、基本的に中学1年の範囲のみ。



 春休みが明けたら3年になる2人には基礎的すぎるかもしれないが、ここの基礎の部分が出来ていないと後々で詰まってどうにもならなくなる。



 逆に基礎がしっかりできていれば、応用問題も解きやすくなる。



 2人が受験の目標にしている『西道院大学附属高校』はエリート進学校ってわけではないから、今のペースで勉強を続けていければ問題ないだろう。



「っていうかお前ら、普通に飲み込み早いじゃん。なんであんなに成績悪かったんだ?」



「ガッコーのセンセーとかクソばっかだし。あいつらの授業なんて聞きたくねえ」



「……サッカーしか興味なかった」



「なるほどなあ」



 ハジメは学校の大人に対する不信感。



 ハルトは怪我するまではサッカー一筋で勉強は二の次だったってわけか。



「……去年通っていた塾講師も、これまでうちに来た家庭教師も、クソみたいなヤツばかりだった」



「八雲のいっこ前に来た家庭教師のババア、絶対にハルト狙いだったよな」



「……無駄に距離が近くて、ベタベタ触ってきてキモかった」



「それはまた、災難というか……」



 そんなことが続いてたんじゃ、初日のあの反応にもなるか。



「あー……それじゃあ俺のマッサージも嫌だったよな。そういうつもりじゃなかったんだが、スマン」



「……別に。あれから調子いいし」



「そうか、それなら良かった」



「よくねえよヘンタイッ!」



 ハジメに軽く肩パンさせる。



 まあ、コイツからしたら男のコーチにセクハラされたトラウマを刺激されたようなもんだからな……



「……先生は、なんで西附に行ったんだ?」



「ん、俺か?」



 最近、ハルトは俺のことを先生と、ハジメは呼び捨てで八雲と呼ぶようになった。



 最初はお前とかアンタとしか呼んでくれなかったことを考えるとだいぶ心を開いてくれたように思う。



「俺はさあ、バレー部のスポーツ推薦で西附に行ったんだよ」



「へえ……」



「それはお前、結構やるじゃん」



「だから正直、高校受験とかよく分かんねえんだよなあ」



「……は?」



「ふざけんなクソ家庭教師!」



「はっはっは」



 これくらいの冗談なら本気では怒ってこなくなったので、軽口を交えつつ事情を話す。



「中学でバレーボールのインターハイ行って、西附でも春高バレーっつうバレーの全国大会に出て結果残して……まあ、身長に恵まれてたってのもあるけど、それなりに活躍してた」



「へっ、自慢かよ」



「西道院大学もバレーが強かったから、そのまま推薦で行くつもり……だったんだが」



「……だった?」



「膝の関節をやっちまってな。手術してスポーツも普通に出来るようになったが、強豪校で活躍できるレベルにまでは実力を戻せなかった」



「「…………」」



 そう。俺は高校時代、現在のハルトと同じような経験をしていた。



「それからバレーの推薦は諦めて、必死に勉強して大学受験してなんとか合格して、今この状況だ」



「……そ、そうか」



「なんだ、その……八雲も苦労してんだな」



「別に。それほどじゃないさ」



 俺は今、大学でスポーツ科学を学んでいる。

怪我で昔の俺のようになってしまったヤツが、焦って無茶しないようにケアできるような存在になりたいと思って。



「……それで、柔道整復師なのか」



「ああ、前にハルトには話したっけか」



「柔道整復師ってなんだ?」



「医者とは違うんだが、骨折とか脱臼とかねんざとか、そういうのを診るプロだな。この間ハルトにやったリハビリマッサージみたいなこともやる」



「そうか……ただのセクハラ野郎じゃなかったんだな」



「当たり前だろ」



 この日、勉強が終わった後。

2人は俺に高校生活や大学生活のことを色々と聞いてきた。



 ハルトはやはり西附のサッカー部が気になる様子の一方で、ハジメは柔道整復師について興味があるようだった。



 ……また少し、2人との距離が縮まった気がした。




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