53話 日焼け跡エロすぎだろ
「ふぅ……あっちぃな」
7月に入り、俺が暮らしている広橋市近くの浜辺では海開きが行なわれた。
そこでは海開き初日のイベントとして毎年ビーチバレー大会が開催されており、俺も高校時代から仲が良いバレー部の後輩に誘われて二人一組で参加していた。
「八雲先輩、おつかれっす」
「おう。お疲れ飛鳥」
近くの屋台で出している飲み物を2つ持ってこちらに近づいてきたのは、俺と一緒にビーチバレー大会に参加している飛鳥雅。
現在、西道院大学の1年で、男子バレーボール部に所属している。
ちなみにポジションはセッター。
「さすがに飛鳥は動けるな。俺はもうなまっちまってダメだ」
「そんなことないっす。先輩はどんなタマを上げても完璧に打ってくれるから気負わずにやれてありがたいっす」
「はははっ、とはいえ速攻やるときはサイン出してくれよ」
飛鳥は高校時代のバレー部の後輩で、その時からセッターポジションとしてレフトアタッカーの俺にパスアタックを繋げてくれていた。
俺が怪我で部活を引退した後も付き合いを続けてくれて、今年の春にスポーツ推薦でうちの大学にやってきた。
「とはいえ、やっぱ現役コンビには勝てなかったな」
「あれは……しょうがないっす。むしろ市民のレジャーイベントで全国レベルの活躍するのは大人げないっす」
バレー経験者の俺たちは初戦と2回戦は順調に勝ち上がり、ついさっき行われた準々決勝でうちの大学のバレー部で部長とキャプテンを務める先輩チームに当たって惨敗した。
俺たちが言うのもなんだが、市民のお遊び大会にガチ勢が出てきてガチでやるのは反則な気がする。
タッタッタッタ……
「八雲!」
「せんせい!」
「おう、お疲れ2人とも」
飛鳥と一緒に準決勝でも無双する先輩チームを眺めていると、水着を穿いたハルトとハジメが駆け寄ってくる。
俺が海開きのビーチバレー大会に出ることを話したら『オレたちも参加する!』と言ってついてきたのだ。
「そっちの調子はどうだ?」
「へへっ! ぶい!」
「……さっき準決勝勝って、これから決勝」
「おお、すごいじゃないか!」
「やるっすね」
ハルトとハジメは俺たち一般の部とは違い、中学生の部に参加している。
とはいえバレー部の生徒同士だっているだろうに、サッカー部&バスケ部のチームで決勝まで勝ち上がっているのはシンプルに凄いと思う。
「やっぱ双子だとチームワーク抜群なんすかね」
「チームワークねえ……」
普段の様子を見てるとそうでもない気がするけどなあ。
「……先生たちはどう?」
「俺らはさっき負けちまったよ。ベスト8だな」
「来年また精進するっす」
「じゃあオレたちの試合見れるよな!」
「負けたことを喜ぶなよ」
まあでも確かに、これでようやくコイツらの試合を見に行ける。
「……先生、おれたちが優勝したらなにかご褒美ちょうだい」
「そうだなあ……よし、いいぞ。優勝できたらな」
「よっしゃ! やる気出てきた~!」
「……絶対勝つ」
俺からの『ご褒美』を貰うために、気合いを入れ直して決勝コートに向かうハルトとハジメ。
なんというか、単純でとてもかわいらしい。
ただ、それはそれとして……
「(……ハルトのやつ、日焼け跡エロすぎだろ)」
浜辺のビーチバレー大会ということで、トランクス型の水着を穿いて、上半身は裸の状態の双子たち。
ハジメは普段から屋内でバスケやってるから全身真っ白で綺麗な肌をしているのだが、サッカー部のハルトは太陽の下で走り回っているので服を着ていない部分が小麦色の日焼け肌になっている。
そのせいで、上着を脱ぐと元の白い肌と日焼け跡の境目がくっきりとして妙にエロい……気がする。
「う……最低だな俺って」
「八雲先輩、どうしたんすか?」
「いや、なんでもない……」
飛鳥は別にハルトの日焼け跡を見てもなんとも思っていないようだし、コイツの反応が普通なんだと思う。
「(アイツらの家庭教師を始めてから、俺の嗜好がいけない方向に向いてしまっている気がする……)」
男子中学生に興奮する男子大学生なんて、そんなの……ダメに決まってんだろ。




