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家庭教師と悪ガキ♂ツインズ~荒んだオスガキ共を甘やか指導でメロつかせる~  作者: 巣暮イマ


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29話 通報案件です!



「それじゃあ、また休み明けにな。俺がいない時もしっかり勉強しろよ」



「……うん」



「八雲またなー!」



 お泊り家庭教師2日目。



 午前中いっぱい勉強したあと、メリッサさんが作ってくれた昼食をいただいて、結局その後双子たちと少し遊んで昼過ぎに解散した。



「次の家庭教師は、ゴールデンウィーク明けか……」



 結局、俺が教えられるのは週に2日、数時間の家庭教師の時間だけ。

アイツらがその時間しか勉強しなかったら、成績を上げることは難しいだろう。



「なんとか自主勉強にも取り組んでくれるといいんだがな」



 パシャッ!



「……ん?」



 ハルトたちの部屋を出てマンションの来客用パーキングに向かうと、どこからともなくシャッター音が聞こえてくる。

気になって振り返ると、1人の少年が今まさに俺に向かってスマホを構えていた。



「激写したぞ……! 北条八雲がハジメ先輩の家から出てくるところを激写しました! これはスクープです! 不祥事ですよ!」



「な、なんだ……?」



 その少年には見覚えがあった。

昨日、スーパーへおやつの買い出しに行った時に挨拶……というか絡んできた、ハジメが所属しているバスケ部の後輩くんだ。



「えっと……サメ革キヨシくんだっけ?」



「鮎川清志朗です! 鮎川清志朗!」



 あー、そういえばそんな名前だったな。ごめんごめん。



「さっき、俺の写真撮ってたのか?」



「そうです! 通報案件です!」



「なんでだよ」



 先ほど激写したと思われる、マンションのエントランスから出てくる俺の写真を見せながらドヤ顔で息巻く鮎川くん。

これがなんで通報案件なんだ。俺の顔が顔面凶器ってことか……?



「この車は、昨日スーパーに来てたあなたたちが乗っていましたね?」



「まあ、俺の車だからな」



「認めましたね北条八雲!」



 そりゃあ、俺が金貯めて買った正真正銘のマイカーだからな。



「この車は昨日からハジメ先輩の家の駐車場に停まっていました。証拠写真もあります……つまり、あなたは昨日ハジメ先輩の家にお泊りしたのです!」



「なるほど」



 だいぶガバガバだが、一応は名推理と言っておこうか。

要するに、未成年の家にお泊りする家庭教師は危険だと言いたいのだろう。



「お前、人んちの駐車場で他人の車撮ってんなよ。プライバシーの侵害で逮捕されるぞ」



「えっ? あ、でもその……」



「俺のことを通報したらその証拠を提出することになるけど、その時は鮎川くんも一緒に刑務所行き確定だな」



「で、でも自分はまだ中学生で……」



「じゃあ少年院だな。そんなことになったら親御さんが悲しむぞ~」



「うぅっ……」



 お、適当にそれっぽいこと言ってるだけなんだけど意外に効いてるっぽいな。

根は真面目そうだし、実際に盗撮は犯罪だから反論もできないのだろう。



「それに、部活の後輩がそんなことになったらハジメも失望するだろうなあ」



「うっ……うわああああ……!!」



 トドメにハジメの名前を出すと、スマホを抱えたままその場に崩れ落ちる鮎川くん。

親が悲しむって言われたときよりダメージ受けてるじゃねえか、どんだけハジメに心酔してんだよ。



「じ、自分はただ、ハジメ先輩とバスケがしたくて……っ」



「あ、おい……」



 マンションの駐車場にうずくまりながらポロポロと涙を流す鮎川くん。

これはちょっと、中学生をいじめる大学生の構図になってしまっていて非常によろしくない。



「だ、大丈夫だ鮎川くん。俺は通報とかしないから、君がその写真を消してくれれば」



「ほ、本当ですか……?」



「うっ……」



 目じりに涙を溜めてこちらを見上げる鮎川くん。

こ、これは……ちょっと可愛いかもしれない。



「きっと、ハジメのことで色々と悩んでいるんだろう? 俺でよければ話を聞くぞ」



「ほ、北条八雲……」



「さあ車に乗って。ドライブでもしながら気楽に話そうじゃないか」



「わ、分かりました……お世話になります……」



 まだ若干グズついている鮎川くんを車に乗せて、俺はマンションの駐車場を出発した。



「(あれ? この状況って……)」



 ……俺、本当に未成年誘拐してね?




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