27話 いいからもう寝るぞ
「……な、なんでこうなった」
風呂を出て、寝る前に軽く勉強を見てあげて、さすがに今日1日勉強しすぎて疲れたということで、眠くなるまで3人でゲームをして……
で、今は3人で俺の布団に入って川の字で寝ている。
「お前ら、自分のベッド行って寝ろよ」
「えーいいじゃん別に」
「……布団で寝るの、新鮮だし」
「だからってなあ……さすがにこれは狭いだろ」
双子の部屋の真ん中にあったパーテーションを片付けて来客用のマットレスと布団を準備してもらったのだが、何故かハルトとハジメもこっちで寝るとか言い出してしまい、俺が真ん中、両サイドに双子というギュウギュウ詰めの状態で寝っ転がっている。
「八雲の腕、枕にちょうどいいな」
「……明日の朝、先生の腕痺れてそう」
「そう思うならどいてくれって」
「「やだ」」
くそっ、なんの嫌がらせなんだマジで……
さっきやったテストで見事に引っかけ問題に引っかかってたのを笑ったからか?
「うわー、なんか天井たっけー」
「普段ロフトベッドだと天井近いもんな」
「……たまに、朝起きると頭ぶつける。ハジメが」
「ハルトだってぶつけてるだろ!」
「……おれは背伸びしたときに手がちょっと当たるだけ。ハジメは普通に立ち上がろうとして頭ぶつけてる」
「ぶつけてんだから一緒だろ!」
「こら、俺の耳元で言い合いするなうるさいから」
あと俺の腕を枕にするのもやめてほしい。
マジで明日痺れて動かせなくなりそうだから。
「ほら、いいからもう寝るぞ」
「え~」
「まだ眠くないし……」
「いいか、寝ている間に脳みそが今日勉強したことをまとめてくれるんだ。だからしっかり寝ないとせっかく覚えたことが身に付かないぞ」
「そういうもんなのかあ」
「……それは困る」
普段と違う状況でテンションが上がって眠れない双子たちだが、中間試験で赤点を回避してスマホを買ってもらうという目標を達成する為にはここでしっかり寝ておいた方が良いと分かってくれたようだ。
「なあ八雲、どうやったら眠くなる?」
「そうだなあ……風呂に入って身体を温めてやると、そこから体温が下がる時に眠くなるらしい」
「風呂はちゃんと入ったぞ」
「じゃあ、ホットミルクを飲むとか」
「……風呂上がりに飲んだ。ホットじゃないけど」
うーん、眠れないときに眠くなる方法……正直分からんな。
思い切り身体を動かして疲れるとかは、今からやったら逆に目が覚めてしまいそうだし。
「じゃあ、ほら。これでどうだ」
「あっ……」
「……ふぁ」
ちょうど手の届くところにあった双子たちの頭に手を乗せて、優しく髪を撫でてやる。
これで眠くなるかどうかは分からんが、うちの実家で飼ってる猫には効果バツグンだった。
「こ、こんなんで、眠くなるわけ……」
「ハジメ、眠そうじゃん……ふわぁ」
「ハルトだって、あくび……して……」
「おやすみ。ハルト、ハジメ」
「おれは……まだ……」
「ねむく、ない……」
…………。
「くぅ、くぅ……Zzz」
「すぅ……すぅ……Zzz」
「本当に寝たわ。コイツらにも効果バツグンだな」
柔らかな髪の感触を楽しんでいると、すぐに両隣から可愛らしい寝息が聞こえてくる。
「イタズラしたり、急に不機嫌になったり、かと思えば甘えてきたり……本当に猫みたいだな」
生意気なガキ共ではあるが、こうして身を寄せてくるのは俺を信頼してくれている証だと思うので無下にはできない。
「……なんか匂いがする」
2人の寝息と共に、甘い香りがふわりと鼻腔をくすぐる。
さっき使ったシャンプーなのか、パジャマに着いた柔軟剤の香りか、それとも……
「……やべ」
2人から漂う甘い香りを嗅いでいたら、自分でも制御できない変な気持ちが滲み出てきそうになってしまった。
これじゃあ、コイツらを傷つけた大人たちと同じになってしまう。
「ふぅ……俺もさっさと寝よう」
なんとか気分を落ち着かせて2人の規則的な寝息を聞いていると、少しずつ眠気がやってくる。
目を閉じて今日の出来事を思い起こしつつ、明日の予定を考える。
「明日は、朝メシ食ったら勉強して、あとは昼まで一緒に遊んで……」
……。
…………。
「くぅ、くぅ……Zzz」
「すぅ……すぅ……Zzz」
「くかー……Zzz」




