58話:リン、アーサーと愉快な仲間たち
「今年はこの10人が出場することになります。試合は個人戦と団体戦の両方があるため、連携などの確認も含めて試合までの期間はこの10人で主に過ごしてもらうことになります。」
あの後、16時時点でバッチを100個以上集めていたリンとアーサー、イスラは交流試合の出場を決め、残り7枠をかけて再度試合が行われた。
予選から圧倒的強さを見せつけたライナスはもちろん、マークやイリーナも危なげなく枠を勝ち取った。実況でも紹介された4年生4人組のうち3人は運悪くレイモンドと当たってしまいあえなく脱落。リーダーのノア・アンダーソンのみが出場となった。
そして残り3枠は予選ではあまり目立っておらず、誰も予想していなかった者たちがもぎ取って行った。
1人目は3年生のテオ・ブラウン。双剣使いでなぜ予選で注目されなかったのか分からないほどの剣術スキルで対戦相手を次々と行動不能にし出場を決めた。
2人目は4年生のアイビー・ナイト。暗殺者で隠密スキルは既にレベルMAX。対戦相手はもれなく全員アイビーを視界に入れることなく床に昏倒し試合終了となっていた。
そして3人目は2年生のルカ・レイモンド。職業は勇者。なんとクリス・レイモンドの年の離れた弟で集団戦には不慣れだが、スキルの特性から1対1の戦いに突出している。だがまだまだ経験不足な面も目立つ生徒でもある。
ハンスさんの指示により、各自自己紹介を簡単に終え、なんと今からこのメンバーでダンジョンに行くことになった。全員寝耳に水という感じで目を丸くしている。
「今から?このメンバーでですか?」
「ええ、交流試合まであと1ヶ月、皆さんには特別カリキュラムということでこの1ヶ月間はほとんどをダンジョンで過ごしてもらおうと考えています。」
マークの思わずと言った声にハンスさんがにこやかに答える。
「例年通り、今年の交流試合も個人戦と団体戦の両方があります。団体戦に関しては毎年内容は不明。だからこそできるだけメンバー間の連携を取っておきたいのです。今年は学年もばらばらで初めて顔を合わせる人達ばかりでしょう。だからこそ残り1ヶ月間はダンジョンで実践を通して連携を深めていってください。」
周囲を見渡すと他の人たちも同じように周りをうかがっていた。視線を感じてそちらを見るとライナスの黄金に光る瞳と目が合った。ライナスは口角を上げてニヤッとすると全員に向けて言葉を発した。
「いいじゃねーか!楽しそうで!俺は賛成だぜ。まだ行ったことねーしせっかくならS級に行ってみたいんだが、ダンジョンのランクはどこにするんだ?」
「そうですね。たまには違うメンバーと組むのも新しい発見があっていいかもしれませんわ。私とマークはまだC級ダンジョンまでしか行ったことがないんですが他の方はどうですか?」
ライナスの言葉に賛成する形でイリーナが続ける。
「俺も同じくC級までだ。」
「私はD級だねー。」
4年のノアとアイビーもそれぞれ答える。
「私はこの前初めてB級に行きましたが実力不足を感じました……。」
続いて自信なさそうにイスラがいう。
「俺はC級までしか行ったことがない。」
「俺はまだD級です。」
テオとルカもそれに続く。
「お前ら確かこの前S級の30階層クリアしてたよな?」
「え?ここ数年ずっとクリアできてなかったあの階層か!?」
「あら、マーク知らなかったんですか?生中継もしてましたわよ?」
ライナスの言葉に全員の視線が俺たちに集まる。好奇心・驚愕・尊敬・憧憬・疑心・嫉妬など様々な感情が入り交じった視線を向けられる。
「S級をクリアできるとか、いったい今レベルいくつなんだ?」
テオが驚きと疑念が混じった顔で尋ねてくる。
「えっと、いくつだっけ??」
普通は鑑定をしない限り自分のステータスは見れないため、身体能力が上がった感覚でレベルを数えるのだが、俺とアーサーは短期間でレベルをどんどんあげた為、ステータス画面が見れないアーサーは自分のレベルを把握できていない。
「私が見ましょう。アーサーくんは今レベル55でリンくんが56ですね。この10人の中ではいちばんレベルが高くなってます。」
「え?55と56?たしかまだ2人とも10歳ですよね?」
「まじか!ちょっと俺と勝負しよーぜ!」
「どうやったらその歳でそんなにレベルをあげられるんだ!?」
俺たちのレベルを知ってみんながみんな口々に話しかけてくる。
(なんかデジャブを感じる……)
「まあまあ、みなさん落ち着いて。2人が困ってますよ。そういう話も含めて皆さんダンジョンで仲を深めてきてくださいね。それで話を戻しますが皆さんに行って頂くダンジョンですが、最初の1週間はB級ダンジョンに行ってもらおうと思ってます。」
「B級ですか!?私たちの殆どはまだC級までしか行ったことがありませんが……。」
「ええ。ですので不安も大きいかと思いますし引率の教員を2名つけます。1人は1年SSS1クラス担任、ミホーク先生。もう1人は4年SSS8クラス副担任、ハイネ先生。この2人はあくまでも皆さんが危険に陥った時の救護要因ですので基本的には皆さんだけでダンジョン攻略を進めてもらいます。ただし、今日から1週間の主な目的はレベルとステータスの底上げです。」
チラッとハンスさんがこちらを見たことでまたもや全員の視線が集まる。
「レベル上げについてはこの学園、いや世界的に見てもリンくんの右に出るものはそうそういないでしょう。そのため、上級生の皆さんの中には不服に感じる方もいるかもしれませんが、この一週間はリンくん主導の元、レベル上げを第一に励んでいただきたいと思います。目標は最低でも全員レベル10アップと言った所でしょうか。」
「1週間で10も……?」
ライナスも含め全員の背後に宇宙が見えた。
「リンくんどうでしょう?流石に無茶ですかね?」
(言葉と表情が合致してないんだよなぁ……。)
「大丈夫です。10くらいすぐに上がります。」
「リ、リン……?」
「ふふ、リンくんならそう言ってくれると思いました。では皆さん早速B級ダンジョンに向かってください。1週間後の皆さんのレベルとステータスを見て次に行くダンジョンを決めたいと思います。皆さんの検討を楽しみにしてますよ。」
終始にこやかなハンスさんに見送られつつ、俺たちはこの10人でまずは最初の1週間、ダンジョン攻略という名のレベル上げブートキャンプに出発したのだった。
ちなみに、何故ここまでハンスが交流試合に力を入れているかというと前学園長が学園資金を大量に着服しており、現在学園の経営が火の車という裏話があったりなかったり……。そのためなんとしてでも交流試合での優勝賞金や支援金が必要なんだとか……。まあこれはまた別の話……。
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以下、リン、アーサーと愉快な仲間たち
ライナス・アーシュナー
4年
金髪金眼
レベル46
マーク・スピーカー
4年
レベル43
水の魔法士
イリーナ・グラシア
4年
レベル43
炎の魔法士
アイビー・ナイト
4年
レベル42
暗殺者
ノア・アンダーソン
4年
レベル40
槍使い
イスラ・アプリコット
3年
レベル44
魔物使い(相棒:ルナ)
テオ・ブラウン
3年
レベル36
双剣使い
ルカ・レイモンド
2年
レベル32
勇者




