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異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


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53話:観戦

「あの二人、さすがだな。」


「おや、エリックやっと起きたんだね。てっきり今日はもう起きてこないかと思ったよ。」


「うるせえな、さすがに起きるわ。」


観客席に座っていたミホークの隣にドカッと座りながらスタジアムの真上、空中に映し出された無数の映像を見る。注目しているのはその中のひとつ、自分たちの教え子であるリンとアーサーだ。


「あいつら今バッジ何個だ?」


「たしかリンくんが35個でアーサーくんが32個だったかな?あ、今のでアーサーくんが34個になったね。」


画面の中ではアーサーが上級生相手に無双していた。相手の上級生も決して実力が低い訳ではないが、それだけアーサーの実力が突出しているということだった。


「は?まだ開始して1時間経ってないよな?」


「そうだね。今日の16時が楽しみだね。」


ハハハと朗らかに笑うミホークとは対称に口元をヒクつかせながら映像を見るエリック。


「あ?そういえばあの二人はパーティーを組んでないのか?」


「いや、組んでるみたいだよ?まあでも他のパーティと違って協力とかしてないから形だけみたいだけど。各個撃破して互いにバッチの個数を競ってるみたい。」


「はあ〜?上級生が必死こいて出場権を勝ち取ろうとしてんのにお遊び感覚かよ。……大物過ぎねえか……?」


「ふふ、本当に面白い子達だよねぇ。」


どこまでも朗らかで2人の様子を心から楽しんでるミホークと儚く散っていった上級生たちに哀れみの目を向けるエリック。パッと見、ミホークの方が優しく常識があるように見えるが実は逆だったりする。エリックの方が根は優しく生徒の相談などにも親身になるので上級生からはエリックの方が人気なのだ。ミホークはどこまで行っても快楽主義者の愉快犯のため、実力があってイケメンなのだが生徒人気はエリックの方が上だし女性にもモテるがすぐに振られる。まあ彼は楽しければいいタイプなのでそんなこと気にしていないが。


「そういや、リンどこいった?」


「ん?あーあそこだね。」


ミホークが指さした先の映像にリンが映っていた。それも上級生15人に囲まれた状態で。


「……多勢に無勢だな。」


「リンくん有名になったもんね。なんて言ってるかは流石にわかんないけど"1年のくせに調子に乗りやがって"とかかな?あの子たちも出場権を狙ってるんだろうに馬鹿だなぁ。」


組んだ膝に頬杖をつきつまらなさそうにため息をつく。徒党を組んで実力もないくせに威張り散らしている上級生達を冷ややかな侮蔑を含んだ目で見ている。


「おい、ミホーク。お前今は曲がりなりにも"先生"なんだからその目はやめろ。」


エリックの言葉に一瞬キョトンとした顔をしたがすぐにニコッといつもの朗らかで飄々とした"ミホーク先生"の顔に戻った。それを見てエリックがふぅと息をつく。


「分かってるよ。大丈夫、ありがとね。それよりリンくん、この前のダンジョンで新しい魔法を習得したみたいなんだ。見てよ。」


言われるがまま映像を見ると、リンの両手には紫色の短剣のようなものが握られていた。


「なんだあれ?」


「まあみてなよ。」


言われた通り見ているとリンはまず正面に立っていた生徒の元に瞬く間に近づくとその短剣で相手の首を狙って斬りつけた。だが咄嗟にその生徒も防御の姿勢を取り、実際に短剣が斬ったのは生徒の右手首。急所では無いため、ダメージも本来ならば到底90パーセントには届かないはず。しかしその生徒は斬られた瞬間にその場に崩れ落ちほとんど動かなくなった。


「……は?」


続けてそのすぐ横にいた生徒にも斬りかかり、その生徒には頬を掠めた程度だったが同じく次の瞬間には地面とお友達になっていた。


「……」


そこまでダメージを貰ってないはずなのに次々と地に伏していく生徒たちにエリックは開いた口が塞がらない。ミホークはエリックのその顔を見て腹を抱えて笑っている。


「ふふふ、すごいよね。あれ毒魔法らしいよ。相手を痺れさせる毒なんだって。彼、毒魔法をちゃんと使うのがこの試合が初めてだからさっきから色んな生徒に毒魔法使って効果を試してるみたいなんだ。で、結果、ちょっとでもあの毒に触れたりかすったりしただけで一瞬で全身が痺れて動けなくなるみたい。毒の形も帰れるからあーやって短剣の形にして無双してる。チートすぎるよね、ほんと最高!ふふっ!」


ミホークはあの毒魔法が気に入ったのか、それともリンの無双ぶりや上級生に対する容赦のなさが気に入ったのか饒舌になり上機嫌だ。エリックはミホークから解説を聞いた上で更に顔を引き攣らせている。


「……あいつはどこまで成長する気なんだ。たしかまだ10歳だろ。才能の塊すぎる……。」


最後は逃げ出した上級生数人を毒の短剣を飛ばし頭や首、心臓に命中させダメージを与えると共に痺れさせて倒していた。


「えげつな。」


「アハハハハ!最っ高!」


痺れて動けない上級生を足で転がして上向きにし無慈悲にバッチをもぎ取っていくリンを見て高笑いするミホークとは真逆に、映像に映っているアーサーと同様ドン引いた顔を晒すエリックがその日目撃された。


【バッジ数】

リン 50個

アーサー 43個

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