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異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


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49話:蒸発

「ここは……」


「ゼクト、ローズ、索敵を頼む!」


「さっきからしてはいるんだが俺たち以外に気配は感じられない。」


「私も同じく〜。」


扉の先、視界に映ったのはここ数日ずっと目にしていたあの沼地だった。規模はおよそ10分の1程だがそれでも十分大きい。


(この沼地があるということは……)


「もしかしてこの階層のボスはスライムか……?」


アーサーも同じことを考えていたらしい。俺の隣でボソッとつぶやく。


「なにか出てくるぞ!」


ゼクトの耳が何か音を拾ったらしい。全員その声を聞いて一斉に警戒態勢に入った。すると沼の中央がだんだん盛り上がりボスが姿を表した。


出てきたのは緑色のスライム。この世界ではアシッドスライムと呼ばれる魔物だ。


「待て!まだ気配がする!」


アシッドスライムを見てすぐさま切りかかろうとしていたクリスたちを押しとどめ沼地を注視していると次々と赤色、紫色、銀色、水色の巨大なスライムが出てきた。


今回のボスはどうやらアシッドスライム、マグマスライム、ポイズンスライム、メタルスライム、アイススライムの5体のようだ。


「やつらには有利属性と不利属性がある!」


シュベールによるとアシッドスライムは炎属性が有利で物理(金属)が不利。マグマスライムには水属性が有利で風属性と物理(金属)が不利。ポイズンスライムは風属性が有利で水属性と物理(金属)が不利。メタルスライムは炎属性と酸属性が有利で物理は不利。アイススライムは炎属性と雷属性が有利で風属性が不利だそうだ。


「くそっ、ほとんどが物理攻撃不利じゃないか!作戦変更だ!!アシッドスライム、マグマスライム、ポイズンスライムはリンを中心にシュベール、ミホーク、シリネ、ハクで優先的に撃破してくれ。俺たちはその間メタルスライムとアイススライムがリンたちに近づかないように対処しつつスキルなどで援護する!」


クリスの掛け声で魔法班と物理班に分かれ攻撃を開始する。スライムたちも地面を這いずるように巨体を動かし俺たちの方に向かってくる。


と、一斉にスライムたちが体を震わせ始めたかと思うと体からそれぞれの属性の玉を飛ばし攻撃してくる。金属、氷、炎の玉に関しては剣で対応できるが酸と毒に関しては下手に斬ると飛沫が飛び散り負傷に繋がる。


「くっ!」


ゼクトの方に酸の玉が多く飛んだらしく、避けきれずに右腕に当たってしまったようだ。服が溶け肌が爛れている。


「ゼクト!」


「大丈夫だ!このぐらいどうってことないからスキルは使わなくていい!」


心配したシリネがすぐさまスキルを使おうとするがゼクトが魔力を温存させるためそれを断る。


「また来るぞ!」


話す暇を与えないというようにスライムたちが次々と属性玉を飛ばしてくる。全て避けきるには数が多すぎるため、剣などで斬りながら対処しなければいけないが、酸や毒を斬ると逆に危ないため瞬時に見極めが必要だ。


クリスたちは属性が入り交じった素早い攻撃に四苦八苦しているようだ。だが、ミホーク先生とアーサーだけはなんなく対処できている。


「お前たち、すごいな」


「なんでそんな瞬時に判断できるんだ?」


近くにいたクリスとシュベールの疑問に対して2人はなんともないように、


「「リン(くん)といたからです(ね)!」」


と答える。どうやらユニークスキルを使ってダンジョンをスピード攻略した経験がアーサーとミホーク先生の動体視力の向上に貢献したらしい。なぜかクリスたちが奇異と哀れみの目でアーサーたちを見ているのが気になるが。


(まあそんなことは置いといてそろそろ俺も戦わないとな。)


「目下の驚異はアシッドスライムとポイズンスライムだと思うのでまず炎魔法でアシッドスライムから倒します!そのまま余裕があればメタルスライムとアイススライムも同時に対処します!その次は風魔法でポイズンスライムの討伐に入るのでユニークスキルを使う間、援護をお願いします!」


みんなからの了解や任せて!という声を聞き、俺は早速ユニークスキル"Fire"を発動させる。


「リン!アシッドスライムは炎属性に弱いが半端な火力では倒せない!森を燃やした時よりもさらに高火力で攻撃できるか?」


歌い始めて初っ端は炎玉をぶつけようと思っていたがシュベールから声がかかり考えを改める。


(ダメだな、最近手頃な魔法から使う癖がついちゃってるかも。)


シュベールに目線で頷き、すでに出した炎玉をどんどん手元に集めて圧縮していく。さらに追加で炎を出し密度と温度を高める。


炎の色が赤から黄色、白を経て青色に変わったところで次は炎の大きさをスライムと同じくらいの大きさにしていく。


この間にもスライムたちは攻撃を仕掛けてきているがアーサーたちのおかげで俺に攻撃が届くことはなく炎の生成に集中できている。炎魔法が使えるシュベールやミホークもこちらに近づいてこようとしているアシッドスライムに牽制で炎玉を放ってはいるが、アシッドスライムの体表が少し蒸発するだけで魔力消費量に比べほとんどダメージを与えることができていない。


シュベールの言った通り炎玉で対処しようとしていたら倒すことはできなかっただろう。


炎玉が大きくなるにつれ身を焦がすような熱気が襲ってくる。


「リン、まだか!?これ以上はもう持たない!」


スライムたちが遠距離攻撃に加え触手を伸ばした近距離攻撃も行うようになったためクリスたちにも焦りが見え始めた。


だがこちらもちょうど炎が完成した。アーサーがチラッとこっちをみて俺が攻撃態勢に入ったのを確認すると


「皆さんアシッドスライムから離れてください!リンの攻撃に巻き込まれます!」


と声をかけスライムの近くにいたメンバーを退避させた。


アーサーのおかげで味方にあたる心配がなくなったため、完成した青い特大の炎玉を思いっきりアシッドスライム目掛けて投げつける。


炎は一直線に飛んでいきアシッドスライムに命中。ジュッという音とともに一瞬でアシッドスライムが蒸発しその場にはまるで最初から何も無かったかのように魔石すら残されていなかった。

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