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異世界でもアイドルデビュー!?~アイドルの経験を活かして無双します~  作者: Nanairo


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47話:誰を選ぶ?

「うわ、すご!力がみなぎってくる。」


ダンジョン3日目朝、準備を整えた俺たちはまず昨日閉じ込めておいたスライムの処理に取り掛かった。一晩で思ったよりもスライムが出現していたらしくゼクトが毛を逆立てていた。ドーム内ではスライムたちがほぼ天井付近までひしめき合っており飽和寸前になっていてその音がゼクトには気持ち悪いとの事だ。


あまりにもスライムが多く、ドームを解除すると俺のユニークスキルでも処理が追いつかない恐れがあった為、話し合った結果ドーム内でユニークスキルを使うことにした。


そのため、現在外から見ると何の変哲もないドームに向かってただ俺が"Wind"を歌ってるだけに見えている。だが実際はドーム内で次々とスライムがミンチにされ俺たちの糧となっている。


「この2日間でこんなにも簡単にレベルが上がるとは…」


クリスが手を開閉させながら呟く。クリスたちは元々高レベルなため、レベルアップに必要な経験値も桁違いだ。そのため通常であればS級ダンジョンに毎日潜ったとしてもレベルアップに最低1~2ヶ月はかかっていたそうだ。特にここ一年ほどはこの階層の特性のためにほとんど魔物を倒すことができずレベルアップもできていなかったようだ。


「リンくん、やっぱり私と結婚、ぐはっっ」


「リンの邪魔をするでない!」


「ハクも懲りないね〜」


レベルアップに感動したハクが歌っている最中の俺に結婚をせまろうとしたが言い切る前にディクトルに鉄拳制裁されて引きずられていった。その様子を残念なものを見るような目で全員が見つめている。


中のスライムがだいぶ片付いたところでユニークスキルの使用を中止した。数が少なくなると目視なしじゃスライムの核を捉えて倒すのはなかなか難しい。


「ふう、とりあえずこんなものですかね。」


「すごいわ、たった数十分でレベルが2つも上がっちゃった。」


「魔力が上がったのを感じる…。」


「この感じ、俺は敏捷と攻撃力が上がったみたいだ!」


全員が体を軽く動かして自分のステータスを確認する。おそらくレベルアップ分以外にも俺の歌を一日中聞いているため少しずつステータスが上がっているはずだ。


かく言う俺もレベルが50に到達した。新しい魔法とユニークスキルを獲得したが検証はこの階層を攻略してからゆっくりすることにする。


(スライムの経験値美味しすぎる…。)


「この後はどうする?また、スライムが増えるまで待つのか?」


「うーん、そうしようかと思ったんですが、時間がもったいないのでここはこのまま放置して先に別のエリアの魔物を倒しに行きましょう。」


「賛成〜。」


「じゃあここから北東のエリアに行きましょうか。そこから西に進んで夜にまたここに戻ってきましょう。」


ミホーク先生の提案に全員同意し、ドームはこのまま放置したまま攻略を進めることにした。


「…」


「…」


「…」


「…」


「…その手は何、ですか?」


攻略を進めることにしたのだが、ゼクト、シリネ、ハク、アーサーが両腕を広げてこちらを見つめている。何なら面白がって後からミホーク先生も加わった。


「昨日リンが寝ている間に誰が今日リンを抱っこするかを話し合ったんだけど結局決まる無かったからリンに選んでもらおうと思って!もちろんリンは俺を選ぶよな??」


「いやいやリンは俺の耳やしっぽが好きみたいだし俺のとこだろ?安定感も抜群だしな!」


「アーサーくんもゼクトも昨日リンくんを抱っこしてたじゃない!今日は私に抱っこさせて!」


「ここは将来の伴侶となる私ガッ!!」


「すまんな、ハクは無視してくれ。」


ハクの手だけワキワキしてて少し気持ち悪かったのだが、またも、ハクが言い終わる前にディクトルが拳を振り下ろして回収して行った。

ミホーク先生は手を広げてはいるがただニコニコとこの状況を楽しんでいるようだ。


まともそうなクリスやシュベール、ローズに助けを求める視線を送るがクリスからは無言の眼差しを送られ、シュベールはそもそもこっちを見ておらず、ローズも欠伸を噛み殺している。


(クリスさん、それどんな気持ちの顔なの…?そもそもなぜ俺は抱えられる前提なんだ…。最初に倒れたのがまずかったのか…。)


期待の眼差しを送ってくる3人についてそれぞれ選んだ場合のことを想像するが、誰を選んでも後々めんどくさそうだ。


(でも自分から抱えられに行くのめちゃくちゃ恥ずかしい。)


俺は考えた末に今日の抱っこ係を選んだ。


「おや。」


「予想外のライバルだな。」


「えー、リンくんなんでー!」


「……」


俺はただ状況を楽しんでいるだけの愉悦犯であるミホーク先生を選んだ。俺を助けてくれず面白がった罰だ。


「私を選んでくれるとは光栄だね。じゃあ今日は一日私がリンくんの足になろう。」


俺をヒョイっと持ち上げるとゼクトみたいに左腕だけで俺を抱えてほかの候補者たちをニコニコと見渡していた。


(この人、見た目細いのに筋力凄いんだよな。ていうか胸板ガッチリしてる…。羨ましい…。)


ゼクトは残念そうにはしているがもう既に切り替えて次のエリアに向かおうとしている。シリネも泣き真似をしながら頬を膨らませているが想像していたよりはめんどくさくない。アーサーに関しては俺がミホーク先生を選んでから一言も発せずに固まっている。


「ありゃりゃ。アーサーくん、ショックを受けすぎて固まってるね。どうする?リンくん。」


ミホーク先生は他人事のようにクックッと喉を鳴らしながら笑っている。


他の人たちはもう既に次のエリアに向かって歩き始めておりちょっと距離ができてしまっている。


(アーサー、俺の事好きすぎかよ。)


一旦ミホーク先生に下ろしてもらい、アーサーの傍に寄って耳に囁く。


「××××××××。」


その言葉によってアーサーは急激に顔を赤くし現実に戻ってきた。


「…アーサーくんに何を言ったんだい?」


「…内緒です。」


アーサーの挙動不審を見てミホーク先生が尋ねてきたが、俺も恥ずかしいので秘密にする。


ミホーク先生は首を傾げながらもこれ以上聞くのは野暮だと言うように追求することはなくほかのメンバーに追いつくように歩くスピードを早めた。


「アーサー、置いていくぞ。」


「あ、うん。」


まだ少し顔を赤くしてボーッとしているアーサーに声をかけてからみんなと合流し、ダンジョンの攻略を進めて行った。

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