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命名!「天然危険物」

俺は昔、かなり短気だった。

小学生の頃はよくケンカしていた。

どのくらい喧嘩っ早かったかと言うと

まあ鼻血ぐらい出るが大けがはしない、よくある子供の喧嘩だ。

中学に上がると剣道部でしごかれて、喧嘩をする元気もなくなった。

そんな俺が最後に人を殴ったのは、中学二年の理科の授業だった。

黒板で問題を解き終えて自席に戻ろうとした瞬間、クラスのお調子者が脚を出してきた。

うまく引っかかりかけた。前につんのめったが、倒れずに踏みとどまった。

その瞬間、振り返りながら右フックを放っていた。

お調子者は二メートルほど飛んだ。

飛んでいく姿を見た瞬間に思った。

「ヤバい。俺がマジに殴ったら人を殺す」

バランスを崩しながら放ったパンチでそれだった。

それでも人が飛んでいった。

もし、マジに体重を乗せてストレートを打ったら、相手が死ぬ。

拳に残った三日月型(半月型)の拳咬傷を見ながらそう思った。

それ以降、人を殴るのをやめた。


自分から喧嘩を売ることはない。

売られた喧嘩も買わない。

それでも襲い掛かってくる奴は殴らせる

鼻や口、局部など正中線を殴らせなければいくら殴られても大したダメージにはならない。

ちなみにミゾオチは殴っても無駄。

俺の腹筋を貫くパンチを出せるような化物は俺とは喧嘩はしない。

化物同士の喧嘩は勝っても負けてもダメージが大きく、病院行きになるので喧嘩はしない。

実力差も判らずに喧嘩を吹っかけてくるのは「弱い奴」が多い

そんな「弱い奴」に殴られながら接近して、捕まえて、抱きしめる。

優しく。口から内臓が飛び出すように力強く抱きしめる。

別名はベアハッグもしくは鯖折りというそうだ。

それだけで大体は降参した。

口から七色の虹を出しながら降参した。


余裕があるときは軽くベアハッグしながら頬を舐めてやる。

だが舐めようと俺が舌を伸ばすとみんな必死に逃げていく。

そしてなんとかベアハッグから逃げ出した奴は二度と俺には寄らない。

逃げられずにダチョウ倶楽部の上島竜兵のように顔を舐められまくった奴は死んだような顔になる。

死んだ顔をしている奴はリリースしてやるのだが、速攻で逃げて行き、絶対に俺には寄らない。


もっと弱い奴は抱きかかえながら額を撫でてやる。

胡桃を割る握力で優しく、胡桃を割るように力強く額を撫でてやる。

別名はアイアンクローというそうだ。

「頭が!割れる!割れる!!割れる!!!割れる!!!!割れる!!!!!」

と騒ぐのでリリースしてやる。

この後の行動が面白い。

半分は脱兎のごとく逃げていくのだが、もう半分は真っ赤な顔をして殴りかかってくる。

この手の奴は顔中を舐め廻してベトベトにしてやる。大人しくなるまでジックリと!

気づくと学校一番のヤンチャグループが俺を仲間扱いするようになっていた。

別につるむわけでもないが会えば冗談も言ってくるし、

学校のイベントでは同じグループに入れようとする。

「俺はお前たちとは違うんだよ!」

と言って拒否するが何故か妙に親しくなろうとする。

おかげで俺に喧嘩を売るバカはグッと減った。

そのあたりから呼ばれるようになった。

「天然危険物」と。

自分でも否定できなかった。


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