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胡桃割り人間

漫画やアニメでよく見る、胡桃を手で割る"膂力アピール"。


本当にできるのか?


高校生の頃の俺は、それを確かめてみたくなった。


長野でたまたま安く胡桃を三十個ほど手に入れたのが始まりだった。


最初は、よくある描写のように胡桃を二つ右手に握り、ゴリゴリ音を立てながら授業を受けていた。


人間の手で胡桃を割るには、約80kgの握力が必要と言われているらしい。


「ゴリラじゃあるまいし、割れるわけないよな」


そう思っていた


一週間後。


バリッ。


片方が割れた。


「おお……まあ、たまたまだろ」


そう言いながら一個入れ替える。


3日目。バリッ。


翌日。バリッ。


さらに入れ替えた胡桃は、その日のうちにバリッ。


以降は1〜2時間でバリッ。


仕方がないので左手に持ち替えた。


一週間後。バリッ。


3日目。バリッ。


翌日。バリッ。


二週間も経たないうちに、握った瞬間にバリッと割れるようになってしまった。


仕方がないので今度は胡桃を一個にしてみた。


「これなら割れないだろ」


……二週間後。バリッ。


3日後。バリッ。


翌日。バリッ。


左手に変えても。バリッ。


結局、一ヶ月も経たないうちに左右どちらでも簡単に胡桃を割れるようになってしまった。


「……もしかして」


そう思って、今度はリンゴを右手で握ってみた。


外に出て、右手にリンゴ、左手にコップ。


力を入れる。


グシャッ。


リンゴは簡単に潰れ、左手のコップにはリンゴジュースが出来上がっていた。


「胡桃では簡単すぎ!金の無駄!」


それ以降、俺は金属製のハンドグリップ五十キロを握りながら授業を受けることにした。


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