おおきなかぶ_
昼休みに、腕相撲をすることになった。
理由は覚えていない。気づいたらそういう流れになっていた。
運動部系のクラスメイトは既に校庭や体育館に遊びに行ってしまい、
教室に残っていたのは非体育会系ばかりである。
二の腕が俺の手首ぐらいしかない同級生が俺に挑戦してきた。
「よし!やろうぜ!」
どこから俺にチャレンジする気概が出てくるんだろう?
断る理由もない。俺は右手を出した。
レディー、ゴー!
相手はなにやら藻掻いているが俺の腕はピクリとも動かない
マジか?こいつはマジに俺の腕を倒そうとしているのか?
真っ赤な顔になっている相手を見ていると
立ち上がって俺の腕を倒そうとする。
動かない
俺の腕は微動だにしない
「両手で行く?」
と言うと相手は即座に両手で俺の腕をつかんだ。
動かない
俺の腕は微動だにしない
相手は両手で全体重をかけて引っ張った。
動かない
俺の腕は微動だにしない
隣で見ていた同級生も一緒に引っ張る
動かない
俺の腕は微動だにしない
腕相撲と言うより童話の「おおきなかぶ」である
三人目の同級生も入ってくる
動かない
俺の腕は微動だにしない
もし野球部やラグビー部員がいたら負けるだろうが
この場には非体育会系ばかり
四人目の同級生も入ってくる
やっと、俺の腕は倒れた。
それと同時に昼休みが終わるチャイムが鳴った。
静まり返る教室内。
四人は、肩で息をしながら、言葉もなく自分の席へと戻っていく。
俺だけがなんだか大人げないことをしたような、
少しだけ申し訳ない気分で座っていた。
すると、小学生の頃から俺を知っている親友が、
俺の横を通り過ぎる際にボソッと呟いた。
「……さすが、天然危険物」
俺は苦笑いするしかなかった。




