1話 透明人間
「さよなら、ジョン先生…」
横たわっている人影
………
……
…
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<アカサタ小学校 体育館>
女子児童
「ミッケちゃん!任せて!」
ミッケはバレーボールの落下地点に居たが女子児童がミッケに声をかけ落下地点に。
女子児童
「ミッケちゃん!私達頑張るから安心して!」
ミッケ
「あ…ありがとう」
ミッケは伏し目がちにお礼を言った。
男子児童
「ドッヂボールやろーぜー!」
ミッケは目を輝かせてスピードがあるボールを紙一重で避け続けている。
ジョン
(バレーボール、鬼ごっこ、ドッヂボール見たが…。この子…どの子よりも逃げるのだけは上手い…!一番最後まで生存している!それにギリギリ避けようとしている?)
男子児童
「まーた透明人間かよーいっつもこいつ残るよなー!存在感ねーやつがちょろちょろ逃げ回るからなかなか終わんねー!」
あくびをする児童。
ミッケはあくびをしている子を一瞬見た。
女子児童
「あっ…」
フワッ…
ミッケは女子児童が投げ損じた緩やかなボールに当たる。
男子児童
「いっつもこんな弱弱ボールに当たるよなードジー」
笑いながら男子児童が言った。
ジョン
(ん?あんなのに当たった?終わらすためにわざとか?…速いスピードのは痛いからあの遅いのにわざと当たったのとか…?この歳でダメコン?この子、目立たないように、痛くないように「透明人間」を演じている?いや、そんなことあるわけないか…まだ小さな子供だ…。避けて逃げている時のあのキラキラ…)
ジョン
「ねえ、ちょっといいかな?いつも最後まで逃げ続けれてるけどなんか秘訣あるのかな?」
ミッケ
「え…?え、えっと…だ、ダメですか?」
ジョン
「い、いや!全然ダメじゃないよ!すごいなーって!」
ミッケ
「…め、目立たない存在…透明人間みたいなだけです…。それにドッチボールは強いの当たると痛いからただ避けて逃げてるだけです…」
ジョン
「!透明人間が逃げたら最強だ!」
ミッケ
「えっ…?」
ジョン
「だって最後まで生き残るのって、勝ちだよ!逃げるが勝ち!ってやつだ!」
(この子、猫のようなしなやかさとすばしっこさ、それに存在感が無いというか意図的に消しているような…でも、それだけではない…)
キーンコーンカーンコーン
ミッケ
「あ…次の授業あるので、し、失礼します」
目線は常に下向きで一礼した後、誰よりも一蹴りが速く駆け抜けて行った。
………
……
…
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コンコン
ジョン
「どうぞ」
ミッケ母
「初めまして。ミッケの母です。ミッケに勇者は無理だと言ってやってください。ミッケはもう11歳で勇者を目指すには遅すぎですし…それに才能…」
ジョン
「確かに…確かに、勇者は誰でも簡単になれる訳でもありません…」
ジョンは俯く。
ジョン
「その道の家系、血脈があっても、才能あふれる子が3歳などの幼少期から血の滲む努力をし勇者を目指しても、志半ばで折れてしまう人、挫折する人がほとんどです…この競技には、場所と、設備が必須…それにお金も…」
涙ぐむ母親。
ジョン母
「…はい…あの子の姉も5歳から目指し努力しておりました…ですが…あんなことに…」
涙の雫が落ちた。
………
……
…
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「いいよ。ジェーンやる」
その一言が伝説の始まりだった。
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<水晶板の画面>
フラッシュの嵐。
無表情でダブルピースをし続けている少女。
少女は表情変えずにダブルピースし続けている。
テロップに、競技勇者優勝 星川 ジェーン ジェンドゥ 11歳 HSC所属と表示されている。
そのジェーンドゥの横には、ダブルピースしジェンドゥよりも明らかに嬉しさ爆発させている男性。
テロップには、HSCコーチ 佐藤 デビッドと表示されている。
司会
「優勝おめでとうございます。今回もクァッドが完璧に決まっていましたが何か秘訣はあるのでしょうか?」
ジェンドゥ
「ないよ。ただ練習した事をやっただけ。こうなるようにするのがデビッドの仕事だからデビッドをもっと褒めてあげて」
デビッド
「おおー!ジェーンドゥ!ありがとう!なんて良い子だ!皆さんこれが奇跡の天才の子です!これだけの実力がありながらなんて謙虚で健気なのでしょう!それについ最近教えたこのダブルピースもッ完璧に使いこなすなんて!ああ!なんて可愛いのでしょう♡」
ジェンドゥ
「デビッド、デビッドの心拍数上がってしまうから落ち着いて」
司会
「それでは最後に一言お願いします」
ジェンドゥ
「何者でもない自分を拾い、居場所を創り、ここまで育ててくれたデビッド、ありがとう。クインティプルやるよ」
司会
「いつか来る魔王再来への備えとして、世界各国の選抜勇者が競い合い闘い合うのが、競技勇者です。平和の祭典、世界対抗競技勇者はすでに始まっています。今大会で優勝した魔王討伐勇者スポーツに最も近いとされている星川 ジェーン ジェンドゥ選手が最有力候補にあがっています」
………
……
…
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<薄暗いミッケの部屋>
ミッケの瞳には水晶板の画面に映し出されている光景。
モンスターの攻撃を華麗なステップで避け、
一蹴りで加速、
グーッと長く光の尾を引くような驚異的な滑走、
滑らかで無駄な力が抜け速度に乗ると、
重力に反した跳躍力での四回転、風を切り、一直線に敵の元へ、剣で舞う。
瞳だけ爛々と輝かせながら、オーケストラの音色と完璧にリンクし芸術的な動きでモンスターを倒し続けるジェンドゥの姿。
魔法の砂により実体がある具現化したモンスターは、討伐された瞬間に光の粒となって霧散した。
ティンパニーの最後の打音と最後の一体を倒すタイミングが完全一致し静寂の中、光は霧散。
その光景を瞬きせずに食い入るように瞳に焼き付けている。
手元には三池 叶 ミッケと書かれ、ジェンドゥのキラキラシールが貼られている手帳とペンをギュッと握りしめている。
暗闇の中、目いっぱい口角が上がっている口元。
———
続く
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