14話 閑話 帰ってきたら後始末
本当は新年開始と同時にやるつもりだったけど遅れてすんません!
あけおめ!
さて...どうしたものか。
俺たちは今、帰路にいる。
同伴者その一、寝起きでウトウトしているリシア。うん可愛い。
その二、飛んでいる蝶々を追いかけ回すヘスターシャ。うん微笑ましい。
ってやかましいわ!
そして……。
その三、遠くでこちらを見てニヤついてるブライン。
いやこっちに来てくれッ!
俺一人じゃここは辛いんですが!
元ニート彼女いない歴=年齢の純粋DTなんだッ!
……いや、余計な思想さえしなけりゃなんともないがな。
現世の色恋ゲーで鍛えられてんだ。
カカカッ!
本題に入ろうか。
何が問題かと言うと、まず一つに、母親の説得だ。
ここに関しては、あまり問題視はしていない。
父親よりかは面倒かもしれんけど、どうにかしてやるさ。
そして二つ目、こちらが重要である。
ヘスターシャの立場だ。
あの時は咄嗟に、「猫耳メイドの誕生ダッ」なんて言ったが、まだ本人の希望を聞いていない。
チッ、ヘーゲルの野郎め……難しい問題を出しやがる。
うちにも得があり、本人も納得するような立ち位置か。
うーむ……。
いや、ここは一旦帰ってから決めても良いのかもしれない。
情けない話、うちの大黒柱は母だ。
使い方が合っているのかは知らんが、家事全般を受け持っているのは母なのだ。
なら家での立場も、母上様のお取り決めがよろしいと思いまする。
とりあえず今は、シアを家に送り届けよう。
ん? 何だこれ、寒気がするんだが。悪寒に近い、背中をゾクゾクさせる方のやつが。
…………
森から抜けて1時間、ついに見えた。
ツキナミ村の看板だ。
ミルモスさんの家は結構近くにあったはず。
「おーいシアー、起きろ、家だぞー」
「むにゃ……あと五分だけェ……」
「ここまで歩いてきた奴が言うセリフかっ! 家だぞ」
「家……あ」
顔に覚めた空気が漂った。
やっと起きたか。
「家……村……グスッ……お父さぁん」
「おい! 走んなって転ぶだろ! って、げっ……」
俺の目に飛び込んだもの、いや者、か。
鬼の形相でこちらを睨みつけている男が向こうにいる。
しまった! 忘れた!
※リシアのお父さまとは、助けた後にパーティーをしに行く約束をしていた。
「……あははーミルモスさん。ご無沙汰しておりますぅ……」
「えぇ、えぇ、そうだねぇ。ご無沙汰しているねぇ。ところで、昨日の夜の件なんだがねぇ」
「ウグっ」
「せっかく作った飯がどうなってんのかぁわかってんのかい? あぁん?」
「ひぃ!」
あ、ありゃぁ……こんな人だっけミルモスさんって。いや、ミルモスの旦那と呼んだ方がいいのかも知れない。
とりあえずここはお父様に任せておこう。
うん、それがいい。
あの二人仲良さそうだったし?
あの賢明なパパだったら丸く収められるだろうし?
「お父さまー! ……嘘だろ」
振り返ると、そこには……誰もいなかったッ!
なっ、んだと。
今のこの瞬間に姿を消したというのか!
なんて素早い逃げ、俺ですら見逃しちゃうね。
ってふざけてる場合か!
なーにやってくれてんだこの意気地なしパパが!
「なにそっぽ向いとんだァ? うちの娘に何かあったらどうケジメ付けるつもりだったんだゴラァ」
「あ、でもホラ! 何もなかったではありませんか!」
「そんなんで解決したら落とし前が付かないことぐらいわかってんだろうが、この馬鹿野郎がよォ」
「はいぃぃぃ……」
「こりゃぁ指の一本や二本いただかねぇといかんなワレェ」
てか待てよ……異世界にヤ◯ザ文化なんてものがあるのか?
確かにさっきまでは全く不自然に感じなかったが、それは俺にジャパニーズ文化としてのノウレッジ,あ間違えた、知識が備わっていたからだ。
それなのに、親っさんは一発でそれを再現してみせた。
考えられる根拠は一つ、こいつも……知っているということだ。
試してみるか……? 俺の本当の母国語“日本語”を。
「親っさん! 大変申し訳ございませんでしたァァァァァァァ!」
「お、おう。やればできるじゃねぇか」
「そこで何ですが、親っさん、今から言う言語について何か心当たりはないか、答えてもらえないでしょうか」
「おう、言ってみろや……じゃなくて、うんいいよ」
『こんにちは』
「ふーむ……ごめんね、私が知ってる言語に当てはまるものはないみたいだ」
「そうですか……ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、私の方も少しムキになってた節もあると思うから、今後ともよろしくやっていこうじゃないか」
「そうですね、はい」
そうして、俺は一旦その場を後にした。
早めに切り上げないと、遠くの家のドアの端で涙目になっていた少女が可哀そうだから。
そういや、誰か一人足りないような……まぁいいか。
…………ーーーーーー…………
とりあえず家まで着いた。
思い出したが、足りなかった一人はブラインだったわ。
あのヘタレ野郎、子供を残して敵前逃亡するなど親失格だぞ!
まぁ今はそんなこと言ってもどうにもならん。
問題はシーラだ。
多くのアニメのお母さん枠は、だいたい
「うちでは飼っちゃいけません!」
っていうものだが、さてうちの母さまはどうなることやら。
とりあえず扉を叩こう
「ただいま戻りました!」
「……はーい! あ、シュウ帰ってきたの! おかえりなさーい、ママ寂しかったのよー?」
「アハハ……それはすみません」
いつも近いねぇ奥さん。これが母子愛ってやつかい?
悪くない気分ではあるが。
「で、そっちの子はだぁれ?」
「紹介が遅れました。こちら、獣族のヘスターシャと言います。今日からうちに住ませていただくことはできないでしょうか」
しまった緊張で口が滑った!
もうちょい段階踏んで言うべきだったか……。
やばいどうしよう。
そんな急に言われてもって顔に……なってない?
「えぇ? それならぜんぜんいいわよ?」
「……え待って、本当ですか?」
「もちろんよぉ、こんなカワイ子ちゃんほっとけ無いでしょぉ?」
「で、その手は?」
「……? あらやだ」
「ふニャァ、気持ちよかったのにぃ」
シーラが勝手にケモ耳をもふもふしていた。
妬ましい限りである。
ていうか、こんな簡単に終わるもんなのか。
心配して損した気分だったわ。




