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お花畑女子のゆるふわダンジョン最強説  作者: 豆の木豆太郎
どうなっちゃうの!?最強無敵の花畑ダンジョン
68/71

24.ダンジョンバトルトーナメント開催!


大幅に改稿しています。改稿前の物をご覧になった方は別物だと思ってお楽しみ頂けたら。


 

 目を開けるとそこは雲の上だった。

 見渡す限り続く空は不思議な色合いをしていて、左を見れば花紺青の星空が広がっていて、右を見れば朝焼けの鮮やかなあけぼの色が広がる。一つのキャンバスの中で移ろいゆく空模様はいつまでも眺めていられそうですごく綺麗。


「ハル様。案内の方がお見えです」


 マイスにそう言われて辺りを見回すと、白い布を纏った女の人がこっちに歩いてくるのが見えた。

 ていうかここら辺にいるのあたしとマイスだけなんだけど、他のみんなはどこいったの!?


「ようこそおいで下さいましたハル様」


 案内の人が言うには、ダンジョンのみんなは控え室にいるらしい。あたし達ダンジョンマスターとマネージャーは神様が待つ宴の間に集まるんだって。

 案内の人に続いて歩いていく先には大きな神殿が見えている。薄く輝く白い石柱が何本も立っていて、いつの間にか足元も同じ石のタイルが敷き詰められてた。めちゃくちゃ綺麗でツルッツルのピッカピカ!


 円形の神殿に入ると、正面にはどこか見覚えのあるおじいちゃんが椅子に座ってる。

 長机にはご馳走が載っててめちゃくちゃ綺麗な人とか逞しい人が並んで座ってるんだけど、あの人達が神様ってこと?


 案内の人がお辞儀して下がっていくと、見覚えのあるおじいちゃんがオホンと咳払いをした。


「お主が最後じゃな。…オホン。18のダンジョンマスターよ、よくぞここまで生き残った。其方らの奮闘しかと見させてもらったぞ」


 声もどこかで聞いたことがあるような…。


「この時をもって、其方らには天界及び冥界での居住権が与えられる。ダンジョンマスターとしての生を終えた後は神々の座に迎え入れられることだろう」


 少し薄くなった白髪頭に長い髭、布を巻いただけの寒そうな格好に月桂樹の冠……あれ?もしかして、マルニューで買い物してる時に話し掛けてきたヤバ気なジジイじゃない!?

 あのジジイが一番偉い神様だったわけ!?ていうか声出ないんですけど!どうなってんのよ!!


「存分に食べて飲んで楽しんでもらいたいところじゃが、その前に伝えていた通り余興を行ってもらおうと思う。そのトーナメント表がこちらじゃ!」


 文句の一つも言ってやりたいところだったのに身動き一つできないせいで見てるしかなかったんだけど、ジジイはノリノリでトーナメント表を発表してる。何が「ドンッ!」よ!!

 とりあえず怒っててもしょうがないし、トーナメント表を見てみるとあたしの名前があった。何々?「人族ハルの花畑ダンジョン」ね。それで相手は…オーク族?


「ブフゥ!花畑ダンジョンだとぉ?こりゃ楽勝そうだなぁ」


 あたしのこと呼んだ奴がいたからそっちを見ると、ムキムキの豚面さんが鼻息フゴフゴしてるの。ちょっと関わりたくないし知らんぷりしとこ。

 って思ってたのに食い付いちゃった子が一人。


「物を知らない豚風情が何かほざいていらっしゃるようですね」

「ちょ、マイス!ストップストップ」

「あのような品性下劣な輩にコケにされて黙ってなどいられません!」


 激おこモードのマイスを宥めてたら、ドスドスと荒い足音がこっちに向かってきた。


「お前らが花畑ダンジョンとかいう軟弱な奴らか」

「えぇ、その通りです。息が臭いので離れてもらえますか?」

「ンナッ!?キサマ俺様を怒らせたな!!」


 今にもドンパチ始まりそうな雰囲気のところにあのジジイの声が響いた。


「ホッホッホ、血気盛んでよろしい。では早速試合開始といこうかの」


 パンとジジイが手を叩くと一瞬にして場所が変わった。



「それでは、主神に代わりまして司会進行は私、光と先駆けの神ヘリオスティアがお送り致します!トーナメントは決勝戦以外AB両リーグそれぞれの試合を同時に行います。試合場に転送されたチームは自陣内にダンジョンモンスターを配置して試合開始を待ちます。おっと、もう準備が整ったようですね」


 空中に映し出された大きなモニターにそれぞれの陣営が映し出される。

 オーク族は全軍突撃の構えで今にも走り出しそうな雰囲気。一方花畑ダンジョンからはダンジョンマネージャーの女が一人だけ前に出ている。


「第一試合、人族ハルの花畑ダンジョン vs. オーク族ガストンの蛮族ダンジョン、福兎ラッキーラビット族ララの草原ダンジョン vs. ミミック族キラーのミラーダンジョン、試合開始ッ!!」


 司会の持つ爆音の角笛が試合開始を告げる。


「ウォォォ!やっちまえぇ!!」


 開始の合図と共にオーク族は怒涛の勢いで走り出した。それに対してマイスは静々と歩みを続ける。

 足の速いオーク族の切込隊長がマイスに斬り掛かるが、持っていた杖で攻撃をいなして続く何体かの攻撃も捌いていった。


「おおっと、花畑ダンジョンからはダンジョンマネージャーのマイスが単騎で出てきたァ!オーク族の攻撃をいなして弾いて捌いていくゥ!それでも尚足は止まらない!そうこうしている間にオーク族に完全包囲されてしまった!果たしてどうするつもりだァ!?」


「少しはやるみてぇだが、調子に乗るんじゃねぇぞ!一斉攻撃だ!!」


 マイスは一斉に飛び掛かってきたオーク族を見てニヤリと笑みをこぼすと、スカートの裾を摘んで持ち上げた。


「絶体絶命のピンチ!マイスはどう出るゥ!な、なんだ!?スカートの下から緑の……茨です!茨が溢れてきましたッ!全方位へと伸びた茨がオーク族を次々と飲み込んでいきます!ガストンを始めジェネラルオーク達の奮戦虚しくあっという間に全てが飲み込まれてしまいましたァ!戦場に残るのは茨の絨毯と咲き誇る赤い薔薇!毒々しいまでに鮮やかなその赤はまるで生命を吸い上げたかのようだッ!」


 伸ばした茨を瞬時に引き上げてスカートの乱れを正したマイスは、にっこり笑顔でこっちに駆け寄ってきた。

 ストレス発散ができていい笑顔になっているマイスを褒めていると、元の宴の間に転送されてきた。


 二つあるモニターの片方では今も試合が繰り広げられていた。

 鋭い歯の生えた宝箱が率いる擬態モンスターの集団と、パッと見普通の可愛い兎さんが率いる兎型モンスターの集団が戦っていて、不思議なことに兎さん達が優勢みたい。


 兎さんが攻撃を空振って転ぶと相手の攻撃を避けられたり、攻撃して相手を弾き飛ばすとその先にいる敵同士でもつれ合って転んだりするのが続いた。禍々しい見た目のモンスター達はジリ貧で消耗していって、しばらくすると兎さん達の勝利が決まった。



「下馬評のワーストとブービーが勝ち上がるとは、大判狂わせにも程がありますな」

「全くですわ。かぁいらしい子達の鳴くところが見たかったのに」

「それはリサーチ不足ですわね。あの子達中々やりますのよ」

「俺達は最初から注目してたからな!ガッハッハッ!」


 神様たちが何やら楽しそうに騒いでるけど、遠くて何を言ってるのかはよく分かんなかった。


 すぐに次の試合が始まるってアナウンスがあって、第二試合はディグモリアン vs. ハーピー、バンシー vs. ロックデーモンらしい。


 ディグモリアンは土竜の獣人で対するハーピーは鳥の獣人。陸対空の戦いは画面映えが良くて面白かった。白熱したいい勝負だったんだけど、ディグモリアンは精神攻撃に強くなくてハーピーの歌声におびき出されて徐々に人数差が出来てやられちゃった。


 一方バンシーとロックデーモンの方は、相性が悪くてすぐに終わっちゃったんだよね。精神攻撃を得意としている幽霊タイプのバンシーでは、ガーゴイルを主力としたゴツゴツした悪魔に勝ち目なんてないよねぇ。


 続く第三試合はアラクネ vs. スライム、リッチ vs. ラミアの試合で、勝ち上がったのはスライムとリッチ。

 実はトーナメント表には各チームの頭に順位が振られていて、ダンジョン生成から三ヶ月時点での力量を元にしたランキングらしいの。アラクネは六位でスライムは十四位だからめっちゃざわざわしてた。

 あ、ちなみにあたし達は十八位ね。


 第四試合はゴーゴン vs. マーマン、ヴァンパイア vs. ビッグフットの試合。こちらは順当に三位のゴーゴンと四位のヴァンパイアが勝ち上がった。

 残る一位と二位のチームはシードだったから、第一試合で勝ち上がったチームと勝負してベスト8が決まる。


 次に当たるチームは誰かなーってトーナメント表を見てたら、いきなり何か話し掛けられた。


「先程の試合は雑魚と当たったようだが、次は我々竜人族ドラゴニュートが相手だ。精々楽しませてくれよ?」

「うーん、話し掛けるなら先に名乗んなよ。非常識なんですけど?」

「…ラギアスだ。貴様の名も聞いてやろうではないか」

「あたしはハル。よろしくね」


 さっきご挨拶してきたのは、縦に開いた細い瞳孔と金の瞳、赤髪からニョキッとしてる角が特徴的なマッチョ体型の所謂ワイルド系ね。ランキング一位の竜人族が次の相手みたい。

 俺様オラオラな感じで来たからムカッとしたけど、まぁイケメンだから水に流してあげようかな!



「続く第五試合には注目が集まっています!ランキング一位竜人族ラギアスの龍山ダンジョンに対するは、最下位のダークホース!ハルの花畑ダンジョン!ランキング二位ダークエルフ族クレアダムの辺獄ダンジョンの相手は十七位ララの草原ダンジョン!誰がこんな対戦カードを予想できたでしょうか!」


「双方準備も整ったようです。それでは、試合開始ッ!!」


 爆音の角笛が鳴り響くと試合場には霧が立ち込めた。

 ラギアスは慎重に攻めるようで、地竜や飛竜がドラゴンブレスで霧を払いながら全身していく。一時的に霧を払うことが出来ても、またすぐに霞んでしまう。


「おぉっと、ラギアスの虎の子グレートドラゴンが身体を起こして、大きな翼で突風を吹き付けたァ!!これには霧妖精もお手上げか!霧が晴れてしまった!しかし、今度は雨だ!厚い雨雲が頭上を覆っているゥ!」


 試合場にポツポツと雨が降り始めてきた。霧が晴れたことで罠を警戒する必要のなくなった地竜が前進を始め、銀蝕竜とぶつかりあう。グレートドラゴンにも匹敵するような大きさの銀蝕竜に地竜は攻めあぐね、上空からワイバーンが急襲攻撃を仕掛け始める。


「花畑ダンジョンの大型ドラゴンも集中攻撃には耐えられないか、ジリジリと後退していく!魔法攻撃の支援はあるが、ドラゴンには状態異常が効きにくい!果たしてこの劣勢をどう切り抜けるのかッ!!」


 好機と判断したラギアスは猛攻撃を仕掛ける。

 地竜が波状攻撃を仕掛け、空中ではワイバーンと竜人族が飛び回る。飛竜やグレートドラゴンの強力なブレスが飛び交い、マイスはその攻撃を防ぐので精一杯だ。


「防戦一方の花畑ダンジョン!粘ってはいるが反撃のチャンスを掴めないでいる!このままラギアス率いるドラゴン軍団に圧倒されてしまうのか!?……どうしたのでしょうか、攻撃の手が緩んでいます。こ、これは!バトルフィールドの足場が泥沼と化している!?樹妖精とトレントによる広大な召喚術式です!思うように進めない地竜に業を煮やしたのか、グレートドラゴンが前に出ます!絶体絶命のピンチだ!」


 グレートドラゴンは沼の底から魔法で岩盤を突き出して道を作り爆進してくる。


「大迫力のグレートドラゴンに応じるのは銀枝千年樹だ!鋭い枝や根で絶え間ない攻撃を繰り出すッ!竜人族と植物人族との白兵戦も激しさを増しています!ここまで熱い試合になるとは予想だにしませんでした!!…ん?何の音でしょう?」


 ヒューーーーーーーーー……


 上からのプレッシャーに気付いて見上げたラギアスは落ちてくる巨大な熊と猪を見つける。


 ドーーーーン!!!!


 身体を大きく広げてフライングプレスするグラちゃんとモアちゃんに巻き込まれてラギアスの周りにいた精鋭の何人もが底無し沼に沈められてしまった。


「んなっ!?どこから現れた!」


「なんと!上空から落ちてきたのは豪掴熊グラップリングベア猛薙猪モウダウンボアだァッ!!まさか、雨雲に紛れて防御が手薄になるこの時を待っていたのかッ!?背後を取られた竜人族は大混乱だ!」


 頭上の高い高いところにはホテイウキクジラさんが漂っている。

 そうです、あらかじめ浮遊魔法の使えるクジラさんに二人を運んでもらっていたのです!


 前後を挟まれた上、指揮が乱れた竜人族チームは段々とその数を減らし、残るは疲弊したグレートドラゴンとラギアスのみとなった。鋭い枝や根に囲まれたラギアスは両手を挙げた。


 試合終了の角笛が鳴り転移で元の広間に戻った。



私事になりますが、腎臓の検査のためにちょっとした手術をしまして、退院後の忙しさと運動制限とでストレスが中々発散できず描きたいものが全然描けなかったので、少しお休みしていました。

入院中の方が書けていたというのが何とも(笑)


完結まであと少し頑張ろうと思います。更新は不定期にはなりますが宜しくお願いします。


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