11.嘘でしょ!?いきなりバトル!!
今回は会話多めになっています。
乾杯をしてみんな立食しながら今までのことを話し合った。
「あたし魔王様と初めてあった時に地雷踏み抜いちゃってさ〜。魔王様激おこぷんぷんでしばらく話してくんなくなっちゃったのよ〜」
「あ、あれは悪かったと何度も言っておるだろうが!」
「そうですよ。新米魔王なのに体裁だけは取り繕うもんだから、ハルさんに事実を言い当てられて逆ギレしただけなんですもの」
「オイ!!」
ルシャさんにいじられる魔王の肩にソッと手を置く勇者マイルズ。
「…グウェルノートさんも苦労しますね…」
「勇者マイルズよ…分かってくれるか!?」
「えぇ。私も同じ側ですから……」
マイルズが遠い目をして見た先では、持ち込んだ酒を飲んで上機嫌のホルストとロビンに、ランにもたれ掛かって寝ようとするザグ、モニカさんは膝立ちする人狼のクゥに腰掛けて食事してるし、ジークは初めて見るコボルトと料理に興味津々だ。
「……皆自由なのだな…」
「…はい…」
「てかさ、マイルズはなんで勇者になってるわけ?他のみんなはどうしてるの?」
「それが俺にもよく分かんないんだ。急に頭ん中に声が響いて『力を授ける』だなんだってなー」
「へー」
「俺たち以外は今もダンジョンで世話になってるぞ。マークがいるからなんとかしてるだろ」
マークってあのちびっ子に見える子だよね。サラちゃんとかガーラくんとかも元気にしてるかなぁ。
それからマイルズがここに来るまでの話を聞いてたら、ホルストに無茶振りされてばっかりだったのがよく分かった。移動中の記憶がないとかめっちゃブラックじゃん。
「なんか…ドンマイ!」
「それより、そっちはどうだったんだ?地雷踏み抜いた後どうやって関係修復したんだよ」
「あぁ、それね。雑用のお仕事しながら、植物の実験してたのがバレてね。たまたま美味しく育ってくれたから良かったんだけど、もしダメだったら…ねぇ?」
ニヤニヤしながら魔王の方を見ると、魔王は目に見えて焦り出す。
「ハ、ハル!其方の従者の視線が痛いのだが!」
「もしハル様に危害でも加えていようものなら、私はこの国が無くなるまで…いえ、この大陸が無くなるまで暴れていたことでしょう」
ニッコリ笑うマイスが怖過ぎて魔王もマイルズも二、三歩引いてたんだけど、あたしは今マイスの膝の上に座らされている状態だから身動きできないのよね。
「そ、その、気になってたんだけど、マイスさんそんな感じだったっけ?」
「う〜ん、あたしもちょっとびっくりしてるんだけど──私はいつも通りですよ!ハル様を敬い愛して止まない一番の従者です!──……ちょっと寂しかったみたいね」
マイスはあたしをキャッチしてから、下半身を蔓で座り心地抜群の椅子みたいに変化させて乗せてるのよ。腕はお腹をガッチリホールドだし、キリッとした顔付きのまま頬っぺたスリスリしてくるし。
よっぽど不安で寂しい思いをさせてたんだなって思うからそのままにしてるの。
そろそろホルスト達の話も聞きたいなと思って見渡してみると、ホルストは酒瓶抱えたままコウくん達のとこに行ってて、パーティメンバーだっていう綺麗な女の人と背の小さな男の人がこっちに来ていた。
「はじめまして、ダンジョンマスターのお嬢さん。私ホルストとパーティを組んでるサンタモニカと申します。モニカとお呼びください。こちらはロビンですわ」
「よろしく!ハルちゃんって呼んでもいいかな?」
「うん、よろしくー!それにしても、本当にホルストがパーティ組んでるなんてねぇ」
「私達も声を掛けられた時は驚いたんですのよ…」
モニカさんとロビンさんは話をするのがすごく上手で、面白おかしくエピソードを聞かせてくれた。
何をするにも素直じゃないホルストをいじったり揶揄ったりしつつも、魔王城に行きたいって話を聞いた時は絶ッッッ対に楽しくなると思ったんだって。今も気恥ずかしくて飲まずにはいられないらしい。
一通りみんなの話も聞けたし、ダンジョンのみんなの話も聞こうと思ってマイスに話を振ったら、それよりも先にってことで、ダンジョンマスターの権限を譲渡してもらったの。
ただのお飾りみたいになってた迷宮主腕輪が動き出す。
ダンジョンにいるみんなが元気にしてるか見たくて迷宮主腕輪からモニターを呼び出すと、赤く点滅する背景に文字が浮かび上がる。
──現在地は他ダンジョン領域内です。ダンジョンバトルを申し込みますか?──
「ねぇ、マイス。これ……何?」
「他ダンジョンに触れてしまったようですね。考えられるのは魔国が一つのダンジョンなのか、または魔王が関知していないダンジョンが近くにあるのでしょう」
「我々魔族は魔力に長けた種族だ。この地でダンジョンが誕生したとなればすぐに分かるはずだが、ここ数世紀そんな話は伝え聞いていないな」
魔王も知らないダンジョンがこの辺りにあるって何か不気味なんですけど。
とりあえずこの赤いモニターが目にうるさいから消しちゃいたい。バツ印はどこかなっと…。
「あっ」
「「「えっ?」」」
キャンセルのバツ印を探してる時に不自然に動く「はい」に指先が当たっちゃった。
その瞬間モニターがガラリと変わる。
──ダンジョンバトルの申請を行いました──
──三日以内に相手ダンジョンコアへとアクセスするとあなたの勝ちとなります。期限を過ぎてもアクセスできなかった、または相手ダンジョンマスターに降参させることができなかった場合はあなたの負けとなります──
──負けた場合ダンジョン所有権の放棄を始め様々な条件が付与されますので、頑張ってください──
──それでは、ダンジョンバトルスタートです──
プァーーーン!!と盛大なラッパの音が鳴ってモニターに残り時間が表示された。えっ、ちょ、待って!?
モニターには残り時間が表示されるだけで、いくら探してもキャンセルも何も出てこない。
「ど、どうしよ…」
周りを見回すと、みんなポカンと口を開いてたり頭を抱えてたりする。ア、アハハハハ。
「やっちゃった☆」
和やかな会食のムードは一瞬で消え去って、魔王の執務室に全員で移動した。
魔王は部下の人達を総動員して城に残る書籍から何か情報がないか調べさせている。魔国の資料から歴代魔王様の手記まで膨大な量を虱潰しに探しているらしい。
あたしには何が何やらさっぱり分からん!困った時はやっぱり。
「マイスぅ!」
「はい。先程申し上げた通り、考えられる可能性は二つ。魔国全体がダンジョンであった場合と、魔王の関知しないダンジョンがある場合。前者だった場合、ダンジョンマスターは必然的に魔王となりますから、この線は薄いでしょう。つまり、この辺り一帯を密かに領域とするダンジョンがあるということになります」
「ほぅ。しかしこの辺りは見渡す限り荒地だぞ。どこにダンジョンがあると言うのだ」
それもそうなのよねぇ。荒地に生えてるのはひょろひょろとしたイビルツリーとウェットランズバンブーくらいで、洞窟とか建物とかがあればすぐにでも分かる。
「考えられるとしたら…空の上か地下ってところか?」
ホルストがボソッと呟く。それに反応したのは魔王の腹心ソウルシャードさん。
「空の上は恐らくないと思いますよ。歴代の魔王様はこの曇り空をどうにかできないかと苦心されていて、魔力砲をぶっ放して雲に穴を開けたことも数え切れません。雲の上に何かあると見つかったこともなければ、攻撃の手応えがあったという話もありません」
「となると地下か……」
みんな揃って下を見るけど、執務室の床が見えるだけ。穴でも掘ってみたらいいのかな?
静まり返る中、ロビンさんが不思議そうな表情をする。
「あれ?でもさ、ダンジョンって必ず地上に入り口があるんじゃなかったっけ?」
「……そうなの?」
「はい、そうでございます。ダンジョンには必ず入り口から入る必要があります。今回の場合穴を掘ってダンジョンに行き着いても、中に入ることは出来ないでしょう」
あたし達の花畑ダンジョンはオープンなタイプだから、どこからでも入れる代わりにダンジョン外からの一方的な攻撃にはビクともしないんだって。
入り口閉め切って誰も入って来れなくすれば安全なんだから、ズルになっちゃうもんねー。
「それじゃあ、みんなで手分けしてダンジョンの入り口探しね!」
誰が一番最初に見つけるか勝負よー!
なんで「はい」が不自然に動いたんでしょうねぇ。ちょっと分かりませんねぇ。
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