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お花畑女子のゆるふわダンジョン最強説  作者: 豆の木豆太郎
どうなっちゃうの!?最強無敵の花畑ダンジョン
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4.ハルちゃんin魔王城

お待たせしました!久々のハルちゃん視点ですッ!!

 

「人族共の領域に侵攻して世界制覇をしようと思うのだが、我らの仲間にならぬか?」


「…え?マジで!?」


 ………


 ……


 …


「いや、ウチらか弱いんだけど、そんなんでも大丈夫そ?」

「ハ?あいつらの話だと高度な知能を持つモンスターが何体もいるそうではないか」

「あー、ウチはみんな賢いけど、守ることばっかり考えてたからすんごい強いわけではないんよ?だって元々食料用モンスターとか言われてた子達だもん」


 ポカーンって音が聞こえてきそうなくらいお口あんぐりな魔王様と、また爆笑し始めた幹部のルシャさん。


「てかさ!ここのご飯ってあれ何なの?ちょっと不味くない?ウチのダンジョンのご飯マジで美味しいからさ、食べにおいでよ!」

「…ふざけるな!!神々に見放されたこの土地で我々がどんな生活をしているか知らぬお前に、そんなことを言われる筋合いはないッ!」


 魔王様激おこぷんぷんでどっか行っちゃった。…不味いって言ったのまずかったかな?

 笑い転げてたルシャさんがやっと笑い止んで、色々と説明してくれた。


「はー笑った笑った。急に連れてこられた君が僕らのこと知らないのも無理はないよね。ここ、魔族の国はね、千年もの間一度たりとも晴れたことがないんだ。昔話には緑豊かだったと謳われているけれど、その自然はとうに消え失せて苔と一部の植物しか育たなくなった。だから万年食糧不足でね、あれは魔王様の地雷だったわけだよ」


 神々に見放された土地って言ってたのはそういうことだったのね。なんか世界征服を企む悪い魔王様って言うよりも……貧乏大家族のおかんみたいな?なんかあたしも何かしてあげたくなっちゃった。


「ブハッ!お、おかん!?」


 あれ、あたし今声に出してたかな…。

 まぁいいや、人族への侵攻がーとか仲間にーとか言ってたけど、アレはもういいのかな?


「あ、そこは大丈夫。やり様は色々あるから」


 えっ、てか心読まれてるくない!?やだ!えっち!!


「…君ホント図太いね」



 そんな感じで魔王様を怒らせちゃったわけなんだけど、ルシャさんがあたし自身には戦う力が全然ないって見抜いてくれたから特に警備とかもつかないみたい。

 ご飯運んできてくれるコボルトくんくらいしか話す相手がいなくて暇だわー。




 それから何やかんやで一ヶ月が経った。



 今日も清々しくない朝がやってきました。竹のベッドで寝ていた身体をうーんと伸ばす。

 バキバキボキッ!乙女らしからぬ音が聞こえた気がするけど、気のせいよね。


 さて、まずは身だしなみから!

 手の平に魔法で水を生み出したら顔を洗ってタオルで拭く。次に指先から細く水を噴き出して歯をなぞるように動かして歯磨きをしたら、お口いっぱいに水をためてクチュクチュペッと。

 手を洗ったらそのまま手櫛で髪を整えてリボンで一つにまとめる。動きやすいチュニックに着替えて腰紐キュッと締めて準備完了!


 鍵の掛かっていない牢屋の扉を開けて、まずは炊事場に向かう。

 大きな魔王城の広い炊事場にいるのはコボルトが二人だけ。まぁいつものことなんだけど。一人は何段にも重ねた蒸籠せいろで芋を蒸して、もう一人は干し肉を薄く切っている。


「おはよう、ワンさんハンさん」

「あぁ、おはようさん」


 二人に挨拶してから蒸した芋を一つと薄切りの干し肉を一枚もらっていく。ここでの朝ご飯はいつもこんな感じだ。モサモサしたモップみたいな眉毛(?)が特徴的なおじいちゃんがワンさんで、モサモサした髪の毛を雑にちょんまげにしてるのがワンさんの息子のハンさん。この二人でお城の食事を用意してるんだって!


 蒸し芋と欠片肉をよく噛んで食べながら、今日は何をしようか考える。

 魔王様激おこぷんぷん案件があってから、自由に出歩いていい代わりに雑用仕事をすることになったのよね。

 基本は掃除だったり洗濯だったり、たまに魔族の人の怪我を治したりすることもあるんだけど、仕事が終われば後は自由に出歩けたから、ちょっとずつ探検してたの。


 でも仕事の量は大したことないのにダンジョンにいた頃に比べてすぐに疲れちゃうんだよね。

 だから一月経ってやっと色々と分かってきた感じ。


 ここ、魔王城の辺りは本当に毎日どんよりと曇ってる。ジメジメしてるし肌寒いんだけど、ここら辺は石炭みたいなのがよく採れるから、お城の中で火を焚いてることがよくあるの。

 辺りの土は黒っぽくてパサパサした土で、植物はあんまり生えてないけど至る所に苔がもこもこと成長してるのよね。

 数少ない植物はイビルツリーとウェットランズバンブーっていう二つ。イビルツリーはほぼ黒みたいな幹に色味のない葉っぱをつける木で、ウェットランズバンブーはヒョロヒョロと細長く育つ竹みたいな植物。


 食べ物は味がしない紫里芋とか雑草みたいな葉っぱとかで、本ッッッ当に大変そう。マジ笑えないくらいにヤバい。


 こりゃ魔王様の地雷になるわけだわ〜なんて納得しちゃった。今度会うことあったら謝ろうと思ってるんだけど中々会えないのよねー。



 そうそう、今日何するかなんだけど!あたしの中の理科の知識を呼び起こして、食べ物が少しでもマシにならないか実験してみようと思います!もう作戦も立てて準備もしてあるから、まずはお仕事しないとね。さっお掃除するわよー!



 お昼過ぎたくらいには今日の分のお仕事が終わったので、遅めのお昼ご飯を食べたら早速お城の畑にレッツゴー!ちなみに今日のお昼ご飯はお芋と葉っぱで薄緑になった芋粥みたいな奴。味は……まぁ置いといてっと。


 お城の広い中庭が一面畑になってて、その端っこにある余ってるエリアを借りることができたから、そこに紫里芋と雑草みたいなやつを四個のグループに分けて植えておいた。


 まずは一つ目のグループ。真っ先に思いつくのは光だよね!

 確か植物は光と水と二酸化炭素があれば良かったんだもんね。パク……借りてきた燭台の上にピカピカになるまで磨いたランプシェードを載せてから火をつけて、周りに光が当たるようにしてみた。日光じゃないけど大丈夫っしょ!


 二つ目のグループは肥料でなんとかしようと思う。

 教科書で見たことのある焼畑農業からヒントをもらって、お城で出た灰を土に混ぜてみることにした。このお城って下水関連はスライム任せみたいで、スライムが一度分解した臭いのしない残り滓とか、燃えるゴミとかコボルトの抜け毛とかをまとめて燃やしちゃうんだって。その時にできた灰をパラパラと撒いて混ぜこみ〜。量は目分量!しっかり混ぜ込んだらお水をあげておしまい。


 三つ目のグループはファンタジー路線!

 折角魔法があるんだもの、魔法で育ててみたいじゃん?ってことで、魔法で生み出したお水だけで育てるグループね。魔法水はあたし達でも一応飲めるんだけど、あんまり身体には良くないみたいなのよね。だからどうしても水がなくて魔法水を飲む時にはしばらく置いとくんだって。…そのまま魔法水あげたらめちゃくちゃ巨大になったりしないかなぁ?


 最後は全部盛りのグループ!

 灰を土に混ぜ込んで、火の明かりで照らして、魔法のお水を上げる欲張りセットよ!逆にやり過ぎて良くない気もするけど、実験だからね!やってみることが大事ってどっかのTVで言ってたし!


 そんな感じで毎日朝と夕方に畑の様子を見るのが日課に加わったんだ。




 一週間する頃には、小さかった苗がわさわさと葉っぱを伸ばしてたのよ……想像以上に。

 ま、まだ一週間だからって見ない振りしてたらあっという間にもう一週間が経ち、もう誤魔化してもいられなくなった。


 何でって?


 …四つ目の欲張りセットグループが二倍以上の大きさになって花咲かしてるんだもん。そこだけ明らかにおかしいのよ。


 他三つはと言うと、灰グループはほとんど変わらず、魔法水のグループは普通のに比べて二回りくらい大きくなってて、火の明かりグループは緑が色濃くて生き生きとした感じに育ってる。


 欲張りセットグループは遠目から見ても明らかにおかしかったんだけど、近づいてみたらもっとヤバかった。

 元々膝下までしかなかった雑草はあたしのへそくらいまでの高さに成長していて、茎の先につけた黄色い鐘型の花がゆらゆら揺れてるの。まるで手を振ってるみたいに。紫里芋の方は、三本の逞しくなった蔓がお互いに絡み合いながら上に向かって伸びていて、ピラミッドみたいな形をしてるの。


 これ…もしかしなくてもヤバいのかも。


 魔王様とか畑担当のコボルトになんて言い訳しようって考えてたら、後ろでガシャーンって音がした。

 振り返ってみると、お世話係だったコボルトくんがわなわな震えてる。


「な…な…何じゃこりゃあぁぁぁぁぁ!!!!」


ハルちゃんに警備はつかないけど監視はついてるみたいです。…それを警備って言うのか自分でも納得がいっていませんが、まぁいいでしょう。


ハルちゃんはやっぱりハルちゃんだったようです。安定ですね。

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