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お花畑女子のゆるふわダンジョン最強説  作者: 豆の木豆太郎
人気すぎて困っちゃう!曲者が集まる花畑ダンジョン
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13.実況!パワフル野良バトル!!

今回も多少刺激的なシーンが出てきます。ハルちゃんは意外と適応して楽しんでいますが、もし苦手な方は無理せずに!

 

 朝ごはんを食べて、動きやすいように荷物を減らして準備をしたら、早速冒険者ギルドに出発!


 まだ早朝の空気が漂う時間なのに、働き始めてる人は結構多い。

 元気のいい声が響く朝市に、薄着で重い荷物を引いている荷運びのお兄さん。


 色んな人がいるなぁって眺めながら冒険者ギルドまでの道を歩く。


 冒険者ギルドに着くと、中から何か騒ぎでもあるんじゃないかってくらいの声が聞こえてくる。

 チラッと覗いてみれば中には冒険者がいっぱい居て、掲示板に貼られたクエストを奪い合うように取っていた。


 あの中に入って行くのは無理そうだから、一度外に出て先に武器屋さんを見に行こうと思う。あたしまだ武器持ってないから、準備しないとだよね!


 歩いてくる途中でもう開いてるお店があったから、そこまで戻って扉を開く。

 ガランゴロンとベルが鳴って、お店の人があたし達に気付いた。パンパンに詰まった酒樽みたいなお腹の小さいおじさんが掃除の手を休めて声を掛ける。


「何の用でぃ」

「あ、ヒーラーが使う杖が欲しいんだけど…」

「おめぇが使うんか?」

「うん」


 お店の中は剣とか槍とか金属製品ばっかりが目につくけど、杖とかあるのかな?

 小さいおじさんは髭をもしゃもしゃ弄りながらあたしのことをジッと観察していて、ふぅんと鼻を鳴らして奥に入っていっちゃった。


 ガサゴソする音が聞こえてしばらくすると、おじさんは白っぽい木の杖を手にして戻ってきた。


「持ってみろ」


 その白い杖を持ってみると、意外と艶があってすべすべした感触がした。下を地面につくと、ちょうど胸元辺りまでの長さでいい感じ。杖の先っぽにはぴょこっと枝が生えてて艶々した葉っぱがついてる。


「ふぅん、いいだろう。杖にも認められたようでぃ」

「認められた?……あ、おじさん、これ幾らするの?」

「大銀貨3枚だな」

「それなら大丈夫。はい」


 お金はダンジョンマンションとか素材の取引で結構あるからね、全然大丈夫。


 お金を払うと、おじさんが杖の説明を少しだけしてくれた。この杖は生命力の高いワレン樹から削り出された杖で、攻撃魔術には向いてないが回復魔術の効果を僅かに上げてくれるんだって。


 ワレン樹の杖は手にも馴染んで、重くないけど脆くもなくて本当にいい感じ。ちょっといい買い物ができた気がする!


 ルンルン気分でおじさんにありがとうって言ってお店を出た。

 そろそろギルドもいてきた頃じゃないかな?



 冒険者ギルドに戻ると、外からでも大分落ち着いた様子が見えた。掲示板の前には常に何人かいるけど、前が見えない程じゃない。

 でも、どれを受けたらいいかもよく分かんないから受付に直行。


 今日も綺麗なお姉さんにおはようございますって挨拶するとニコニコで迎えてくれる。


「おはようございます。今日はどういったご用件でしょうか?」

「何か討伐クエストを受けたいんだけど、どれがいいか分からなくって…」

「皆様はまだFランクですので、畑の害獣駆除のクエストはいかがでしょう?ラットやモール、稀にハウンドが現れますが、討伐が難しければ退しりぞけるだけでも大丈夫です」


 傷を負って怒ったモンスターでもこちらの人数が多いと無理に攻めてはこないらしいから、厳しそうだなって思ったら農家さんの家に戻ってくればいいらしい。


 これなら大丈夫そうだし、早速クエスト受理してもらった。

 お姉さんから農家さんの場所を教えてもらって出発!



 イグナシオの街には外をぐるっと囲う石壁がある。魔の森の近くにある以上、モンスターが襲撃してくる可能性は常にあるんだって。だから、防壁を作るのは大事なお役目で報酬もいいらしい。こーきょーじぎょーみたいなもんかな?


 これから向かう農家はその防壁の外側、魔の森の反対側の平野に広がってるんだって。


 広い街中の大通りを観光気分でテクテク歩いていくと、結構距離あったんだけどあっという間に街門に着いた。

 門番さんにギルドカードを見せて通って、更に歩いていくと屋根の上に風見鶏をつけた大きな平家が見えてきた。


 家の近くまで行くと、何人かお仕事している人がいるから声掛けてみよ。


「こんにちはー!冒険者なんですけどー」

「あぁ、害獣駆除の方!こちらにどうぞー」


 大きな平家の中に案内されてこれまた広い食堂に通される。すぐにエプロンをつけた女の人がお茶持って来たの。顔立ちも綺麗でスタイルもすごく良いんだけど、それよりも何て言うか……かっこいい?感じがする。


「あんた達が害獣駆除してくれる駆け出しの子達だね?」

「あっ、ハイ!あたしハルって言います。そして、こっちからサリーちゃん、コウくん、ライくん、ジンくんです!クエストは初めてなので、よろしくお願いしまーす!」

「……ふぅん、駆け出しにしては中々できそうじゃないの!あたしはベル。この辺りの農家のまとめ役をしてるんだ。奥様とかあねさんって呼ばれることもあるが、ベルさんって呼んどくれ」


 うひょ〜めちゃくちゃ頼れる姐御って感じだ!

 その後はすぐに仕事の話に移って、この辺りを大きく拡大した地図を広げた。まずは中央にこの平家、その周りを畑が囲んでて、点々と家を挟んで更に畑が広がる。この一番外側の畑に獣からちょっかいを出されるの。


 話を聞いていくと、ベル姐さんがかっこいいのにも納得しちゃった。実はベルさんは腕の立つ冒険者だったんだって。

 基本このクエストではラットやモール退治をすることになるんだけど、たまに飢えたハウンドやビッグアントの群れが襲ってくることもあるらしい。駆け出しがそいつらを相手にするのは難しいから、大声で危険を報せながら平家まで退却してくる。


 ハウンドやビッグアントの群れも、流石に相手が多いと無理に攻めては来ないらしい。でも万が一の時に頼りになるのがベル姐さん!基本畑仕事でいない男手ではなくて、強いベルさんが家仕事で必ずこの辺りにいるからこそ駆け出しでも安心してできるクエストなんだって。


「じゃあ早速見回りに行ってくれるかい?今一番被害が多いのはこの辺りだね」


 地図の左上の方を指差すベルさんに頷いてから、ポケットをトントンしてカゲアンナちゃんを呼ぶ。


「ちょっと一走ひとっぱしりしてどんな魔物がいるか見てきてくれる?」

「(コクッ)」

「へぇ、驚いた!嬢ちゃんはテイマーなのかい?」

「はい!この子は静かで足が早くて、敵を探すのが得意な頼れる子なんです!」


 エスケープゲッコーのカゲアンナちゃんは照れたような顔をしていつもの三割り増しのスピードで走って行った。改めてみんなの準備を確認したら、害獣駆除する辺りに向けて出発!




 平家を出発して途中の農家の辺りを通る頃にカゲアンナちゃんがシュシューっと戻ってきた。

 するすると足を登って、手の平の上で報告をしてくれる。


『畑の先に五体ラットがいて、モールが三体今も地中から畑に手出ししてるわ。ちょっと遠くにハウンドの群れがいるけど、狩りの最中みたいだし大丈夫だと思う』

「オッケー!ありがと。それじゃあどうやってくかはコウくんに任せていいかな?」

「はい。任せてください」


 コウくんは先頭を盾持ちのジンくんにして、少し下がってコウくん、その後ろにあたしとサリーちゃんで、一番後ろをライくんの順番にして進み始めた。


「ねぇねぇハルちゃんハルちゃん、私もやっていいー?」

「うーん…ま、いっか!一緒に戦お!」


 アムちゃんがワクワクした顔してるからついオッケーしちゃったけど、誰にも見つかんなきゃいいよね。そんなことを話してる間に畑の端っこに到着!


 畑の一番外側には一定の間隔で篝火かがりびっていうのがいてあって分かりやすいのよね。

 パッと見回しても地中にいるモールがどこら辺なのか全然分かんない。カゲアンナちゃんの方を見ると、あの辺りって指を差す。


 コウくんが落ちてる大きめの石を持ち上げて、その辺り目掛けて思いっきり……投げました!

 ドスン!って大きな音がしてすぐ下から鋭い爪がわしゃっと生えてきた。モ、モールってもぐらさんだって聞いてたんだけど、ちょっと怖くない?


 爪が空振ったモールは地面から這い出てきて敵を探してキョロキョロ。目が悪いのかどこにいるのか分かんないみたい。


 そこに全力で走って近付くライくん。走る勢いのままモールをかち上げ〜。ジンくんも追い付いて、盾と棍棒をゴンゴン打ちつけ合う!

 突き上げて飛ばされたモールにはサリーちゃんのポイズンアローが命中!残りの二匹はジンくんに向かって爪を振るっている!

 ジンくんは少しずつ下がりながら盾で爪攻撃を防いで、隙を見て棍棒で反撃だぁ〜!盾で弾き飛ばしたり自分が下がったりしてモールが横並びにならないようにしているだとぉ〜!?これは技が光りますね!

 ジンくんしか見ていないモールの横っ面にライくんの槍が炸裂ぅ!これには堪らず怒り出すモール!ライくんの方に向かおうとした所をジンくんの棍棒でノックダウンだぁ!

 おっと!残りの一体が静かだと思いきや、アムちゃんが見えない糸でキュッとしている!ここで試合終了〜!!


「いやぁ〜圧倒的でしたねぇ。いかがですか解説のコウさん」

「そうですね、連携が取れていてとても良かったと思います。ライ選手の速攻やジン選手の盾捌きが光りますが、個人的には畑に毒魔法の影響を出さないようコントロールをしていたサリー選手にも賞賛を送りたいです」

「皆頼もしい限りですね。試合実況は私ハルがお送り致しました」


 ついつい白熱して実況始めちゃったけど、近くで見てると迫力が違うんだねぇ。

 後処理をしているみんなのことを見ながら、かすり傷のあったジンくんに水魔法で回復をかける。


 続くラット戦は、最初にカゲアンナちゃんがラットの二体を釣り出してから戦闘開始。戦い始めて残りの三体がこっちに来るまでに有利な状況を作ったら、後はあっという間。

 素材をしっかり回収して、残りの部分は燃やして処理していく。さぁ、ベルさんに報告だー!



 るんるん気分で平家に戻ってベルさんを呼んでもらう。ハウンドがいること伝えないといけないもんね。

 テーブルの脇に回収した素材を入れた皮袋を三つまとめて置いておいたら、それを見たベルさんめちゃくちゃびっくりしてた。


「あんた達もうこんなに倒してきたのかい!?」

「はい!モールが三体にラットが五体です!遠くにハウンドもいるみたいなので、気をつけたほうがいいかもです」

「はぁ〜…駆け出しにしてはできると思ってたけど、想像以上だよ。よくやったね!」


 ベルさんはみんなの頭を撫でくり回した後、サラサラと書き付けた紙をあたしに渡した。


「これをギルドに出せばクエスト完了だよ。いい働きだったから色付けといたからね!」


 ベルさんのお茶目なウインクにつられてあたし達までニヤけちゃう。でへへ。


杖の正式名称はワレン樹の浄化杖。


元々薄茶色の木材に浄化の術式を掛けるとほとんど白に近い薄香色の杖になる。

持ち主が杖に認められないと葉がしおれて杖としての効果を発揮しなくなる。


ちなみに定価は大銀貨5枚。おじちゃん割引してくれてます。



杖の木材ワレン樹は、レッドラワンという木材から名前をもじり、生命力の高い()()()樹としています。ぷぷぷ。

生命力の高い樹木→生命の木→沙羅双樹とwikiのページを飛んで目に入ったのが同じサラノキ属のレッドラワンちゃんです。完成した色は沙羅双樹の伝承から白い色味を頂きました。


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