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お花畑女子のゆるふわダンジョン最強説  作者: 豆の木豆太郎
人気すぎて困っちゃう!曲者が集まる花畑ダンジョン
33/71

10.初めての…!!

バトルです。ちょっと刺激的だと感じる方は無理しないでくださいね。

 

 熊さんワンピを作った時にポロッとこぼした「これなら人の街に行っても大丈夫かも?」という言葉を聞いたマイスは、次の日から準備を始めてくれた。付き添いのメンバーを聞いて、ちょっとした旅行みたいだなって思ってワクワクしちゃった!


 ダンジョンの外が雪解けを迎える頃に出発することにして、それまではサリーちゃん達の装備やアイテム作りをして過ごした。

 冒険者見習いに見えるように、木や皮を使った装備を用意しつつ、服の内側には身体の大事なところを守れるように熊さんの毛を縫い付けた。もちろん木装備とはいえど、貴重な木材が選び放題なので防御力は十分にあるみたい。


 コウくん達は冒険者さんに戦闘訓練の相手をしてもらったり、アムちゃんとの連携を練習したりで、もうすっかり立派になって……。みたいなおばちゃんムーブかましたりしてたの。

 最初はただの大きな球根だったけど、大きく可愛く成長してくれて嬉しい限り!




 そんなこんなであっという間に二ヶ月が経って、雪解けの時期です。気の早い植物はもう芽を出し始めていて、陽の光を浴びてキラキラしてる。


 ダンジョンの外にお出掛けとは言っても、イグナシオの街を観光して、街を管理してる貴族ん家で歓迎パーティしてもらうってくらいなんだけど、それでも初めてのお出掛けは緊張する!



 今日のファッションコーデは!シンプルな襟付きのブラウスを紺の紐タイでキュッと、上から熊さんワンピを着て、更に防寒用のフード付きコートを羽織って、足元は艶のある茶色い編上げブーツ。リュックは淡い緑色のハーブ染めで、軽いものを優先して詰めてくれてるから楽ちん!


 サリーちゃんは使い古されたような布地の紫紺のローブの中にチュニックを着て、真新しい木の杖を持ってる。大きなとんがり帽子に見える頭と同じ色合いに染めたものね。足元はあたしとおそろのブーツを履いていて、露出しないようにしてる。


 コウくんライくんジンくんは、三人ともお揃いの防具。皮地に木の板を縫い付けた鎧を胸や肘などの要所につけてる。インナーにはもこもこのギャンべゾンを着ていて、首元には揃いの赤いバンダナを巻いているのがポイントね。

 頭にはヘッドギアをつけてるからパッと見は人族にしか見えないね。武器はコウくんが青銅の剣、ライくんが獣牙の槍、ジンくんが茨の棍棒と盾。みんな様になってるわ〜。


 みんなリュックを持って、テントや寝袋は男の子が持ってくれてる。あたしの服のポケットにはカゲアンナちゃんがいて、アムちゃんはやる気満々なお顔。


「さて、それじゃあ出発するね!ダンジョンのことは任せたよマイス!」

「はい、かしこまりました。お気をつけていってらっしゃいませ」

「はーい!いってきまーす!」


 お見送りのマイスとおばあちゃん、メルちゃんキャロちゃんに手を振って桜通りを歩き出す。


 桜通りの終わりまで歩くと、ダンジョンの境界はもう目の前。何も変わらないように見えるけど、一歩足を踏み出すとひんやりとした空気にぶるっと身震いする。ダンジョンの外が冬の終わりってのは本当なんだねぇ。


 人が歩いて踏み固められた道に出ると、遠目に人影が見える。ウチのダンジョンとか魔の森にこれから向かう人達とすれ違うけど、誰も不審がらないから変装はバッチリみたいね!


 ウッキウキでお話しながら歩いて1時間くらい経ったので、木陰で一度休憩することになった。


「ハル様、お疲れではないですか?」

「こんなに歩いたのは初めてだけど、全然疲れてないよ!コウくん達は荷物重くない?」

「私達は大丈夫ですよ。これでもモンスターですから!」


 みんなまだまだ中学生くらいの大きさなのに、一番重い荷物を持ってるジンくんが片手で持ち上げてヒョイヒョイ動かしてるから本当みたい。小柄なサリーちゃんも全然大丈夫みたいで、魔法でお手玉して遊んでるわ。

 そしたら、透明になる魔法をかけて飛び回ってたアムちゃんが何かを見つけたって戻ってきたの。


『ハルちゃんハルちゃん、ちょっと遠くにゴブリンがいてね、こっちに向かってるみたい』


 おぉゴブリン!王道モンスターよね!

 みんなはやる気満々で、ハル様はこのまま木陰で休んでいてください!って言って出て行っちゃった。



 遠目に見えたゴブリンは三体、粗末な布切れを腰に巻いていて、二体は木の棍棒を一体は斧を持っている。

 戦闘態勢のコウくんライくんジンくんサリーちゃんを見てギャアギャア威嚇してたけど、サリーちゃんが先制攻撃!紫色の水玉を空中に作り出して、そこから六本の矢を飛ばす。


「いっけぇ!ポイズンアロー!」


 三体のゴブリン目掛けて飛んでいった毒の矢は二体に一本ずつ当たった。ぶつかった衝撃で少しふらついたけど、すぐにまたみんな目掛けて走ってくる。

 正面にはジンくんが盾を構えていて、その左右にコウくんとライくん。ポイズンアローが当たらなかったゴブリンが木の棒を振り抜くけどジンくんの盾に弾かれる。体勢を崩したところにライくんの槍が刺さり、ジンくんの棍棒が頭にHIT!

 コウくんは続く二体を牽制していて、一体のゴブリンを戦闘不能にしたライくんジンくんがすぐに戻る。斧持ちのゴブリンをジンくんが抑えてる間に、コウくんとライくんでもう一方を狙う。

 サリーちゃんは次の魔法を準備していて、今度はコポコポと泡立つ毒の玉を作り出す。


「スティッキーポイズン!」


 斧持ちのゴブリンに毒玉が飛んでいってぶつかるけど、さっきの毒矢で大したダメージを喰らわなかったゴブリンは完全にナメてるみたいでブンブン液体を振り払って攻撃しようとした──けど、出来なかった。

 ゴブリンに当たった毒玉は粘着ねばつく触手を伸ばして腕に絡みついて動きを邪魔する。うまく動けないゴブリンの頭にジンくんの棍棒がHITして倒れ込み、それと同時にもう一体のゴブリンもコウくんの剣で叩き落とされた。


「すごーい!みんな怪我一つしてないじゃん!」


 倒したゴブリンの後処理をして戻ってきた四人を撫でくり回しながらベタ褒めする。最初は怪我しないかドキドキしてたけど、途中から圧勝ムード漂ってたよね。

 戦い終わった後に汚れを落とすための水を水魔法で準備してたので、絞ったタオルをみんなに渡していく。


「僕達だけでの戦闘は初めてだったんだけど、なんとかなるもんだね!」

「ね!ハルちゃん!私達強くなったでしょー!」

「そうだね!すごかったー!みんな頑張ったのね」


 ライくんとサリーちゃんは勢いよく話していて、言葉にはしないけどコウくんやジンくんも興奮しているみたい。あたしの休憩ができてたらすぐにでも行こうって押されて、出発することに。




 ダンジョンを出発してから3時間が経つ頃、イグナシオの街門に着いた。飾りっ気もなんもないシンプルな門だけど、めちゃくちゃ大きくて縦に大人が四人は入りそうだった。

 門の両脇に槍みたいな武器を持った門番さんがいて、その人に手紙を見せたらいいって言ってたけど……顔こわっ!!え、この世界の成人男性の普通ってこういう感じ!?


 手紙を持ったまま立ち止まってたら怪しいと思われちゃったのかこっちに向かってくるし!


「イグナシオの街に何用か」


 大きな声で訊かれた訳じゃないけど、怖いんですけどー!このままでいても仕方ないし、いっちょやったりますか!


「この手紙!見せたらいいって言われたんだけど!」

「ふむ………こ、これは失礼致しました。冒険者ギルドマスターより大事なお客様が来られると聞いていたのですが、このようなお若い方々とは思わず…こちらで入門の手続きを致します。どうぞ」


 ガルちゃんから話は通ってたみたいで、めちゃくちゃ丁寧に対応してくれた。全然怖くなくて良かった〜。

 安心したら肩から力抜けちゃった。


「…申し訳ありません、怖がらせてしまいましたね」

「あっ、いやいや!ちょっとびっくりしただけっていうか…」

「我々の仕事には、不審な輩を街に入れないよう威圧することも含まれていますので、怯えられるのにも慣れたもので」


 黙ってると強面に見えるおっちゃんも、話してみると意外と茶目っ気があって面白い人だった!

 見た目で判断するのは良くないんだね〜。


 門にある詰め所で許可証を首から掛けてもらって、街の中へ入ります。

 街に一歩入るとまるでヨーロッパの街中にいるみたい!周りの人の顔は日本人とはかけ離れてるし、露天のお店からは活気のある声が響いてくる。


 引き続き強面のおっちゃんにギルドまで案内してもらってるんだけど、色々と気になりすぎてみんなキョロキョロしちゃう。お上りさんみたいだけどコレはしょうがないよね!?

 レンガや木で建てられた家を眺めながら歩いていくと大きな通りに石造りの大きな建物が見えてくる。あそこが冒険者ギルドね!



 中はどんな風になってるのかな?イケメン冒険者に声とか掛けられたらどうしよう〜

 やだ、困っちゃうんですけどぉ〜。


※ちょっとグロ注意。読まなくても問題はないです。





ハルちゃんはダンジョンマスターになってから、知らず知らずの内にスプラッターやグロへの耐性がついています。作中に描写してはいませんが、討伐したゴブリンはしっかりと討伐証明の耳を切り取り、まとめて火をつけて燃やしています。

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