6.裸の付き合いってやつね!
お風呂のシーンがありますが、お色気などはありません。…多分。なのでご承知おき下さい〜。
ホルストとのリベンジマッチに勝って、進化したアムちゃんとはしゃいでたらすっかり雨が上がったんだけど、何もかも水浸しだしめちゃくちゃ疲れたしで今日はもうお開きにすることになった。
視察団の人達には増築したダンジョンマンションを一応オススメしてみたら、めちゃくちゃ反応良くって王子様とか元宰相さんとかも泊まることになったんだって。増築しといてよかったー。
細かいことはマイスにお任せしちゃって、ゆっくりお風呂にでも入りにいこっと。
「んで、なんでここの風呂に来るんだよ」
全身湿ったままでお風呂の道具と着替えだけ持って、アムちゃんレイラちゃんを引き連れてマンションの大浴場へとやってきました!マイルズがなんかブーブー言ってるけど気にしないでいこう!
「新しく仲間になった子達と親睦を深めるらしいっすよ?」
「なんでお前まで一緒になってるんだよサラ……」
来る途中で捕まえたサラちゃんも引き連れてきてるんですね、えぇ。他にはサリーちゃんにメルちゃんキャロちゃんランちゃんもいます。大人数だとウチのお風呂には入れないからね、仕方ないね。
「男どもはサッサと出るっすよー!」
「しゃーねぇな。みんな出るぞー」
マイルズ達は今日お偉いさんが来るってことで、冒険者稼業はお休みで一日ゆっくりしてたみたい。お酒をちびちびしながら日の高い内からお風呂に入るっていう贅沢をしてたらしいけど、悪いね!
あたし達に見えないようにしっかりタオルで隠してお風呂から出てったわ。そういうとこは無駄にちゃんとしてるのよねぇ。
少なくなったお湯を足しつつ、まずは身体を洗っちゃおう!
シャンプーとかリンスを不思議な顔で見るアムちゃんレイラちゃんに使い方を教えてあげながら、わっしゃわっしゃ洗っていく。
なんとか自分で洗えるようにはなったけど、それぞれやりにくいところがあるみたいだから洗うのを手伝ってあげる。アムちゃんは背中、レイラちゃんは地面と接する足?の部分の細かい隙間が苦手みたいで、しかもくすぐったいみたいだから敢えて隅々まで洗っちゃうもんね!
くったりとしている二人はさておき!しっかりと洗い流したら、溜まったお湯にどぽん!!
「はぁ〜生き返るぅ〜ぶくぶくぶくぶく」
「オブロギボヂイィネェ〜」
あたしとレイラちゃんは肩までどころか頭まで浸かっちゃってからのろのろと身体を起こす。アムちゃんはお風呂を不思議そうに見て足だけつけてみてる。足先からじんわり温まるのが気持ち良かったみたいで腰までお風呂に入った。
緊張も解れてみんながホッと一息ついたところで、アムちゃんが「ねぇハルちゃん」と話しかけてきた。
「私が繭の中にいた間、何があったの?レイラちゃんはどうやって仲間になったの?」
「あ、それあたしも気になるっす。レイラちゃんがすごい魔物だってのは聞いたっすよ?」
ふふふふ、今まで秘密にしていたことを発表する時が来たようね!メルちゃん達の方を見ると、同じように悪い顔して笑ってた。
「実はね、最初ホルストに負けてからメルちゃんキャロちゃんに妖精・精霊ネットワークで声を掛けてもらうように頼んでたの。ダンジョンモンスター達が落ち込んでるから、お見舞いに来て欲しいってね」
それを聞いた妖精さん達はすごい勢いでウチに来てくれて、事情を聞いてはみんなを慰めて、また自分の知り合いに広めに行ってくれた。大精霊のマグノリア様にも直接連絡して来て頂いて、あたしも実際に相談に乗ってもらってたのよね。
連日来てくれた妖精さん精霊さんと、マグノリア様のお陰で物凄い量のDPを貯めることができたから、レイラちゃんを召喚する一万DPが用意できたってわけ。
ちょっと癪なんだけど、ホルスト含めた先遣隊の人達からも結構DPは回収できてたからってこともあるのよね。
実際にレイラちゃんを召喚したのは視察団が来る当日の朝だったし、打ち合わせなんて「大雨降らすことできる?」「デキルヨー」「オッケー!よろしく!」だけだったし。止め方まで聞いてる余裕なかったんだよねぇ。
「マグノリア様は結構ハルちゃんのこと気に入っててね、あの話を聞いた時は結構お怒りだったんだよー」
「そうそう。一回グラグラ揺れたことあったやん?」
メルちゃんとキャロちゃんは呑気に話すけど、あの時はマジでビビったよね。
あれがまさに大地の怒りってものよね。流石大地の大精霊様。
「ひぇ〜。ハルちゃんも意外と強かなんすねぇ〜」
「やっぱり女は度胸でしょ〜」
アムちゃんも一通り説明したら納得してくれたみたいで、次の質問に移った。
「わたし、強くなれたのかな?」
あたしの悲しみが晴れたらいいなってことしか考えてなかったから、進化しても戦力にならないんじゃないかって不安そうにしてる。
いっちょ迷宮主腕輪から図鑑確認してみますか。
プリズムフライ:クイーンキャタピラーから進化し人型の身体を得た蝶のモンスター。背中の翅は無色透明だが、陽に当たると淡く虹色に煌めく。進化前の吐糸能力はなくなることなく、翅と同色の透明な糸を操ることができる。魔素の扱いにも長けており、自らの姿を景色に馴染ませる独特な魔法を使うことができる。
図鑑の内容を説明してあげると、アムちゃんはむむむむ唸って糸や魔法を使ってみようとしてるみたい。魔法の方はまだ難しいみたいだけど、糸は指先から出すことができたの!手首から糸出せない!?って聞いてみたけど、それは無理みたい。
色々できることがあるって分かったアムちゃんは安心したみたいで、フニャッとした笑顔になった。
アムちゃんのお話が終わると、サリーちゃんも最近できるようになったことを自慢気に教えてくれて、なでなでしながら聞いたりメルちゃんキャロちゃんの魔法さばきでも盛り上がった。
みんなの話聞いてたら随分長湯になっちゃったから、のぼせる前に上がらないとね。
お風呂から上がってサラちゃんと別れ、夕方の涼しい風を感じながら頂上エリアまで歩いてると、一通りやることを終えたマイスがあたし達のことを出迎えてくれた。
本当に今日は疲れたから早めにおやすみなさい。
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まだ空が茜色に染まる中、レイラの住処を泉のそばにサッと増設してからベッドに入ったハル様はすぐに寝息を立て始めました。余程張り詰めていらっしゃったのでしょう。
今日は私も本当に驚かされました。日々尋常ならざるスピードでDPが溜まっていることには気付いていましたが、そのDPで逆転のための算段をつけていらっしゃるとは考えが及ばず……無意識のうちにハル様を侮っていたということになるのでしょう。
ダンジョンマネージャー、ただの名前付きのアルラウネ如きが、マスターであるハル様のことを守らねばならないと驕った考えをしていた己の浅慮に頭が痛くなります。
マスターはいつだって我々のことを一番に考えて守ってくださっているのに……。
私も今のままではいけないのだと深く考えさせられました。折れることのない強さと先まで見通す知見が欲しい。ハル様に恥じることのないマネージャーになりたい。
私の中に着実に溜め込まれている魔力の行き先が少し見えたような気がします。
さて、夜の見張りをカゲジロウ・カゲリーナに任せて私は特訓と参りましょうか。
夜はまだまだ長いのですから。
ハルちゃんは「男は愛嬌、女は度胸」という間違った覚え方をしています。一応元々は「男は度胸、女は愛嬌」という言葉らしいのですが、ハルちゃんはジェンダー観の進んだ世界から来ていますので、そこでは「心に度胸、顔には愛嬌」という風になっているそうです。
元ネタで覚えちゃったパターンということで一つ。




