17.優雅な朝と不思議なお茶会
途中で視点変わります。
ポルッポーポッポー。ポルッポーポッポー。
夜露に濡れた花畑を朝の陽射しがキラキラと照らす中、ビーンピジョン達が気持ち良さそうに鳴いている。
一陣の風がサァっと花々を揺らし、緑の天蓋を吹き抜ける。涼やかな風に頬を撫でられるとうっかり起きてしまいそうになるけど、まだ眠い。寝返りを打ちながらまた心地良い微睡みに入る。
オハヨー。オハヨー。おはようございます。
幼い子どものような声で朝の挨拶を交わすのが聞こえる。陽射しの煌めきが強くなって少し眩しいけど、それに背中を向けるようにしたらまだもう少しいけるかも。
「おばあちゃん、ますたぁはまだ起きないの?おねぼうさん?」
「マスターは昨日の遅くにお仕事をしていたんですよ、だから今日はお寝坊しても良い日ですね」
「そうなんだ!」
「「「ますたぁえらーい!」」」
「でもそろそろ起きて朝ご飯にしましょうねぇ」
「……んん〜?あと5分寝かせてぇ……」
ベッドの傍が賑やかになったなと思ったら、ガサゴソと何かがベッドの上に登ってくるみたい。
ほっぺたをツルツルとした触り心地の何かでもちもちと押したり、お腹の上をゴロゴロしたり、おでこを撫で撫でしたりしてくる……もう!可愛いわー!みんなまとめてギュッとしちゃう!!
「おはよう!サリーちゃん、コウくん、ライくん、ジンくん!起きるよ、起きるから、あっくすぐったい〜〜〜!」
オニオンボーイの頭から生えるぴょこんとした葉っぱが首元を擽ってきて、ジタバタしてたらみんなもキャッキャバタバタ。おっきいベッドの上でみんなとゴロゴロしてから起き上がる。
おばあちゃんがにっこりしながら洗面器と水差しを用意してくれてて朝の支度を始める。今の時間は10時くらいかな?大分ゆっくり寝てたみたい!
着替えも終わったら、ライくんを背中にジンくんを肩に右手と左手にはサリーちゃんとコウくんを装着して、朝ご飯の用意がしてあるテーブルに向かう。
要はおんぶと肩車しながら手繋いでるんだけどね!葉っぱの触腕を伸ばして絡みついてくれるから意外とフラフラはしないんだなコレが。
今日の朝ご飯はー、ふわふわのパンケーキが2枚にリザードテイルのカリカリベーコン、サラダはサニーレタスとラディッシュみたいな奴で、デザートにウッディのベリー。
サラダには人参ドレッシングをかけてパクリ。今日もお野菜が新鮮で美味しいわ!パンケーキにベーコンを乗せてから花蜜を掛けて一緒にアグッ。んー、甘しょっぱくてたまらん!ジャムをつけて食べたりベーコンと一緒に食べたりして、最後にフルーツでさっぱりしてフィニッシュ!
「ご馳走様でした!」
優雅に食後のおティーを頂きながら、迷宮主腕輪からモニターを呼び出して少しだけお仕事開始。
昨日の夜中によく分かんない集団まとめて眠らせて捕まえたけど、まだ起きる様子はないみたいね。ダンジョンモンスターはみんな元気で変わりなし。ポイントは昨日南の渓谷側をダンジョン領域にするので少し使ったけど、今度はあっち側開拓してみるのも面白そう。崖の上から谷底に向けてどんな植物で構成しようかなって考えてたらお茶もなくなった。
よし!歯磨きしてお仕事だー!
捕まえた冒険者達のところに行くと、マイスが蔓を伸ばして冒険者の懐や荷物から情報を探ってた。
昨日のこととか話しながらガサゴソするけど、全員冒険者カード持っていてどっちがどうとかはイマイチ分からなかった。なのでメルちゃんを呼ぶことにした。
「ハルちゃんおはようー!何かご用かしらー?」
昨日の今日だから冒険者を見て気にするかと思いきや、メルちゃんはご機嫌さんだった。少し気になって聞いてみると、妖精は楽しいことがあって今が元気ならあんまり深く考えないんだって。切り替えが鬼早って感じよね。
昨日メルちゃんを追いかけてた連中を思い出してもらって、その中からリーダーっぽい男の人を叩き起こすことにした。
取り出したのはキンキンに冷えたお水!こちらをガタイの大きな男の顔にセイッ!!一思いにぶっかけます。
「ンガッゴフッ、ゴホゴホッ、なんだ!?」
男はびっくりして飛び起きようとしたけど、木の牢に拘束されてて全然動けないでいた。あたしは冷たい水をもう一杯用意してから話し掛ける。
「ねぇちょっと聞きたいことがあるんだけど」
─────
戻ってこない仲間、暗い中での戦闘、誰が無事でどこにいるのか…全く分からない。真っ暗な中でボヤけた思考がぐるぐると回る。これは夢なんだろうか。
バシャッ!!
いきなりの衝撃に目が覚める。顔というか上半身に痛い程の冷たさを感じて身体を跳ね起こそうとすると、硬い木の根みたいなものに阻まれた。地面に縫い付けるように拘束されていて、手足も自由に動かせない。
冷たい水を掛けられた顔を振って視界を確保すると、目の前には物凄く綺麗な女が立っていた。
そんな場合ではないと分かってはいても魅入ってしまう。透き通った白い肌に新緑を思わせる瞳、薄桃色の髪に豊かな胸のライン。すらりとした手足をしていてガラスの水差しを持っている……水差し?
目の前のこの女が水を掛けたのかと理解するともう一度声を掛けられる。
「目が覚めた?もっかいいっとく?」
ニコッと綺麗な笑顔で水差しを持ち上げるので、顔を勢いよく横に振って見せる。
そこからはその女にあれやこれやと質問を受けることになった。俺達が何者で昨日の夜何を争っていたのか、なぜトレントやドライアドに攻撃をしたのかと聞かれたことに答えていく内に、俺達の出自やらガルメリオの連中につけ狙われてることまで話すことになっちまった。
「うんうん、それでそれで?結局なんでそいつらに狙われたの?」
「よく分かってはいないんだが、ウチにはギフト持ちとか魔法を使えるのがいるからじゃねぇかな」
「えーーー!そんなのめっちゃ迷惑じゃん!知ったこっちゃないよねー」
「そうなんだよ!わざわざ街の外に出てったってのにまだ狙われてうんざりだ」
いつの間にやら木の根が動いて姿勢を起こされた。両足と右手を改めて拘束し直されて、自由になった左手にはティーカップが握らされてた。絨毯とテーブルも用意されて目の前の女は座ってお茶菓子を食べながら相槌を打っている。よく見ると、女の後ろに控えてる緑髪の女が用意を整えているみたいで、件のドライアドも一緒になってお茶を飲んでいる。
「攻撃されたのはムカついたけど、あんた達も大変だったのねぇ……」
「ほんとほんと。こんな若い子達がお互いを支え合って生きてるのに、そのガルメリオって奴は碌でもないね!」
いつの間にか話し込んでいて太陽が真上にくる頃、呻きながらも他の奴らが目を覚まし始めた。
そこで相変わらず変な格好で拘束されたまま話をするしかない俺と、状況が理解できずに狼狽えるメンバーの目が合う。
「リーダー何してんの?」
そんなん俺が聞きてぇよ。
飯テロできるような文章が書きたい…!




