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お花畑女子のゆるふわダンジョン最強説  作者: 豆の木豆太郎
人もモンスターも虜になっちゃう!魅惑の花畑ダンジョン
16/71

16.うとうと迎撃大作戦!?

ハルちゃんが大暴走します。シリアスにはなりませんのでご安心ください。

 

「ハル様、ハル様起きてください」

「……んんー?どったの?まだ夜だよー?」


 ふわぁ〜。まだまだ寝足りないんだけど、マイスが起こすからには何かあったのかな……?

 今日は色々あって樹妖精ドライアドのメルちゃん達を仲間にお迎えすることになって、ポップコーンパーティして早めに寝たはずなんだけど、周りはまだ真っ暗でシーンと静まりかえってる。


 マイスは真面目な表情で私を見つめてるから、寝ぼけてる場合じゃないのかも。



「お休みのところ申し訳ありません。昼間に遭遇した冒険者集団のことは覚えていますか?」


 うんうん、覚えてるよ。はっきり見てないけど何かむさい男達だったよね?


「恐らくその集団の者が何人か、別の集団に追われて魔の森に逃げ込んでいる様です」


 ん?集団が集団を追って?よく分かんないや、詳しくー。


「現在南の渓谷方面にて二人の男女を追う男が一人、追い込まれるように我々のダンジョン側に向かってきています。街寄りの東方面では魔の森の中で大々的な戦闘が行われている様子」


 ほーう、穏やかじゃないですねぇ。とりあえずその南の方が今近付いて来ていると……。

 うっし、やっと目が覚めてきたわー!どっちが悪者か分かんないからとりあえず見てみるしかないよね!


「オッケー、こっそり覗きにいこっか」


 真夜中だし面倒くさいし、着の身着のまま行っちゃいますかー。守りの方はよろしくね、マイス♡


「ハル様!?よろしくって、ちょ──」

「あ、喋ってた?まいっか、転移!」



 迷宮主腕輪マスターリングを操作して渓谷方面のダンジョンの際辺りに転移を発動する。崖の上からこっそり覗いてみようってわけなのだ。

 慌てて喋ってる途中のマイス諸共光の粒子に飲まれて、ハイ、崖の上に到着!


 装備も整えずにパジャマで…とあわあわしてるマイスは一旦置いといて、崖側に寝転がって頭だけ出して覗き見る。なんかちょうど追い詰められてる真っ最中なんですけどー。




「オイオイ、もう追いかけっこはお終いなのかぁ?まだ魔法打てるんだろぉ、もっと遊ぼうぜぇ?」

「なんなんすか!あたしらは金なんて持ってないって言ってるじゃないっすか!これ塩!塩が入ったただの皮袋ーーー!」


 柄の悪いヒョロガリが鉤爪を舐めまわしながら男女を追い詰めてるみたいね。

 金なんて関係ないとか、俺は切り裂けたらなんでもいいとか言っちゃってるけど中々ぶっ飛んじゃってるわ。これは悪者決定ね。


「ねぇマイス、あいつら大して強くなさそうだし、サクッとやっちゃって」

「わ、分かりました」



 闇夜に目立つ白い服を纏ったマイスが、キラキラと輝く粉を撒き散らしながらゆっくりと崖下へと舞い降りていく。


 甘くてかぐわしい魅惑的な花の香りが三人の男女に届く頃、空から舞い降りる美しい美女の存在にようやく気付いた。

 殺気や敵意に対して敏感になっているはずの冒険者からしてみたら、それはそれは異常な出来事で、その異常さに気付くまでにも数瞬の時間が必要だった。


 白く透き通る肌はかぶりついてしまいたくなる程扇情的で、艶やかな緑髪が風になびく度胸が締め付けられる。瑞々しい桃色の唇が動き出す瞬間を固唾を飲んで見守る三人。ソッと地面に降り立つと、伏せていた目蓋を持ち上げてくらい瞳で見つめる。


「  ひざまずきなさい  」


 身体が思うように動かせない。本能が警鐘を激しく打ち鳴らしているのに、この香りにその美貌に、そして微睡むような快感に抗うことができず、武器を下ろしてしまう。


「ハル様ーもう終わりましたよー」


 速攻で三人を無力化したマイスは、蔓植物で腕と口元を覆って拘束する。上から覗いてるあたしもちょっとドキッとしちゃうくらい魅力的な何かがあったんだけど、すっかりいつも通りのマイスだわ。


 とりあえずこっちは収まったけど、東の方の戦闘はどうしよう……。まぁまたマイスがうまくやってくれるでしょう!


 まずはDPをちょちょいと使って、渓谷の崖下までダンジョンエリアを浸食する。三人が範囲内に入ったのを確認してから、マイスに戦闘がどこら辺で起きてるのかを聞く。そこから少し離れたところ目掛けて、意識のない三人を強制排除!ダンジョン内の異物をシュポーンと排出する感覚で三人を強制転移させる。昼間の時とは違ってこれには特にDPやらの消費はないみたい。


 続いてあたし達もその辺り目掛けて転移する。景色が変わると、真夜中だっていうのに金属音が響くわ、男の叫び声が響くわで頭痛くなっちゃう。



「よーし、マイス!その調子でやーーーっておしまいー!!」


 もう眠いしめんどいしでテンションおかしくなってるけど、ガチャガチャとうるさい二つの集団にイラついたのでマイスに魔力をあげて即効で黙らせることにしたの。


「仰せのままに」


 さっきのキラキラした粉の比じゃないくらいに密度の濃い花粉を撒き散らしながら二つの集団向けて歩いていくマイス。取り零しの無いように広い円形に茨が生えていき、白い昏睡花が咲き乱れる。


 それまで汗と血と土埃舞っていた場所に似つかわしくない芳醇な花の香りに気付いた時には既に手遅れであった。

 周囲を白い花が咲く茨の高木に取り囲まれ、朦朧とする意識の中で壮絶な美女が蔓植物でこちらを絡めとっていく。これは夢なのか、それとも恐ろしい魔物の虜にされてしまったのか、判別がつかないまま幸せな眠りについていく。


「ハル様ーオッケーですー。それにしても大分お怒りだったんですね、魔力の譲渡までされて」


 戻ってきたマイスは30人くらいの男共をまとめて蔓で持ち上げて運んでいる。めっちゃ力持ちじゃん!


「それもハル様の魔力あってのことですよ?まだ効果が続いていますので」


 とりあえず無事に終わったし、早く帰って寝よう〜。もう眠くて限界〜。

 あ、そいつらはとりあえずまとめてどこかにしまっておいてね〜。てことで頂上に転移してそのままおやすみなさいー……。






 ハル様は疲れてそのまま眠りに就いてしまったので、捕らえた集団をまとめて運ぶ。


 頂上エリアを不用意に見せるわけにはいかないため、そこから幾つか降りた小広場のエリアに降ろして一人一人を木の牢で閉じ込める。どれがどれの仲間かなど見当もつかないから、全部個包装してしまいましょう。


 中には怪我をしている者もいるが、ハル様が気を遣うのも嫌なので苦い薬草エキスを生み出して口に放り込んでおく。気付けにもなりそうな苦さのエキスだが、昏睡花のおかげで翌日の昼までぐっすりだろう。


 今回は不意打ちだったこともあるが、ハル様の魔力譲渡を経験することもできて収穫が多かった。正面からの戦闘ではまだ不安が残るが、自分の中に眠る可能性にはしたなくもドキドキしてしまいます。

 私も気を鎮めるために休養する必要がありますね。後は引き続きカゲタロウとカゲアンナに見張りを任せましょう。







「いやぁこれは中々にやばいですねぇ……何と報告すればいいのやら…」


 花畑ダンジョンから随分離れた魔の森の中、指で輪っかを作って覗き込んでいた男はこの一部始終を目撃していた。男は指に掛けた遠見の魔術を解いて街へ向かって走り出していく。


ちょいちょいハルちゃんじゃない視点が混ざりますが、場面変える程でもないので戦闘描写だとしてお許しを。

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