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会談

予約した掲載日時を間違えてしまいました。申し訳ございません。


転移後の世界が剣と魔法の世界で、リアルタイムSRPGをイメージしている作品です。


週2 水曜日・日曜日 更新 予定です。

次の日、俺たちは親書を渡すために王城へと向かった。

この世界の儀礼については事前にパンテラから教わっていたが、多種族共生国家ということもあり、それほど厳格なものではないとのことだった。

――とはいえ、前の世界も含めて国のトップに会うのは初めてだ。足が若干震えているのは、疲労のせいということにしておく。


「ノクス皇国より、ロンド共和国への親書を携え参りました。使節としての取り次ぎをお願いいたします」

「身分証の提示と、親書を見せていただこう」


メンソールが門番にギルドカードと親書を差し出す。門番は封蝋に刻まれた紋章を確認した瞬間、わずかに表情を引き締めた。


「……確かに受け取った。身元確認後、取り次ぐので、しばし待て」


そう言うと門番は近くの宿舎へと案内した。


「すぐに謁見できるというわけではないんだね」

「まずは外交官と話すことになりますね。重要な案件であれば、後日謁見ということになります」


よく考えると当然だ。事前の連絡もなく見知らぬ者が来て、面会させろというのは無理がある。

噂のお姫様をすぐに見られると思っていた自分が少し恥ずかしかった。


「お待たせした。外交官が会うそうだ。着いてきてくれ」


門番に連れられて、王城の一室に通された。客室であればもっと豪華な部屋を想像していたが、テーブルと椅子がいくつかある質素な部屋だった。


「お待たせしました。外交官のヴァルガスと申します」


現れたのは、武官といっても差し支えないような巨躯の男だった。顔立ちは人に近いが、頭には猫のような耳が、腰には長い尻尾が揺れている。絵に描いたような獣人という風貌だ。


「初めまして。ノクス皇国から来ましたメンソールと言います」


メンソールがギルドのメンバーを順に紹介していく。


「親書を拝見いたしました。内容をご存じないかもしれませんが、国と国に関わる重要な案件でして、後日王との謁見の場を設けることになるかと思います」

「そんなに重要な内容なんですか?私たちは内容を知らされていないため、謁見したとして、重要な話ができるとは思えませんが……」


メンソールの言う通りだった。謁見をしたとしても返答の封書を受け取るだけだと思っていたし、俺たちには何の決定権もない。


「話は複雑になるのですが……まず、親書の内容は婚姻と同盟を同時に結ぶ、というものです。しかし、ここロンド共和国では多種族共生国家ということもあり、政略結婚のような風習がそもそもない。代々の王も血縁関係ではなく、種族もばらばらです」


事前に歴史は聞いていたが、内乱が起こらないのが不思議だとずっと思っていた。

出身種族への優遇を期待して対立しそうなものだが、それほど成熟した国家なのだろうか。


「ところが、商業国家を除く他の四大国全てから同様の話が持ち掛けられていて、国内が混乱しています。特に帝国の力が増してきており、拠点争いでも劣勢が続いているため、婚姻を結ぶべきという派閥が登場してきた」

「ちょ……ちょっと、そんな重要な内情を私たちに話して大丈夫なんですか?」


パンテラが思わず口を挟んだ。俺も同じことを思っていた。


「そうですね、失礼しました。前提の話が抜けていました。……実は、君たちの力を借りたいと思っています」

「なぜ私たちに……?他の国からも使者が来ていると先ほどおっしゃっていましたが」 「君たちはドラゴン討伐の英雄だと聞き及んでいる。実力は折り紙付きだ。それに、拠点争奪戦には君たち個人の名前はあっても、ギルドとして参戦した記録はない。……つまり、国家とはそれほど密接な関係ではないということだ」


ギルドカードを見せたからだろうか、こちらの情報は全て把握しているようだった。最近のドラゴン討伐まで把握しているとは、この世界でも情報の伝達はそれなりに早いらしい。


「おっしゃる通り、私たちは国家間の争いごとはできるだけ避けるようにしています。とはいえ、ノクス皇国に所属している立場で、他国の内政に関与することはできません」 「これは、ノクス皇国に所属している君たちにお願いするのではなく、冒険者に依頼をするという形です。とりあえず、王との謁見の場を設けたい。後日また王城に来ていただけないでしょうか」

「……少し時間をいただけますか」

「分かりました。では明日、同じ時間でお待ちしております」


****


ヴァルガスとの会談が終わったあと、ギルドメンバーで話し合いを行った。依頼内容の詳細はまだ聞けておらず、焦点は一つ——依頼を受けた場合、ノクス皇国への裏切りにならないか、ということだった。


「依頼内容が今回の親書に関わるものであれば、皇国の意向を無視する形になる可能性が高いわね。ばれた場合、ギルド解散か追放か……」

「……依頼を断った場合は?」


キャンシルが心配そうに問いかける。


「話を聞く前に断れば大丈夫だとは思いますが、聞いた後は最悪口封じされるでしょうね」


パンテラが答えると、重い沈黙が流れた。


「リョウはどう思うんだ?」


ルーダが静かに聞いてきた。


「……他国の冒険者に依頼をしてくるくらいだから、相当困った状況なんだと思う。助けを求めて手を伸ばしてきたなら、俺は取ってあげたい」


ギルドのことや政治的な観点からすると、間違った答えかもしれない。それでも、これが本心だった。


「はぁ~、ホントしょうがないわね。じゃあ話は聞くことにしましょ。おそらく依頼も受けることになると思うけど」

「メンソさん、最初からこうなること予想してたでしょ。親書の内容まで言い当ててたし」

「さあ、どうかしら。ま……楽しそうなことになってきたな、とは思ってるけどね」


相変わらずのウィンクが、妙に様になっていた。


結局、全員が話を聞くことに賛同した。明日、ヴァルガスとの再会談。そして、謁見へと向かうのだった。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


ブックマークしていただけると喜びます。


次回は3月25日(水) 20:00更新予定です。

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