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ロンド共和国

2章の前半は、遠征の厳しさと楽しさを書けたらと思っています。


週2 水曜日・日曜日 更新 予定です。

「そろそろロンド共和国に着くはずですが……」


ルミナス山地の激闘を乗り越え、ブリュン平原へと到達した。

山地の魔獣と比べると大分弱くなっていて、ノクス皇国周辺と同程度の強さに戻っていた。


「見えた!」


キャンシルが喜びの声をあげる。

その言葉があってから暫く歩くと、俺の目にもようやくその姿が見えてきた。

城壁らしきものは見えるが、ノクス皇国と比べると開放的な雰囲気がある。

数週間かけてここまで来たのかと思うと、感慨深いものがあった。


「ふわぁ~~やっと着いた~」


大きな門のところに辿り着き、通行証を門番に見せて中に入ると、心地よい風と共に花びらが舞っていた。

ノクス皇国とはまるで違う光景で、本当に別の国に来たのだと実感する。


「今日はもう夜になるので、明日親書を渡しに行きましょう。まずは宿と食事を探さないと」


宿を探すために街を歩いていると、噂通り色々な種族がいた。

エルフにドワーフ、獣人にハーフリング。ファンタジー世界に来たのだという感動が、疲れた体の中からじわじわと込み上げてきた。


「やっぱり、エルフとドワーフは仲が悪かったりするの?」


ファンタジー世界の定番といえばエルフは長命種、ドワーフは鍛冶師、獣人は力が強く、ハーフリングは商売が上手と相場が決まっているが、多種族国家が成り立っていることに興味があり、一番気になっていたことを聞いてみた。


「やっぱりって……どこ情報か知らないけど、そんなことないと思うわよ。パーティー組んでることも結構見るしね」

「少なくとも国の中では協力しあわないと、この世界で生きるのは無理」


自分たちの種族が生き残るためには、多種族であっても争っている余裕はないということか。種族ごとのコミュニティはあるようだが、それほど壁は高くないらしい。俺の中のファンタジー像が、少しずつ更新されていく。


そんな話をしているうちに大きめの宿に着き、無事に部屋を確保できた。荷物を置いて、目星をつけていた食堂へと向かう。


「久しぶりにまともな料理を食べられるな」

「噂によると、近くに出るオークが名物らしいよ」


ここまでの道中、色々な魔獣の肉を食べてきたが、焼くか煮るかしかできないので、臭みがあるとなかなか食べられないこともあった。まともな食事への飢えは、皆同じらしい。

ただ、オークと聞いて俺は思わず固まった。人型の、あれを食べるのか。


「……オークって、どんな見た目?」

「豚に近いわよ。なんで?」

「あ、いや、なんでも」


人型を想像していたとは言えなかったが、豚に近いとは体型も含めてなのか気になるところだ。


「私は地元産のお酒があればいいから、後の食事は任せるわ」

「オーク。オークがいい」

「じゃあ、オークの香草焼きとシチューを頼むか」


ルーダがオーダーして、しばらくすると料理と飲み物が並べられた。

オークの香草焼きは、まるで豚肉のようにぷるんぷるんしていて、人型という先入観がどこかへ消えていく。


「とりあえず、お疲れ様!乾杯!」


皆が一斉に飲み食いを始める。

香草焼きもシチューも思ったより柔らかく、口の中でほろほろと溶けていく。

数週間ぶりの本当に美味しい食事に、自然と笑顔になった。


「ところで、親書の内容ってなんだろうね」

「分からないけど、私の勘からすると……共和国の噂のエルフ姫への婚姻申し込みじゃないかしら」

「噂の……?」

「そそ。厳密にはダークエルフみたいだけど、絶世の美女って噂」


「今、皇国は転移拠点を取られて経済がやばいからね。婚姻で同盟を結んで、拠点の交渉をするっていうのが狙いかな」

「メンソさんの勘は大体当たるからな~俺には政治のことはよくわからないけど」


ここまでの道のりを経験した身からすると、転移拠点を失うことがいかに経済に打撃を与えるかは分かる。

あの道を商隊で通って利益を出すには、相当な熟練と覚悟が必要だ。


「さて、今日はゆっくり寝て、明日は早めに行きましょ」


久しぶりにベッドで眠れる。それだけで十分だった。

ただ、姫という言葉が頭に残っていた。絶世の美女、ダークエルフ、婚姻の申し込み。明日どんな人物に会うことになるのか、宿へ向かいながらぼんやりと考えていた。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


ブックマークしていただけると喜びます。


次回は3月18日(水) 20:00更新予定です。

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