第九話Part6
「ふう……」
あの謎のメモを見つけて二日が経った。私はあれから全然落ち着かない。授業中も休み時間も、部活中も……家に帰ってもそうだ。どこかで誰かが見てるんじゃないか? という不安が常にある。力を使うことがここ二日はなかったからよかったけど……本当に私のこの力をわかってるのだとするのなら、もしかしら私の目の前で自分を危険にさらしたり……そんなやばいやつだったらどうしよう?
思わず助けてしまったら、それで証明されてしまう。でも……もしも車の前に飛び出すとか……そんなことをされたら助けないわけにはいかないじゃん。だってそれで死んで恨まれるとか嫌だ。
「なんで助けなかったんだよ!」
――とか責められるかもしれない。いや、しらないっていえばいんだろうけど、でもね。私にはこの力があるんだ。きっと本当に目の前で誰かが死んだら……私はずっと後悔するだろう。なまじ力があるばかりに、助けられるから。
でもさすがにそこまでの狂人はそうそういない……と思いたい。実際この二日は何もなかったんだ。
「やっぱりイタズラだったとか?」
その可能性だってまだある。本当は何もわかってないただのいたずら。肝が冷えたけど、その可能性は高い。なら下手に動かずにただ日常を送ってればいい。
「きっと、気のせい気のせいだよ」
私はスマホを枕元に置いた。そして横になって目を閉じる。この二日、野々野君と話す機会はなかった。自分から言ってもいいと思うんだけど……きっと彼はこの相談にだって乗ってくれるだろう。でも……一歩を踏めなかった。だって……なんか野々野君は平賀さんと話してるんだもん。
あんな綺麗な人と話されるとさ……こっちがみじめになるじゃん。二人の空間に入ってはいけないような……私なんかがってさ。だから気のせいにして、なにもないないって思いたかった。
なのに……
「嘘」
翌日、登校すると私の靴箱に折りたたまれた紙が入ってた。ラブレター? と見間違うことがないほどの簡素な紙。だってラブレターだったら男子だとしてもきっともっとちゃんとした紙というか? 便箋とか使うんじゃないだろうか? いや、もらったことないから知らないが……でもラブレターをこんな紙で寄越してくる男子なんて私はこの時点で「ごめんなさい」決定だ。
まあ9割ラブレターじゃないだろうと思いつつ、私はパッとそれをとってトイレに入ってその紙を開いた。
するとそこにはこう書いてあった。
『今日の放課後、僕は遠くに行きます。この世じゃない遠くへ。それが嫌なら、止めてみせて。その力で』
それからなんか簡易的な地図みたいなのが書いてあった。
「こんなの真に受けるわけないじゃない」
私はそんな風につぶやいた。




