第九話Part3
告白をした。間違いなく伝わったはずだ。「え? なんて?」――とかこの距離では不可能。カラオケのスピーカーから流れる曲はサビに差し掛かって、盛り上がるテンポが走り出す。それはまさに私の心がもう止まれないことを表してるような……そんな気がした。私は涙を拭いて野々野君の顔をみる。見つめる。けど……すると野々野君の顔が真っ赤になってそらされてしまった。
私だって顔をそらしたいほどに恥ずかしい。でも……皆の後押しがあったのだ。私は逃げない。野々野君のそんな反応を見れただけでも私は満足だよ。だってそれって、野々野君も私の気持ちを正面から受け取ってくれたってことだよね。私の本当の気持ち……好きって気持ち。止まらない想い。溢れ出るこの想いは、きっと彼に伝わったはずだ。
だから……私は伝える。ヘタクソでも笑顔を作って……
「大丈夫……だよ。野々野君の……あ、あぁぁぁあしがる君の本当の気持ち聞かせて。知ってるでしょ? 私、強いんだよ」
「田上……さん」
結果は……わかってた。彼も真っ赤になってる顔をまっすぐに向けて私と目を合わせてきた。互いの視線がぶつかった。私は姿勢を正してソファに深く座りなおした。彼の開きかけた口が言葉を発さずに空気だけを何回か吐き出した。
それはきっと彼の迷い、葛藤……そして、思いやり。私は知ってる。野々野君は優しいのだ。きっと私のこと、気にしてくれてる。それでも言葉にならない空気と、何回か外れる視線を見据えてると、彼は私を見て苦しそうな顔をした。
視線が落ちる。私の眼には彼の頭頂部が見える。まるでいう前から頭を下げてるようだよ。そして……彼はいう。
「……ごめん」
音楽は、いつの間にか転調パートに入ってた。ラブソングにもあるハラハラドキドキ、不安をあおるようなパートだ。まさに私の心のようだよ。けど……それでも、私は顔には出さないよ。言葉を受け取って、心が壊れてしまうそうだけど、握ったこぶしを強く……さらに強く握る。だって泣いてしまそうだ。
ここで泣いたら、きっと彼を困らせてしまう。強くなんてなくなっちゃう。だから私はズルズルと姿勢を崩すためにソファにだらける。深く座ってたおしりを滑らせたのだ。それと同時に「あぁーーー」――なんて間抜けな声を出した。
それに対して野々野君がびっくりしたよう顔を上げた。そんな彼は目が合って私は
「あっちゃー! だめだったかぁああ!」
――大げさなくらいそういった。彼がなにか言おうとする。でもそれよりも早く……そして大きく――
「うんうん、そっか。そうだよね。いけるとおもったんだけどなぁ! でもほら次があるし。知ってる? 私今、結構キテルらしいよ!! だから次を目指すから、うん! ありがとう。さようなら!」
私は唐突にがバッと体を起こす。その際テーブルに膝が当たってしまったが……なんかベキッて音したが、そんなの気にしてる場合じゃなかった。私は足早に荷物をもって部屋を出た。扉の前に皆がいる……なんてことはなかったが、突き当りのところで皆が心配して見守ってた。
私はそんな皆の元にいって泣いた。




