第3章5話
レブルはツインデスペリアでリーブラを攻撃する。リーブラはそれを回避する。だがリーブラは反撃しようとはしない。
「いい加減、反撃したらどうだ?」
「そうだな。反撃させて貰おうか」
リーブラの指輪が黒く光る。そして、かつて戦った影の騎士が現れる。だが影の騎士は影では無く、実体となる。それは黒と赤の鎧を纏い、黒の片手剣を持った魔物となる。
「カースマリオネット。あの時の影の騎士と違って結構強いぞ」
カースマリオネットがレブルに襲い掛かる。レブルはコスモ・ガントレットを展開させる。そして、天極でカースマリオネットを薙ぎ払う。
そして、レブルは天極でリーブラとの距離を詰める。
「零式格闘術、龍墜とし!!」
レブルはリーブラに向かって、アッパーカットを放つ。リーブラは手の平でガードする。すぐさまにレブルは膝で攻撃する。リーブラは身体を反らせて回避する。
「何故、輝達を生かす必要がある!!? 奴はお前達にとっても驚異じゃないのか?」
「君の潜在能力を引き出す為だよ。彼は本当に見ていて面白かったよ。何故、彼が君を殺したのかしりたいか?」
リーブラはレブルの攻撃を回避しながら続ける。
「彼は堀江 愛ちゃんに惚れていたんだよ。ついでに言うと西田 昌吾もね。それと同時に龍司君も嫌っていた。愛ちゃんは龍司君ばかり見て、自分に振り向いてくれない。自分は愛ちゃんの為に精一杯頑張っているのに、振り向いてくれないんだ! そんな感じに。そして、彼は龍司君を憎んだ。龍司さえいなくなれば愛ちゃんは自分に振り向いてくれる。そう考えていたらしいね。そして、密かに愛ちゃんに惚れていた昌吾君にどうせ愛ちゃんと付き合える様にするとか言って協力させた。どうせ、後から排除するつもりだったろうに。全く酷い男だな。そして、あの迷宮で人形を見つけた。まあ、あれは僕の悪魔だけど。あの時、僕は輝君の精神に介入して、皆が集まった時に魔法陣を起動させた。
そして、龍司君が殿になったそうだね。輝君はそれをチャンスだと思った。皆の為に頑張る龍司君を後ろから攻撃して殺した。あの時、ラグラスや他のクラスメイトは反対していたらしいけど、自分のカリスマと昌吾君達を利用して魔法による一斉攻撃を放った様だね。そして龍司君を殺した。これを聞いて愛ちゃん。君はどう思うんだ?」
リーブラはそう言う。自分が殺された理由がただの嫉妬だと思うと余計に腹が立つ。愛は戸惑って話が出来る状態ではない。予想外が多過ぎて話せる状態ではない。愛のかわりなのか美香が言う。
「それが本当だとしたら、私は輝を軽蔑するわ。ただの嫉妬の為に命をかけた男を殺すなんて酷いどころの騒ぎじゃないから。それで輝は本当に明確な意思があって龍司君を殺したの?」
「そ、そんな訳じゃないか!! 何で僕が龍司君を殺すんだ!!? そんな事があっ「いい加減しやがれ!!」
輝の言葉を遮ったのは昌吾だった。昌吾は輝の胸倉を掴む。そして、
「俺を後から排除するだと? ふざけるな!! 最初から俺達を道具としか見ていなかったな!!」
昌吾の表情。あれを見れば馬鹿でも分かるだろう。リーブラの言った事は真実だ。リーブラが話を続ける。
「だけど輝君の思い通りにはいかなかった。龍司君は死んだ。だが、龍司君自身も生と死の狭間を彷徨い続けた。そして、その狭間でロベルトから魔人の身体を貰い、潜在能力を引き出した。そして、ディバイン樹海でレブルと名乗り、多くの偶然と出会い、獣人の村を導くと約束したが復讐に生きるためにその村を切り捨てた。流石だよ、復讐の為にそこまでするなんて。
そして、君は今復讐の為にここに立っている。君は復讐が終わったらどうするつもりだい? 君には帰る場所なんてない。正に孤独。1人でこの世界を歩み続けるつもりか? 目的も無く、ただ負の連鎖の中にいるだけか? なら僕達の所に来い。そして、共に暴君としてゼウスを滅ぼそうじゃないか」
リーブラの言葉を聞いてレブルの攻撃が止む。そして、少ししたらレブルは笑う。
「ハハハハハハ!!! 孤独か……。そうだな。今の俺にはピッタリだ。だがな暴君? 俺はそんな次元を超えているんだよ。見せてやる。俺の新たな次元を!!」
レブルの両手の甲に魔法陣が浮かび上がる。両方とも違う魔法陣だ。左手の魔法陣が紫に光る。
レブルの周りに大量の蝿。その蝿は足に小さな髑髏を持っていた。そして、蝿はレブルを囲む。レブルは左手を上げて言う。
「全てを喰らい、今ここに降臨せよ。現れよ我が魂の化身ベルゼ・ビュート!!」
全長2mの巨大な人型の蝿。左手には髑髏を持っている。
そして、右手は青に光り出す。
「闇に葬られし、我が前の魂。今ここに世界を創造する化身となりて降臨せよ。刻まれし数字はXXI!! 世界!!」
さらに現れる全身青の鎧を纏った2m台の巨人。
「いいか。俺には復讐という目的以外、何もない。復讐さえ成せれれば俺は足を進める事が出来る。孤独の絶望の中で俺は復讐の為に生きている。復讐の先にあるのがただの負の連鎖だとしても俺は受け入れる必要がある。俺は死んだ筈の人間だ。目的を成して消えても文句は言えない。だからこそ、俺は目的を果たす必要がある。俺は輝を殺す。それが今の俺の生きる理由だから」
レブルはそう言って、輝の方へと歩く。途中で愛がレブルの道を塞ぐ。
「そこをどけ」
「いや!! 考え直してよ龍司君!! 皆おかしいよ! 何で私の為に人が死んだりしているの? 始めは嫉妬、そして復讐。何で? 何で分かり合おうとしなかったの!? 誰かが1人、歩み寄る事が出来れば皆こんな思いをしなくて済んだのに……!! 何で? 何で私達はクラスメイトで殺しあう必要があるの? 教えてよ!!」
愛は必死にそうやって叫ぶ。レブルは愛に近寄り、愛の頭を撫でる。そして
「そうなったら良かったな。誰か1人が歩み寄って分かり合える事が出来たら。だけど今の状況は現実なんだ。分かり合えず、自分勝手な目的のせいで死人が出て、その死人が復讐の為に歩いている。ここからどう転んでも皆が笑顔になれるハッピーエンドは無いんだ。ここまで来たら全てを受け入れるしかない。過去は変えれないから。……俺が輝を殺せばレブルに残る人の心は完全に消え去るであろう。そして、たった1人でゼウスと戦いに行くであろう。その時にお前達は俺に人間の心を植え付けに来てくれ。そして、俺が再び細川 龍司と名乗れる様にしてくれ。今からやる事は全て、レブルのやる事だ。龍司を恨まないでくれ」
レブルはそう言うと輝の方に向かう。不思議とリーブラは止めに入らなかった。そう、リーブラはさっきのベルゼ・ビュートと世界を見て、レブルの中にある潜在能力の殆どは開花したと見たのだ。なら、輝が生きる意味は無い。
輝が何かを叫んでいる様だったがレブルには何一つ聞こえていなかった。レブルは腰が抜けて立つ事の出来ない輝の元にザ・ワールドを行かせる。
「ザ・ワールドは細川龍司の魂だ。この鎧の中には龍司の魂が閉じ込められている。貴様を殺せば龍司の全ての魂はこの鎧に閉じ込められ、俺は完全なレブルと成り果てるであろう。いつか、この鎧を破壊してレブルを殺す者が現れるのを祈る。さようなら。坂井 輝」
ザ・ワールドは輝の左肩と首の間に手刀を突き刺す。手刀は貫通し胸を通り過ぎた所でザ・ワールドは手刀を引き抜く。輝は死んだ。
輝が死んだ時だった。レブルは心臓を抑え、膝をつく。苦しそうな顔をしている。それを見てリーブラは
(遂に始まった。人間の心が完全に閉じ込められ、完全な神の反逆者となる時が……。仲間には入らなさそうだが、ゼウスを殺すなら結果はオーライになるな)
レブルは立ち上がる。それはとてもゆっくりだった。次の瞬間、レブルの周りにドス黒いオーラが現れる。
「………我が名は反逆者レブル。神へ反逆する者だ!!」




