※バスに搭乗します。
第33話です。
※物語を更新します。
「.......ゲホ、ゲホ。くさい。」
排気ガスの匂いが康太の鼻を掠めて行く。
「えっと、うちのクラスってどこだっけ?」
縦に連なっているバスに目を向ける康太。
「......あ。」
息を呑んだ。
「......やが」
「康太。」
「ひっ!」
康太の耳にかかる熱い息に、康太の肩がビクッと震える。
「ふふふ。鳥羽くんやっぱりおもしろ~い。」
康太は息がかかった方を向いた。
「あ、阿川さん。」
「さっきぶりだねー。鳥羽くん。」
「う、うん。....って!そうじゃなくて!」
「ん?どうかした?」
康太はじっとこちらを見つめてくる来夢の目から視線を外せない。
「えっと、普通に声をかけてよ。」
「えぇー。普通に声をかけたよ。」
「耳に息かけてきたよね!?」
チラッと視線を外して、すぐ戻す来夢。
「鳥羽くんの耳が弱いだけじゃない?」
「......そんな事無いもん。」
目線が下を向く。
「あー、図星だ。」
「ち、違う!」
すぐに阿川に戻る。
「そういう事にしておいてあげるねー。」
「....本当だもん。」
「来夢ー?」
阿川さんを呼ぶ声に、康太と来夢の視線が向く。
「あ、祐布子ちゃん、遅い―。」
「ごめんごめん、部活の子達と話しててさ....誰?」
康太をじっと見る。
「あ、えっと......」
「この子は鳥羽康太くん。面白い子なんだ。」
「あ、いや....」
「へぇー、面白いんだ。」
「そ、そんな事は.....」
2人分の視線に、言葉が続かない。
「….否定しないんだ。」
「まぁ、鳥羽くん本当に面白いから仕方ないよ。」
「ち、ちが......」
「ちが?」
来夢は顔を片手で隠す。
「......」
来夢の口角がピクピクと震えている。
「いや、その、」
「何?」
「僕は面白くないです。」
「へぇー?」
康太は目線を下に下ろす。
「僕、人と会話するの苦手だし、物静かだし、面白いことなんて何も出来ないですもん。」
「......普通に私が面白いと思う事を初日で君がやったら、私は君が怖いよ。」
「た、たしかに」
「っぷ!」
堪えていた物がつい出てしまった阿川を、ちらっと視線の端で捉える祐布子。
「.......鳥羽くんって、内弁慶?」
「えっと、うちべんけい?」
「あー、家族とかには結構喋ったりするタイプ?」
「いや......そんな事ないよ?」
「......自覚無しだな。」
空気と混ざって消え入りそうな声。
「え?」
「いや、鳥羽くんはやっぱり面白いって話だよ。」
「え!?そんな、僕なんか全然。」
「いや、うん。面白いよ。鳥羽くん。」
「そ、そんな。」
「ふふふ.....」
来夢が祐布子の手をギュッと握る。
「鳥羽くんは面白いよ―。」
「あ、阿川さんまで.....」
「そもそも、来夢が言い始めた事でしょう?」
「あ、確かに。」
「ふふふ、鳥羽くんの面白さが祐布子ちゃんにも知ってもらえてよかったー。」
チラッと祐布子が阿川を見る。
「ありがとう、来夢。」
「うーん?何が?」
「......全部。」
「...いいよ~。」
―――笑っている。
祐布子は再び康太をじっと見て、康太の目と合う。
「自己紹介まだだったわね。山本祐布子。」
「あ、鳥羽康太です。」
「知ってる。」
「あ、え?」
「さっき私が紹介してたよー。」
康太は口を半開きにして、固まってしまう。
「...確かに。」
「忘れたの?.....ふふふ。やっぱり面白いはね。」
来夢の肩がピクッと震える。
「鳥羽くん、連絡先を聞いても良いかしら?」
「え。あ、はい。」
「あ!鳥羽くん私も教えて!」
「い、良いですよ....」
祐布子は横に立っている阿川を見る。
「.....鳥羽くんと仲良いんだよね?」
「うん。仲良いよ―。」
「連絡先知らなかったの?」
「スマホ、持ってなかったからねー。」
「......来夢も、ね。」
祐布子少し口角が上がった口から出た言葉は、バスのエンジン音にかき消された。
―――――
※バスの中に入ります。
読んでいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに。
※物語が生成されました。




