女亭主
慣れているのだろうか。ニールは顔パスで城壁を通過し、街の中へ入っていった。
話に聞いていた通り、いかにも中世西欧といった街並みで、たくさんの人が行き交っている。
そして、馬車は一軒の宿屋の前で止まった。
「私は、荷下ろしをしたらすぐ次の街まで行かねばならないのでここでおさらばです。もう日も暮れかけていますし、今日はこのままこの宿屋でお休みになることをお勧めしますよ。」
「本当にありがとうございました。また会えることがあれば、その時はご飯でも食べに行きましょう。」
「そうですね、そうできたら幸いです。それでは、ご武運をお祈り申し上げます!」
そう言ってニールは俺を下ろし、馬車を走らせた。
遠くなっていくニールの背中を見ていると、疲れているのだろうか、体が急に重くなった。
「今日はもう休もう。」
そう決めて、俺は宿屋の中に入った。
「宿屋リアンにようこそいらっしゃいませ!お客さん1人かい?」
話しかけてきたのは一人の女性、こちらもとてもふくよかだ。
豪快な女店主というイメージがよく似合う。
「はい。今この街に来たばかりで、何も当てがなくて…とりあえず5日間泊まらせてください。」
「はいよ。うちは素泊まりでご飯は出さないから、近くの酒屋にでも行っておくれ。」
「わかりました。いくらになりますか?」
「5日間で、銀貨10枚さ。」
「では、これで。」
俺は金貨を取り出し、銀貨90枚をお釣りに受け取った。
「部屋は2階の203号室が開いてるから使っておくれ。」
「ありがとうございます。」
とりあえず今日は眠ろう。
その足で俺は階段を上がって部屋に入り、泥のように眠った。
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朝起きると体のあちこちが痛い。
どうやらずいぶんと眠っていたようだ。
さすがにおなかもすいたので、何か買ってこようと階段を下りた。
「よく眠れたかい?」
「はい、おかげさまでよく眠れました。」
「私はジュリアだ。よろしく。」
「俺はケンといいます。よろしくお願いします。」
「そういえば、昨日何も当てがないって言ってたよね?」
「そうなんです。とりあえずのお金はあるのですが、どうしたらいいかわからない状態で。」
「君は今いくつだい?」
「え、17歳ですけど。それがどうかしましたか?」
「17歳ってことは、『ギフト』はもう受け取ったのか。」
ギフト?聞いたことがないな。ニールさんの話にはなかったが…
「すいません。ギフトって何ですか?」
「ギフトを知らないとは!君は変な子だね。もしかして、転移者かい?」
一瞬心臓が凍る。
「そ、そんなわけないですよ。」
「冗談だよ、真に受けないでくれ。ギフトっていうのは17歳になると神殿でもらえる道具のことさ。」
「神殿で道具がもらえるんですか?」
「正しく言うと、神殿内で神様からいただくのさ。まだ受け取っていないなら早くしたほうがいい。とりあえず神殿に向かいな。でて右にずっと行った突き当りにあるよ。」
「わ、わかりました。とりあえず行ってみます。」
正直ジュリアさんの言っていることはよくわからなかったが、俺は神殿に向かうことにした。
と、その前に腹ごしらえをしなくては。
俺は近くのパン屋で簡単に朝食を済ませ、今度こそ神殿へと向かった。
現在の所持金:銀貨89枚・銅貨80枚




