二
次の日、顔に当たったすきま風で目を覚ました。
「あれ、もう朝…?」
昨日は少し言いすぎただろうか、おばあちゃんだって僕の身を案じてくれていただけだっただろう。でもいずちゃんをまるで化け物みたいにいうのはどうしても許せなかった。
「全然眠くないな…少し散歩してこよ」
日も明けきっていないような時間だったが、農作業に行くのであろう人達はポツポツと歩いていた。
何気なくそこら辺を歩いていると、柄の悪そうな二人組が遠くから歩いてきた。
「おい兄貴!変なガキがいるぜ!」
だいたい2メートル位の距離まで来たとき、二人は目の前で足を止めた。
「てめえ見ない顔だな?迷子か?」
「え、あっ僕は…」
高校生くらいだろうか、不良のような見た目と目付きで萎縮してしまい、まともに話ができない。
「ほっとけよ、早く行かねえと時間無くなるぞ」
頭を丸くして木の棒を持った兄貴らしい不良が、弟分らしい軽いリーゼントの不良に声をかけた。
「だな兄貴!じゃあなガキ!」
こんな所でもあんな不良っているんだなぁ、と遠巻きに見ていると、2人の不良は山の中へと入っていった。
山の中?村の人は皆山には入らないんじゃなかったのか?
そのとき2人が持っていた木の棒の事を思いだし、嫌な予感が頭を巡った。
僕はいてもたってもいられなくなり、気づかれないよう注意しながら、跡をつけていった。
不良二人は下世話な話をしながらずんずんと森の奥へと進んでいる、昨日ぼくが入ったところとは違う場所で、整備こそされていないが踏み均されたように道ができていた。
10分ほど歩いた頃だ、鬱蒼とした森のにはおよそ似合わない空間に出た、広場と呼んでも良さそうな空間と、その中心にぽつんと建った小屋がある空間だ、不良はそこで立ち止まりその小屋の扉をどんどんと叩き始めた。
「おいー!忌徒よー!今日の飯を持ってきたぞー!」
やはりあの二人はいずちゃんに用があったんだ。
きー、と静かに小屋の扉が開き、昨日あった少女と同じ子とは思えないほどに暗い顔をした少女が顔を出した。
「お、おはようございます…」
「よう忌徒、今日の分の飯と、俺たち今から学校にいかなくちゃならんのさ、こんな森の中でカビ同然に生きてるお前と違ってな、だから抵抗されんのもめんどくせえから早く出てこいや」
「は、はい…」
いずちゃんが重い足取りで小屋からでた、その瞬間、不良達が持っていきの棒を勢いよく振りかざした。
どうしてそうなったかは覚えていない、だが今の状況はこうだ、森の奥からこだまするやめろという自分の声、振りかざしたまま呆気に取られる不良達、泣き出すいずちゃん。
「おまえは、村にいたガキか?」
「そ、そうだ!その子になにするつもりだ!?」
ほぼやけくそで声を張り上げていた、本当は自分より5つは年上であろう、まして二人組に喧嘩を売るなんて怖くて仕方なかったが、もう逃げられそうにない。
不良達はゲラゲラと笑っていた。
「どうするもこうするも!見ての通りだろうがタボ!俺たちゃ行きたくもねえ補修ってんでストレス溜まってんだよこのくらいしねえと発散できねえっての!!」
弟分の不良が再び木の棒を振りかざした。どうしようとか考える暇もなく、僕はいずちゃんの前に立っていた。
「きゃあ!…え?」
「なっ!?こいつ馬鹿なのか!?忌徒をかばう奴があるかよ!?」
「お、おい兄貴こいつ倒れてんだけど!?生きてんのか!?」
「あきつねくん!?あきつねくん!」
「と、とにかく逃げろ!」
「まって!私は触れない…待ってよ!!」
「知るかそんなガキー!」
ああ、僕はどうなるんだろう。現実味がなく他人事のようにかんじられたは、意識が遠のいて倒れたからだろうか。




