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『シークレットガールズ 新世代へ――母から娘へ、受け継がれる五人の秘密』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『シークレットガールズ Season 3――母から娘へ、受け継がれる五人の秘密』
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8/19

第5話「恋人には言えない――結菜と美空のシークレット」


二代目シークレットガールズとしてデビューしたことで、五人の日常は少しずつ変わり始めました。


中でも今回、その「秘密」の重さと向き合うことになったのが――。


YUNA◇こと山本結菜。


そして、MIKU♪こと森川美空。


結菜には水瀬颯真。


美空には神谷悠斗。


二人には、それぞれ大切な恋人がいます。


本当なら真っ先に伝えたい相手なのに、自分が二代目シークレットガールズだということだけは絶対に話せない。


放課後に会えない日が増えても、本当の理由を説明することさえできません。


「秘密を持つことは、大切な人を信じていないことなのか?」


そんな悩みを抱える二人に、コーチの崇道康熙が伝えた言葉。


そして二十五年前、同じようにシークレットガールズとして秘密を抱えていた母親たちだからこそ伝えられる言葉。


初代から二代目へ。


今回はステージではなく、「大切な人に言えない秘密」と向き合う二人の物語です。



二代目シークレットガールズとして、ついにデビューを果たした五人。


SHI☆。


MIKU♪。


YUNA◇。


MII♡。


LiZ☆。


初めてのステージを成功させた喜びは大きかった。


しかし、デビューしたということは――これまで以上に守らなければならない秘密が増えたということでもある。


特に、その重さを感じ始めていたのが二人。


YUNA◇――山本結菜。


そして、


MIKU♪――森川美空。


二人には、それぞれ大切な恋人がいた。


結菜には、水瀬颯真。


美空には、神谷悠斗。


誰よりも本当のことを話したい相手。


だからこそ――。


話せないことが、苦しかった。


◇◇◇


月曜日の朝。


「結菜、朝ご飯できてるよ」


「今行く!」


山本家。


制服姿の結菜がリビングへ入ってきた。


母・麻子が朝食を並べている。


「おはよう」


「おはよう」


結菜は椅子に座ったが、どこか元気がない。


麻子はすぐに気づいた。


「どうしたの?」


「え?」


「なんか考えてるでしょ」


「……分かる?」


「母親だからね」


結菜は少し黙る。


「お母さん」


「なに?」


「秘密って……どこまで秘密にしなきゃいけないと思う?」


麻子の手が止まった。


「秘密?」


「例えばだけど」


「うん」


「すごく大切な人がいて、その人には本当のことを話したい。でも絶対に言っちゃ駄目って言われてる場合」


麻子は娘の顔を見る。


すぐに分かった。


颯真のことだ。


二十五年前。


自分たちも同じように悩んだ。


普通の中学生である自分。


そしてYAHとして活動する自分。


大切な人にこそ本当の自分を知ってほしい。


けれど、話すことはできない。


「……難しいね」


麻子が答えた。


「やっぱり?」


「でも、その秘密が自分だけのものじゃなかったら、勝手に話しちゃいけないと思う」


「自分だけのものじゃない?」


「例えば、五人全員に関係してる秘密とか」


結菜が顔を上げた。


「……五人?」


「あ」


麻子が固まる。


また言ってしまった。


「なんで五人?」


「た、例えば!」


「お母さん最近、五人ってよく言うね」


「偶然よ!」


「ふーん……」


結菜は少し怪しそうに母を見る。


麻子は慌てて話を戻した。


「とにかく、本当に大切な相手なら、いつか話せる時が来るまで待ってくれるんじゃない?」


結菜は少し考えた。


「……そうかな」


「そうだと思うよ」


結菜は小さく頷いた。


「ありがとう」


「うん」


学校へ向かう娘を見送った後。


麻子は静かに息を吐いた。


「結菜……」


かつてYAHだった自分。


そして今、YUNA◇として秘密を抱える娘。


まるで二十五年前の青春を、もう一度見ているようだった。


◇◇◇


森川家。


「美空ー! 遅刻するよ!」


「分かってるー!」


二階から美空が走ってくる。


「走らない!」


「時間ない!」


「だったら早く起きなさい!」


母・未紀が呆れる。


美空はパンを口に入れながらスマートフォンを見る。


悠斗からメッセージが来ていた。


『今日、一緒に帰れる?』


美空の動きが止まる。


「……あ」


今日もレッスン。


しかもデビュー後なので、ダンスだけではない。


歌。


取材。


写真撮影。


今後の活動についての打ち合わせ。


「どうしたの?」


未紀が尋ねる。


「なんでもない」


美空は返信する。


『ごめん。今日も予定ある』


少しして返事。


『了解! 頑張って』


美空は画面を見つめた。


「……頑張って、か」


「美空?」


「お母さん」


「なに?」


「彼氏に秘密ってあり?」


「ぶっ!」


未紀が飲んでいたコーヒーでむせた。


「大丈夫!?」


「だ、大丈夫!」


「そんな驚く?」


「急に彼氏の話するから!」


「いるの知ってるでしょ」


「知ってるけど」


未紀は美空の向かいに座る。


「悠斗くんに何か隠してるの?」


「……まあ」


「言えないこと?」


「うん」


「悪いこと?」


「違う!」


「じゃあ、いつか言えること?」


美空は考える。


「……たぶん」


未紀が微笑む。


「だったら、その時までちゃんと大切にしなさい」


「秘密を?」


「悠斗くんを」


美空が母を見る。


「会えない日が増えても、ちゃんと話す。言える範囲でいいから」


「うん」


「何も言わずに離れるのが一番駄目」


「……お母さん、恋愛詳しいね」


「え?」


「あと、こういう秘密の話も妙に慣れてない?」


未紀の表情が固まった。


「気のせい!」


「怪しい」


「ほら、学校!」


「あっ、やばい!」


美空は慌てて家を飛び出した。


未紀は玄関を見ながら苦笑した。


「危ないなあ……」


◇◇◇


学校。


「結菜!」


水瀬颯真が廊下から手を振った。


「おはよう」


「おはよう」


二人は自然に並んで教室へ入る。


「昨日のシークレットガールズ見た?」


その言葉に結菜の足が止まった。


「え?」


「最近すごい人気じゃん」


「そ、そうなんだ」


「知らない?」


「ちょっとだけ」


颯真がスマートフォンを取り出す。


「俺、このYUNA◇って子が気になる」


「えっ!?」


結菜が思わず大声を出した。


「どうした?」


「な、なんで!?」


「なんでって?」


「どうしてYUNA◇なの!?」


「なんとなく雰囲気いいなって」


結菜の顔が少し赤くなる。


自分の彼氏が、自分とは知らずにYUNA◇を気に入っている。


嬉しいような。


恥ずかしいような。


「……可愛いと思う?」


「え?」


「YUNA◇」


「まあ」


結菜がじっと颯真を見る。


「ふーん」


「なんだよ」


「別に」


「もしかして嫉妬?」


「してない!」


「してるじゃん」


「してません!」


颯真が笑う。


結菜もつられて笑った。


だが心の中では――。


――そのYUNA◇、私なんだけど。


言いたい。


ものすごく言いたい。


でも言えない。


◇◇◇


教室の反対側。


「美空」


「なに?」


悠斗がスマートフォンを見せる。


「MIKU♪って知ってる?」


美空の顔が固まった。


「……なんで?」


「シークレットガールズ」


「し、知ってるけど」


「この子、なんかお前に似てる」


「ええっ!?」


クラスメイトたちが振り返る。


「声でかい」


「だって!」


美空は画面を見る。


そこにはステージ上のMIKU♪――自分。


「どこが似てるの!?」


「笑い方」


「マスクとかしてるじゃん!」


「雰囲気」


「全然違う!」


「そうか?」


「違います!」


悠斗は笑う。


「そんな必死にならなくても」


「必死じゃない!」


少し離れた席で、結菜が額を押さえていた。


莉央奈も小声で言う。


「美空、分かりやすすぎ……」


栞が頷く。


「いつかバレそう」


美羽も苦笑する。


「気をつけないと」


すると莉央奈の隣に琴音が来た。


「何の話?」


「何でもない!」


四人の声が揃った。


琴音が目を丸くする。


「……やっぱり五人、最近怪しいよね」


「怪しくない!」


「今の方が怪しいよ」


そこへ陽向までやってくる。


「俺もそう思う」


「陽向まで来なくていい!」


「なんだよ」


いつもの教室。


普通の中学生。


けれど五人だけは、その日常の中に大きな秘密を抱えていた。


◇◇◇


昼休み。


五人は人の少ない場所に集まっていた。


「危なかった……」


MIKU♪――学校では美空が机に突っ伏す。


「悠斗に似てるって言われた」


結菜もため息をつく。


「私なんて颯真がYUNA◇気になるって」


「えー!」


美空が顔を上げる。


「彼氏が彼女のファン!?」


「本人って知らないけどね」


莉央奈が笑う。


「面白いじゃん」


「面白くない!」


「でも嬉しいでしょ?」


美羽が尋ねる。


結菜は少しだけ顔を赤くする。


「……ちょっと」


「ほら!」


五人が笑う。


栞が言う。


「でも本当に気をつけないと」


笑いが止まる。


「学校でも二代目の話題が増えてる」


「うん」


莉央奈が頷く。


「私も琴音にLiZ☆と似てるって言われたし」


美羽が心配そうに言う。


「デビューしたら、前より隠すの難しくなったね」


「そうだね」


結菜が呟く。


その時。


「お前たち」


五人が振り返る。


「うわっ!」


崇道康熙が立っていた。


「せ、先生!」


「声が大きい」


五人が黙る。


学校では崇道先生。


康熙は周囲を確認してから小声で言った。


「今日の放課後、予定通りだ」


五人が頷く。


「分かりました」


康熙はそれだけ言って立ち去る。


莉央奈が小声で呟いた。


「学校の先生の時とコーチの時、別人みたい」


「本当」


美空が頷く。


その時、廊下の向こうから美和がやってくる。


「崇道先生」


康熙が振り向く。


「宍戸先生」


「校長先生がお呼びです」


「分かりました」


二人はそれだけ話し、別々に歩いていった。


莉央奈が二人を見る。


「先生たちにも秘密とかあったりして」


美空が笑う。


「まさか」


この時、五人はまだ知らない。


その二人が本当に婚約者同士であることを。


◇◇◇


放課後。


芸能事務所。


学校を出た瞬間、五人は名前を切り替える。


SHI☆。


MIKU♪。


YUNA◇。


MII♡。


LiZ☆。


「今日は歌のレッスンから始める」


康熙が告げる。


「はい!」


「その後、雑誌用の写真撮影」


「撮影!?」


MIKU♪の目が輝く。


「浮かれるな」


「だって初めて!」


「だからこそだ」


「康熙コーチ、厳しい!」


「いつものこと」


LiZ☆が笑う。


レッスンが始まる。


発声。


歌。


ダンス。


そして写真撮影。


五人は少しずつアイドルとしての仕事に慣れていく。


だが休憩時間。


YUNA◇はスマートフォンを見ていた。


颯真からメッセージ。


『今日も遅い?』


『うん。ごめん』


『大丈夫。帰ったら連絡して』


YUNA◇は画面を見つめる。


隣ではMIKU♪も同じだった。


『今日、電話できる?』


悠斗から。


『遅くなるかも』


『じゃあ待ってる』


美空の表情が曇る。


「……ねえ、結菜」


「ここではYUNA◇」


「そうだった。YUNA◇」


「なに?」


「これ、いつまで隠すのかな」


YUNA◇は答えられなかった。


「私も分からない」


「悠斗に嘘ついてるみたいで嫌なんだ」


「私も」


二人は黙った。


すると――。


「嘘と秘密は同じじゃない」


康熙の声。


二人が振り返る。


「康熙コーチ……」


康熙が近づく。


「辛いか?」


二人は少し迷ってから頷いた。


YUNA◇が言う。


「颯真には話したいです」


MIKU♪も。


「私も悠斗には……」


「だが、今話せばどうなる?」


二人は黙る。


「君たち二人だけの秘密じゃない」


康熙はレッスン室にいる三人を見る。


SHI☆。


MII♡。


LiZ☆。


「五人全員の正体に関わる」


YUNA◇が俯く。


「分かってます」


「秘密を守ることは、大切な人を信用していないという意味ではない」


MIKU♪が顔を上げる。


「じゃあ、どうしたらいいんですか?」


「話せないことがあるなら、話せることを大切にしろ」


「話せること?」


「今日は会えない。忙しい。頑張っていることがある。それは言えるだろ?」


「はい」


「そして相手の話も聞け」


康熙は二人を見る。


「秘密を理由に、大切な相手から自分で離れるな」


二人はしばらく黙っていた。


やがてYUNA◇が頷く。


「はい」


MIKU♪も。


「分かりました」


◇◇◇


レッスン終了後。


結菜は颯真へ連絡した。


『今終わった』


すぐ返信。


『駅にいる』


「え?」


結菜が驚く。


事務所から少し離れた駅。


もちろん、颯真は芸能事務所の場所を知らない。


結菜は本名の自分へ戻り、衣装や仕事に関係する物をすべて事務所へ置いてから駅へ向かった。


「颯真!」


「お疲れ」


「どうして?」


「少しでも会えるかなと思って」


「待ってたの?」


「そんなに長くないよ」


結菜は申し訳なくなる。


「ごめんね」


「何が?」


「最近ずっと会えなくて」


颯真は首を横に振る。


「何か頑張ってるんだろ?」


結菜が驚く。


「……どうして分かるの?」


「結菜、疲れてるけど前より楽しそうだから」


結菜は何も言えなかった。


「だから無理に聞かない」


「颯真……」


「ただ、一つだけ約束」


「なに?」


「困った時は言って」


結菜は頷いた。


「うん」


本当のことは言えない。


それでも。


「ありがとう」


その言葉だけは本当だった。


◇◇◇


同じ頃。


美空は帰宅していた。


スマートフォンが鳴る。


悠斗から電話。


「もしもし」


『お疲れ』


「待ってたの?」


『約束したから』


美空はベッドに座る。


「ごめんね」


『だから謝るなって』


「でも最近全然会えてない」


『じゃあ今度会えばいい』


「怒ってない?」


『ちょっと寂しい』


美空の胸が痛む。


「……私も」


少し沈黙。


『美空』


「なに?」


『何やってるかは聞かない』


「え?」


『言えるようになったら教えて』


美空の目が大きくなる。


「どうして……」


『なんか事情あるんだろ?』


美空は涙が出そうになった。


「……うん」


『じゃあ待ってる』


「悠斗」


『ん?』


「ありがとう」


電話の向こうで悠斗が笑った。


『その代わり、次のデートは長めな』


「うん!」


美空も笑った。


◇◇◇


その夜。


山本家。


結菜が帰宅すると、麻子がリビングにいた。


「おかえり」


「ただいま」


麻子は娘の顔を見る。


「朝よりいい顔してる」


「そう?」


「うん」


結菜は少し笑う。


「颯真に会ってきた」


「そっか」


「秘密は話してないよ」


麻子は頷く。


「でも……待ってくれるって」


「いい彼氏だね」


「うん」


結菜は母親を見る。


「お母さん」


「なに?」


「いつか全部話せる日、来るかな」


麻子は少しだけ遠い目をした。


「来るよ」


「本当?」


「あ……」


また言い切ってしまった。


結菜が首を傾げる。


「なんで分かるの?」


「人生経験!」


「またそれ?」


「母親は色々知ってるの」


麻子は笑った。


だが心の中では――。


いつか。


娘が自分の正体を知る日が来る。


自分がYAHだったこと。


娘が受け継いだシークレットガールズという名前を、自分も二十五年前に背負っていたこと。


その時。


今日の結菜の悩みも、きっと笑って話せる。


◇◇◇


森川家でも。


「ただいま」


「おかえり、美空」


未紀が迎える。


「悠斗くんとは?」


「電話した」


「どうだった?」


「待っててくれるって」


「よかったね」


「うん」


美空は笑う。


そして母親の隣へ座った。


「お母さん」


「なに?」


「秘密って、全部悪いものじゃないんだね」


未紀は娘を見る。


「そうだね」


「誰かを傷つけるための秘密じゃなくて、大切なものを守るための秘密もあるんだ」


その言葉に未紀は静かに微笑んだ。


「……そうかもしれないね」


二十五年前。


MORMとして守った秘密。


そして現在。


娘・美空がMIKU♪として守る秘密。


母娘はまだ、その事実で繋がっていない。


◇◇◇


翌朝。


教室。


「結菜、おはよう」


「おはよう、颯真」


昨日までより自然に笑える。


「美空!」


「悠斗、おはよう!」


美空もいつもの笑顔。


その様子を莉央奈、美羽、栞が見ていた。


「よかったみたいだね」


美羽が言う。


「うん」


栞が微笑む。


莉央奈は腕を組む。


「でも私たちも他人事じゃないよね」


「え?」


「これから仕事増えたら、みんなにもっと怪しまれる」


三人が黙る。


その時。


「莉央奈!」


琴音がやってくる。


「今日こそ一緒に帰れる?」


「……」


莉央奈の顔が固まった。


「ごめん」


「また!?」


陽向も来る。


「お前、マジで何やってんだよ」


「だから言えないの!」


莉央奈が思わず口にした。


「……言えない?」


陽向の表情が変わった。


「あ」


しまった。


琴音も莉央奈を見る。


「やっぱり、何か秘密があるんだ」


「それは……」


莉央奈は言葉を失った。


結菜と美空も振り返る。


五人の間に緊張が走る。


しかし莉央奈はすぐに笑った。


「いつか話せるようになったら話す」


陽向は何も言わない。


琴音も少し寂しそうだった。


それでも――。


「分かった」


琴音が答えた。


「待ってる」


陽向もため息をつく。


「絶対だからな」


「うん」


莉央奈は頷いた。


二代目シークレットガールズの秘密。


恋人にも。


幼馴染にも。


クラスメイトにも。


まだ話すことはできない。


でも――。


秘密があるから、大切な人との絆が消えるわけではない。


YUNA◇とMIKU♪は、そのことを少しだけ知った。


◇◇◇


その日の放課後。


レッスン室。


五人が鏡の前に並ぶ。


康熙が音楽を準備する。


「今日も始めるぞ」


「はい!」


「学校のことは学校に置いてきたな?」


「はい!」


「ここでは?」


五人の表情が変わる。


高野栞ではない。


森川美空ではない。


山本結菜ではない。


荒木美羽ではない。


柴崎莉央奈ではない。


「SHI☆!」


「MIKU♪!」


「YUNA◇!」


「MII♡!」


「LiZ☆!」


五人が順番に名乗る。


そして声を合わせた。


「私たち、シークレットガールズ!」


康熙が頷く。


「よし。始めるぞ」


音楽が流れた。


五人が踊り始める。


学校では普通の少女。


放課後は秘密のアイドル。


そして大切な恋人や幼馴染にも言えない、もう一つの顔。


二十五年前。


母親たちが守ったシークレット。


二十五年後。


今度は娘たちが、その重さを少しずつ知り始めていた。


それでも五人は進んでいく。


いつか――。


本当の自分たちを、大切な人たちへ話せる日が来ることを信じながら。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。


第5話では、YUNA◇こと山本結菜と、MIKU♪こと森川美空、それぞれの恋人との関係を中心に描きました。


結菜の恋人・水瀬颯真。


美空の恋人・神谷悠斗。


二人とも、彼女たちが最近忙しくなったことには気づいています。


しかし、その理由が「二代目シークレットガールズとして活動しているから」だとは知りません。


しかも颯真が、自分の恋人だとは知らずにYUNA◇を「気になる」と言ったり、悠斗がMIKU♪を見て「美空に似ている」と感じたり――。


正体に近づきそうで近づかない、二人の反応も描かれました。


結菜と美空にとっては、思わず、


「私がYUNA◇なの!」


「私がMIKU♪なの!」


と言ってしまいたくなる状況です。


それでも、二人は秘密を守りました。


なぜならこれは、自分一人だけの秘密ではないから。


SHI☆、MIKU♪、YUNA◇、MII♡、LiZ☆。


五人全員の学校生活や家族、そして二代目シークレットガールズそのものに関わる大切な秘密です。


そして康熙が二人に伝えた、


「秘密を理由に、大切な相手から自分で離れるな」


という言葉。


すべてを話せなくても、相手を大切にすることはできる。


颯真も悠斗も無理に事情を聞こうとはせず、「話せる時まで待つ」という選択をしてくれました。


一方、莉央奈にも変化が。


何度も放課後の誘いを断る莉央奈に対して、幼馴染の陽向と琴音は、ついに「何か秘密がある」と確信し始めました。


莉央奈も思わず、


「だから言えないの!」


と口にしてしまいます。


正体そのものは守れたものの、二代目シークレットガールズの秘密へ近づく人物が少しずつ増え始めています。


そして次回、第6話。


「崇道先生のもう一つの顔――学校とアイドルの二重生活」


今度は、二代目シークレットガールズを支える崇道康熙にスポットが当たります。


学校では歴史教師。


放課後はSHI☆、MIKU♪、YUNA◇、MII♡、LiZ☆を指導する二代目シークレットガールズのコーチ。


さらに――。


英語教師・宍戸美和とは、誰にも知られてはいけない婚約者同士。


ところがある出来事をきっかけに、二人の関係を二代目シークレットガールズの五人が知ることに――。


五人の秘密を守ってきた康熙が、今度は自分自身の「シークレット」を五人と共有することになります。


第6話へ続きます。


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