第9話「母たちの再会――二十五年前のシークレット」
二代目シークレットガールズとして活動を続ける五人。
SHI☆、MIKU♪、YUNA◇、MII♡、LiZ☆。
これまで、娘たちは母親たちの言葉や行動に少しずつ違和感を覚えてきました。
どうして歌やダンスのことをそんなに詳しく知っているのか。
どうして五人で息を合わせる方法まで知っているのか。
そして――どうして初代シークレットガールズと、どこか似ているのか。
そんな中、母親たち五人が「中学生の頃からの友人」として久しぶりに集まることになります。
高野愛。
森川未紀。
山本麻子。
荒木まや。
柴崎リオ。
二十五年前から続く五人の友情。
しかし娘たちはまだ知りません。
その五人こそが、かつてEYE、MORM、YAH、BEE、LIZ☆として活動していた初代シークレットガールズ本人であることを――。
そして偶然にも、母親たちと娘たちが同じ場所で鉢合わせ。
さらに、そこへ小林前社長まで現れたことで、二十五年間隠されてきた過去が一気に揺らぎ始めます。
「どうしてお母さんたちが、小林前社長と昔から知り合いなの?」
第7話から積み重なってきた小さな疑問が、ついに一つの大きな疑惑へ。
母親たちの最大のシークレットへ、五人の娘たちがまた一歩近づく第9話です。
土曜日の朝。
高野家。
「お母さん、今日出かけるの?」
朝食を終えた栞が、出かける準備をしている母・愛に声をかけた。
「うん。久しぶりに友達と会うの」
「友達?」
「昔からのね」
栞は何気なく尋ねる。
「中学校の頃?」
愛の手が、一瞬だけ止まった。
「……そうね。中学生の頃から知ってる友達」
「へえ」
栞は少し興味を持った。
最近、母親の中学生時代が気になっている。
理由は単純だった。
母・愛は、ステージで緊張した時の対処法を妙に詳しく知っていた。
それだけではない。
自分がSHI☆として悩んでいることを相談すると、まるで経験者のような答えが返ってくる。
「何人で会うの?」
「五人」
栞の表情が変わった。
「……五人?」
「うん」
愛は何気なく答えた。
だが栞にとって、その数字は聞き流せない。
以前、二代目シークレットガールズの五人で話したことがある。
――もしかして、お母さんたちも昔、五人で何かやってた?
もちろん冗談だった。
しかし。
「お母さん」
「なに?」
「その五人って、ずっと仲いいの?」
「そうね」
愛は優しく笑った。
「二十五年以上になるかな」
二十五年。
また。
その数字。
初代シークレットガールズが活動していた時代と、ほとんど同じ。
栞は母親を見つめた。
「どうしたの?」
「……何でもない」
「変な栞」
愛は笑いながらバッグを持った。
「じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
玄関の扉が閉まる。
栞はしばらくその方向を見つめていた。
そして――。
スマートフォンを取り出した。
五人のグループチャット。
『みんな、ちょっと聞いていい?』
すぐ既読がついた。
美空。
『なに?』
結菜。
『どうしたの?』
美羽。
『何かあった?』
莉央奈。
『朝から珍しいね』
栞は入力する。
『今日、お母さんが中学時代からの友達五人で会うって』
数秒。
美空。
『え?』
莉央奈。
『待って』
結菜。
『うちのお母さんも今日、中学時代の友達と会うって言ってた』
美羽。
『うちも』
美空。
『うちもなんだけど』
そして莉央奈。
『……うちも』
五人のチャットが止まった。
栞は画面を見つめる。
『まさか』
結菜。
『五人のお母さんたちが会うの?』
その答えは――。
間違いなく、そうだった。
◇◇◇
都内の静かなレストラン。
個室。
最初に到着したのは高野愛。
少し遅れて森川未紀。
「愛!」
「未紀、久しぶり」
「この前会ったばっかりじゃん」
「そうだった」
二人が笑う。
続いて山本麻子。
「ごめん、待った?」
「全然」
荒木まや。
「おはよう」
「まや!」
最後に――。
「ごめん!」
柴崎リオが駆け込んできた。
「遅れた!」
未紀が時計を見る。
「三分」
「三分でも遅刻!」
麻子が笑う。
「昔から変わらないね」
「何が?」
「集合時間ギリギリ」
「ちゃんと間に合わせようとはしてる!」
五人が笑った。
高野愛。
森川未紀。
山本麻子。
荒木まや。
柴崎リオ。
今は、それぞれ母親。
だが。
二十五年前。
五人には別の名前があった。
EYE。
MORM。
YAH。
BEE。
LIZ☆。
伝説となった初代シークレットガールズ。
五人だけの再会だった。
◇◇◇
料理が運ばれてくる。
「乾杯する?」
「昼だからジュースで」
「じゃあ」
五人がグラスを持つ。
「二代目シークレットガールズに」
「乾杯」
グラスが重なる。
未紀が笑った。
「まさか二十五年後、自分たちの娘がシークレットガールズになるなんてね」
麻子が頷く。
「当時の私たちに言っても絶対信じないと思う」
まやも。
「『あなたたちの娘も五人組になります』って?」
リオが笑う。
「しかも私の娘、LiZ☆だよ?」
「ほぼそのままじゃん」
「私も最初聞いた時、本当にびっくりした」
愛は微笑んだ。
「でも似合ってるよ」
「ありがとう」
五人は自然と娘たちの話になる。
「栞、最近どう?」
未紀が尋ねる。
愛は苦笑する。
「かなり疑ってる」
「何を?」
「私の昔のこと」
四人の表情が変わる。
「やっぱり?」
麻子が言った。
「結菜も」
「美羽も」
「美空も!」
リオがため息。
「莉央奈なんてLIZ☆の写真見て、『お母さんに似てる』って」
「それは危ない」
麻子が真顔になる。
「昔の写真見せてって言われてるんでしょ?」
「うん」
「見せたら終わるね」
「絶対無理」
未紀が笑う。
「でもさ」
「なに?」
「いつまで隠せるんだろうね」
一瞬。
静かになった。
愛がグラスを置く。
「いつかは話す」
「うん」
「でも今はまだ」
麻子が言った。
「娘たちには、まず自分たちの力で二代目として成長してほしい」
まやも頷く。
「自分たちが選ばれたのは、私たちの娘だからだけじゃないって思ってほしい」
リオ。
「それ、小林新社長も言ってた」
五人が頷く。
二代目の五人が選ばれた背景に、母親たちとの縁があったことは否定できない。
だが。
SHI☆。
MIKU♪。
YUNA◇。
MII♡。
LiZ☆。
今、ステージに立っているのは娘たち自身。
努力しているのも。
悩んでいるのも。
成長しているのも。
全部――娘たち自身だった。
◇◇◇
「そういえば」
まやがリオを見る。
「莉央奈ちゃんのメンバーパス事件」
リオが額を押さえた。
「聞いた?」
「聞いた」
「うちも」
「私も」
未紀が苦笑する。
「本当に危なかったんでしょ?」
「陽向くんに拾われたって」
「そう」
リオはため息。
「帰ってきた莉央奈、すごく落ち込んでた」
愛が優しく言う。
「でも、それで分かったんじゃない?」
「何が?」
「秘密を守ることの大変さ」
リオは少し笑った。
「そうかも」
麻子が懐かしそうな表情になる。
「私たちもあったよね」
四人が見る。
「学校でバレそうになったこと」
「何回あった?」
未紀が笑う。
「数えたくない」
「LIZ☆が衣装の一部持ってきたことなかった?」
リオが目を丸くする。
「ちょっと待って!」
「やっぱりあった!」
「二十五年前のこと覚えてるの!?」
まやが笑う。
「リオ、昔から変わってない」
「だから莉央奈も同じことしたのかな……」
五人は笑った。
母と娘。
二十五年離れているのに。
似たような失敗をしている。
「血ってすごいね」
「本当に」
◇◇◇
やがて。
話題は佐藤先生へ。
「佐藤先生、元気だったね」
愛が言った。
「うん」
「相変わらず厳しそうだった」
リオが笑う。
「莉央奈にターン教えてた時、昔思い出した」
未紀がリオを見る。
「何回やり直させられたっけ?」
「知らない!」
「百回?」
「そこまでじゃない!」
「でも多かった」
「みんな笑ってたじゃん!」
「だってLIZ☆だけずっと回ってたから」
五人が笑う。
その時。
愛が静かに言った。
「佐藤先生がいなかったら、私たち五人は続かなかったかもしれないね」
笑いが止まる。
「うん」
麻子が頷く。
「小林社長も」
「そうだね」
初代シークレットガールズ。
その秘密を守り続けた小林社長。
厳しく五人を育てた佐藤先生。
二十五年前。
大人たちに支えられながら、五人は青春を駆け抜けた。
そして現在。
小林前社長の息子が新社長。
佐藤先生の親戚である崇道康熙が二代目のコーチ。
不思議なほど。
次の世代へ繋がっている。
未紀が言った。
「全部繋がってるんだね」
「何が?」
「私たちから娘たち」
指を一本。
「小林社長から息子さん」
二本。
「佐藤先生から康熙先生」
三本。
「二十五年前の人たちが、そのまま次の世代へ」
麻子が微笑む。
「本当だ」
◇◇◇
同じ頃。
駅前。
「本当に来るのかな」
美空が言った。
「来るじゃなくて、もう来てるでしょ」
結菜が答える。
そこには。
栞。
美空。
結菜。
美羽。
莉央奈。
五人がいた。
母親たちを尾行しに来た――わけではない。
栞が念を押す。
「絶対、後をつけたりしないからね」
莉央奈が言う。
「分かってる」
美空。
「偶然会ったら?」
「普通に挨拶」
結菜。
「それだけ」
五人が集まった理由。
それは。
自分たちの母親が、本当に同じ五人組なのか確認したかったから。
「でも全員同じ場所って」
美羽が言う。
「偶然じゃないよね」
「うん」
五人の母親たちは、同じ中学校時代からの友人。
それが確定した。
莉央奈が腕を組む。
「ますます怪しい」
「何が?」
「だって」
莉央奈はスマートフォンを出す。
初代シークレットガールズの画像。
EYE。
MORM。
YAH。
BEE。
LIZ☆。
「こっちも五人」
栞。
「私たちのお母さんも五人」
結菜。
「でも、それだけじゃ証拠にならない」
美空が言う。
「ねえ」
「何?」
「小林前社長に聞いてみる?」
四人が美空を見る。
「直接?」
「うん」
「『うちのお母さん知ってますか?』って?」
「そう」
結菜は考える。
「それなら正体のこと聞くわけじゃないし」
美羽も。
「昔から知ってるかどうかだけ」
莉央奈。
「聞きたい」
栞は少し迷った。
そして。
「今度、事務所で会ったら聞いてみよう」
五人の意見が一致した。
◇◇◇
その直後。
「栞?」
五人が振り返る。
母親たち。
愛。
未紀。
麻子。
まや。
リオ。
レストランを出てきた五人と。
娘たち五人。
鉢合わせ。
十人が固まった。
「……」
「……」
最初に口を開いたのは未紀。
「なんでいるの?」
美空が答える。
「偶然!」
「五人で?」
「うん!」
麻子が結菜を見る。
「本当に?」
「本当に」
かなり怪しい。
リオが莉央奈を見る。
「もしかしてついてきた?」
「違う!」
「本当に?」
「本当!」
愛が娘たちを見る。
そして少し笑った。
「まあいいじゃない」
栞が母親たちを見る。
「この五人が、お母さんの昔からの友達?」
愛は頷く。
「そう」
「中学生の頃から?」
「うん」
娘たちの表情が変わる。
美空が未紀を見る。
「お母さんも?」
「そうだよ」
結菜。
「みんな同じ学校?」
麻子。
「まあ……そうね」
美羽がまやを見る。
「ずっと五人?」
「ずっとってわけじゃないけど、仲良かったよ」
そして莉央奈。
「二十五年前から?」
リオの心臓が跳ねる。
「それくらいかな」
娘たちは互いを見る。
二十五年前。
五人組。
中学生。
あまりにも条件が重なる。
だが。
まだ証拠はない。
その時。
愛が言った。
「せっかくだし、一緒にお茶する?」
「いいの?」
「もちろん」
こうして。
初代シークレットガールズ五人。
二代目シークレットガールズ五人。
正体を互いに完全には知らない母娘十人が――。
同じテーブルを囲むことになった。
◇◇◇
カフェ。
大きなテーブル。
母親五人。
娘五人。
不思議な光景だった。
未紀が美空へ。
「学校どう?」
「普通」
「勉強は?」
「それ聞く?」
「聞くよ」
「普通!」
「その普通が怪しい」
「お母さん!」
笑いが起こる。
麻子が結菜を見る。
「最近忙しそうだけど大丈夫?」
「大丈夫」
「無理しないでね」
「うん」
まやも美羽へ。
「ちゃんと寝てる?」
「寝てるよ」
リオ。
「莉央奈はもっと早く寝なさい」
「寝てる!」
「昨日何時?」
「……十二時」
「遅い」
「普通!」
愛は栞を見て微笑む。
娘たち。
母親たち。
普通の家族の会話。
だが。
その裏側では。
母親たちは思っている。
――二代目シークレットガールズ。
娘たちは思っている。
――この五人、何かある。
そして。
莉央奈が何気なく言った。
「そういえば」
「何?」
「お母さんたち、小林前社長って知ってる?」
五人の母親の動きが止まった。
ほんの一瞬。
だが。
娘たちは見逃さなかった。
「小林……さん?」
愛が聞き返す。
「うん」
栞が続ける。
「昔、芸能事務所の社長だった人」
未紀が答える。
「名前くらいは」
美空がじっと見る。
「本当に?」
「有名だったから」
麻子も頷く。
「そうね」
結菜が言う。
「会ったことは?」
「……」
一瞬。
沈黙。
リオが答える。
「昔、一度くらいは」
莉央奈の目が細くなる。
「どこで?」
「イベントとか」
「どんなイベント?」
「昔すぎて覚えてない」
莉央奈は納得していない。
母親五人も気づく。
――これは危ない。
◇◇◇
その時。
「おや?」
声。
全員が振り返る。
そこに立っていたのは。
「小林さん!」
愛が――反射的に言ってしまった。
娘五人。
「……え?」
母親五人。
「……あ」
小林前社長だった。
偶然、近くを訪れていた。
「これは珍しい」
小林前社長は笑顔で近づく。
「五人揃っているとは」
娘たちの目が大きくなる。
莉央奈がゆっくり母を見る。
「お母さん」
「……何?」
「知ってるじゃん」
「……」
小林前社長も娘たちに気づいた。
「おお、君たちも一緒か」
栞。
「前社長」
美空。
「どうしてお母さんたちと?」
小林前社長が止まる。
母親五人から視線。
――余計なこと言わないで。
長年五人の秘密を守ってきた男。
その意味を瞬時に理解した。
「昔から少し縁があってね」
結菜が尋ねる。
「どんな?」
「君たちのお母さんが中学生の頃から知っている」
完全に新情報。
「ええ!?」
娘五人の声が揃う。
リオが小声。
「小林さん……」
「大丈夫」
前社長も小声。
だが。
娘たちは聞き逃さない。
莉央奈。
「何が大丈夫なの?」
「いやいや、こっちの話」
怪しい。
あまりにも怪しい。
◇◇◇
小林前社長も同じテーブルへ座る。
美空が質問する。
「前社長って、お母さんたち五人全員知ってるんですか?」
「知ってるよ」
「二十五年前から?」
「そうだね」
「何で?」
「……」
母親五人。
小林前社長。
六人の間に微妙な空気。
前社長は笑った。
「昔、仕事の関係でね」
栞が聞く。
「どんな仕事?」
「それは……」
少し考える。
「芸能関係」
娘たちの表情が変わった。
結菜。
「お母さんたち、芸能界に関係あったんですか?」
麻子。
「ちょっとだけね」
「初めて聞いた」
「言うほどのことじゃないから」
美羽が尋ねる。
「五人とも?」
まや。
「……まあ」
そして。
莉央奈。
「アイドル?」
母親五人。
完全停止。
小林前社長も。
「……」
莉央奈が目を見開く。
「え?」
美空。
「今の反応!」
栞。
「お母さん?」
結菜。
「もしかして本当に?」
愛が慌てて言う。
「違う違う!」
「じゃあ何?」
「イベントのお手伝い!」
未紀も乗る。
「そう!」
麻子。
「裏方みたいな」
まや。
「ちょっとしたお手伝い」
リオ。
「そうそう!」
娘五人。
「……」
誰一人納得していない。
小林前社長はコーヒーを飲みながら思う。
――昔より嘘が下手になったな。
◇◇◇
帰り道。
母親五人と娘五人は途中で別れた。
娘たちだけになった瞬間。
美空。
「絶対何かある!」
莉央奈。
「ある!」
結菜も否定しない。
「小林前社長と二十五年前から知り合い」
美羽。
「しかも芸能関係」
栞が整理する。
「五人とも同じ中学校時代からの友達」
「そして」
莉央奈がスマートフォンを出す。
初代シークレットガールズ。
「二十五年前」
五人が画面を見る。
EYE。
MORM。
YAH。
BEE。
LIZ☆。
美空が小声で言う。
「……本当に?」
結菜。
「まだ決めつけられない」
「でも」
美羽が言う。
「条件が重なりすぎてる」
栞は画面のEYEを見る。
母・愛。
似ている。
ような気がする。
美空はMORM。
結菜はYAH。
美羽はBEE。
莉央奈はLIZ☆。
そして莉央奈が言う。
「一回、ちゃんと調べてみない?」
四人が見る。
「初代シークレットガールズのこと」
結菜は少し迷った。
「お母さんたちに内緒で?」
「うん」
栞は画面を見つめる。
答えはすぐそこにある。
「……調べよう」
五人が頷いた。
◇◇◇
一方。
母親たち。
「危なかった!」
未紀が言う。
「小林さんが来るなんて!」
リオ。
「『中学生の頃から知ってる』って言った時、終わったと思った!」
麻子。
「でも嘘じゃないからね」
まや。
「問題はそこじゃない」
愛は静かだった。
「もう時間の問題かもしれない」
四人が愛を見る。
「娘たち、かなり近づいてる」
リオがため息。
「莉央奈なんてアイドル?って聞いてきた」
未紀。
「あの反応は失敗だったね」
「全員固まったじゃん!」
五人は苦笑する。
だが。
愛が言う。
「もし自分たちで真実に辿り着いたら?」
沈黙。
麻子が答える。
「その時は」
少し間を置く。
「もう、ちゃんと話すしかないと思う」
誰も反対しなかった。
◇◇◇
夜。
高野家。
栞は自室。
パソコンを開いている。
検索しているのは。
『初代シークレットガールズ EYE』
森川家。
美空。
『初代シークレットガールズ MORM』
山本家。
結菜。
『初代シークレットガールズ YAH』
荒木家。
美羽。
『初代シークレットガールズ BEE』
柴崎家。
莉央奈。
『初代シークレットガールズ LIZ☆』
五人が。
別々の家で。
同じ時間に。
二十五年前へ近づいていく。
莉央奈の画面。
古いLIZ☆の写真。
拡大。
顔を見る。
「……やっぱり」
そして。
リビングから。
「莉央奈ー!」
母・リオの声。
「お風呂空いたよ!」
莉央奈は画面のLIZ☆を見る。
扉の向こうを見る。
また画面を見る。
「……似てる」
小さく呟く。
二十五年間。
守られてきた秘密。
母親たちは。
まだ娘たちへ話していない。
でも。
娘たちはついに――。
初代シークレットガールズの正体そのものを調べ始めた。
EYE。
MORM。
YAH。
BEE。
LIZ☆。
その五人が。
自分たちの母親だったことを知る日は――。
もう。
それほど遠くなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
第9話では、二十五年前の初代シークレットガールズだった五人が、母親となった現在、再び揃いました。
EYEだった高野愛。
MORMだった森川未紀。
YAHだった山本麻子。
BEEだった荒木まや。
LIZ☆だった柴崎リオ。
二十五年前は、学校では普通の中学生として過ごしながら、放課後にはシークレットガールズとしてステージに立っていた五人。
そして現在では、自分たちの娘――SHI☆、MIKU♪、YUNA◇、MII♡、LiZ☆の成長を見守っています。
今回、母親たちの会話では、娘たちが自分たちと似た失敗や悩みを経験していることも描かれました。
特に莉央奈のメンバーパス事件。
二十五年前のLIZ☆だったリオ自身も、学校へ芸能活動に関係する物を持ち込んでしまった経験がありました。
母と娘。
二十五年という時間が離れていても、どこか同じ道を歩いています。
しかし今回、娘たちにとってさらに大きかったのは――小林前社長との偶然の再会です。
母親たちが小林前社長を昔から知っていた。
しかも、
「君たちのお母さんが中学生の頃から知っている」
という発言まで飛び出しました。
そしてさらに、
「昔、仕事の関係で」
「芸能関係」
という新たな情報。
娘たちが、
「お母さんたち、アイドルだったの?」
と聞いた瞬間、母親五人が揃って固まってしまったことで、疑いはさらに強くなりました。
これまでは、
「まさかね」
と笑えていた疑問。
でも今回は違います。
中学生の頃から仲良しだった五人。
二十五年前。
芸能界との繋がり。
小林前社長との関係。
そして初代シークレットガールズも五人組。
条件があまりにも重なり始めました。
そして物語の最後。
栞はEYEを。
美空はMORMを。
結菜はYAHを。
美羽はBEEを。
莉央奈はLIZ☆を。
それぞれ自分の家で調べ始めました。
娘たちはついに、
「母親たちは何者なのか」
ではなく、
「初代シークレットガールズの正体は誰なのか」
という核心そのものへ踏み込み始めています。
一方、母親たちも覚悟を決め始めました。
もし娘たち自身が真実へ辿り着いたら――。
その時は、もう逃げずに話す。
二十五年前の青春。
学校とアイドルの二重生活。
佐藤先生や小林前社長との思い出。
そして自分たちがEYE、MORM、YAH、BEE、LIZ☆だったということを。
次回、第10話。
「シークレットガールズの正体――母と娘、二つの秘密」
五人は初代シークレットガールズについて、さらに詳しく調べ始めます。
古い写真。
映像。
当時の記事。
そして母親たちの中学生時代について残されている僅かな手掛かり。
その中で莉央奈は、ある決定的な共通点へ気づくことに――。
「この笑い方……お母さんと同じだ」
他の四人も、自分の母親と初代メンバーの間に次々と共通点を見つけ始めます。
EYE=高野愛。
MORM=森川未紀。
YAH=山本麻子。
BEE=荒木まや。
LIZ☆=柴崎リオ。
二十五年間守られてきた答えが、ついに娘たちの目の前まで。
そして母親たちも、自分たちの口から真実を伝える覚悟を固め始めます。
母が隠してきた秘密。
娘が現在守っている秘密。
二世代の「シークレット」が初めて正面から向き合おうとする、第10話へ続きます。




