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第十四話「代わりの教師」
フェリクスの死後、新しい剣術教師がついた。
だが、マティアスは、その教師と、あまり馴染まなかった。
理由を聞かれても、うまく答えられなかった。
「技量に、不満があるのですか」と伯爵が聞いた。
「不満はない」
「では、何が」
マティアスは、少し考えた。
「……分からない」
本当に、分からなかった。
ただ、稽古場に立つと、フェリクスの声が聞こえる気がした。
自分でやれ、という声だった。
それが、新しい教師の声と重なると、妙な違和感があった。
グレーテは、この変化に気づいていた。
「フェリクス様のことを、まだ、気にされているのですね」
「気にしてはいない」
「そうですか」
「……少しだけ、思い出す」
グレーテは、それ以上、何も言わなかった。
ただ、微笑んだ。
「思い出すことは、悪いことではありませんよ」
「そうか」
「はい」
マティアスは、その言葉を、しばらく考えていた。
そして、少しずつ、新しい教師の稽古にも、慣れていった。
完全には、馴染まなかったが。
つづく




