第十二話「兵隊ごっこと、独りの遊び」
十三歳になる直前、マティアスは、屋敷を訪れた親戚筋の子供たちと、兵隊ごっこをする機会があった。
子供たちは、皆、楽しそうに、木剣を振り回して遊んでいた。
マティアスも、誘われて参加した。
だが、途中で、マティアスは輪から外れた。
「なんで抜けるの」と一人の子供が聞いた。
「勝敗が、決まっている遊びだ」
「決まってないよ、これから戦うんだから」
「戦う前に、分かる」
「なんで分かるの」
マティアスは、少し考えた。
「地形と、人数と、武器の差を見れば、分かる」
子供たちは、顔を見合わせた。
「つまらないこと言うね、マティアスは」
「そうか」
「もっと、楽しくやろうよ」
「楽しさが、何を指すのか、分からない」
子供たちは、やがて呆れて、遊びを続けた。
マティアスは、一人、庭の隅に座って、それを見ていた。
つまらないとは、思わなかった。
ただ、参加する理由が、自分の中に見つからなかった。
その様子を、フェリクスが見ていた。
「なぜ、加わらない」
「理由がない」
「楽しむのに、理由はいらない」
「楽しむとは、どういうことだ」
フェリクスは、少し困った顔をした。
答えられなかった。
それから、静かに言った。
「……いつか、分かる日が来る」
「いつだ」
「私には、分からない」
マティアスは、その答えに、特に何も感じなかった。
分からないことが多いのは、いつものことだった。
つづく




