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第七話「朝と、目が合わない朝食」
朝、居間に出ると、女が一人で朝食の支度をしていた。
男の姿は、なかった。
馬もいなかった。
夜のうちに、発ったらしかった。
「よくお休みになれましたか」と女は言った。
「……ええ」
声が、少し掠れた。
女は、それに気づいたかもしれなかった。
気づかなかったかもしれなかった。
どちらとも、分からなかった。
朝食の間、二人とも、ほとんど話さなかった。
揺り籠の赤子たちが、時々、小さく声を上げた。
女は、その度に、あやしに行った。
戻ってくると、また黙って食事を続けた。
カイルの父は、何度か、言葉にしようとした。
昨夜、見たことを。
だが、言葉にする前に、飲み込んだ。
言葉にすれば、何かが、決定的になる気がした。
決定的にしていい種類のことではない気がした。
食事が終わる頃、女が言った。
「昨夜、何か、お気づきになりましたか」
カイルの父は、しばらく、答えなかった。
女は、答えを急かさなかった。
ただ、静かに、こちらを見ていた。
「……いいえ」とカイルの父は言った。「何も」
女は、しばらく、カイルの父を見ていた。
それから、小さく頷いた。
「そうですか」
それだけだった。
それ以上は、何も聞かれなかった。
つづく




