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マティアス・クロイツァーその人。  作者: Kentarou Tou
第十章 カイルの父と、謎の女と、その子供たち

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第五話「夜更けの、足音」


答えは、思いがけない形で来た。


うとうとしかけた頃、外で、馬の足音がした。

一頭だった。

静かな乗り方だった。

音を殺そうとしている足音だった。


カイルの父は、体を起こした。

窓の隙間から、外を見た。


一人の男が、馬から降りるところだった。

外套を、深く被っていた。

だが、歩き方に、見覚えがあった。

どこかで、何度も見た歩き方だった。


女が、戸口に出た。

声を潜めて、何か言葉を交わしていた。

聞き取れなかった。

ただ、女の声が、昼間とは違う響きをしていることだけは分かった。


男が、外套の頭巾を、少し上げた。

月明かりが、顔を照らした。


カイルの父は、息を止めた。


見たことのある顔だった。

毎日のように、少し離れた場所から見ている顔だった。

玉座に座る顔だった。


王だった。


つづく


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