第二話「カボチャを渡した、という話」
返事は二週間後だった。
フワンからとカイルから、同じ日に来た。
フワンの手紙から開けた。
今回も封蝋がなかった。
マティアスさんへ
どうやって追い返したか、という問いへの答えです。
カボチャを渡しました。
フワン
追伸 それ以上は書きません。
マティアスは手紙を読んだ。
もう一度読んだ。
「カボチャを渡しました」という一行を、三回読んだ。
それから「それ以上は書きません」という一行を読んだ。
しばらく手紙を見ていた。
カボチャを渡した。
それで追い返した。
どういう意味か、分からなかった。
分からなかったが、フワンは書かなかった。
書かないと言っていた。
カイルの手紙を開けた。
鷹の封蝋だった。
地面に立っていた。
飛んでいなかった。
マティアス
遅くなった。
フワン・ヴァイスのことを、少し調べていた。
だから遅くなった。
一つだけ言う。
深く掘るな。
今は、深く掘る時ではない。
お前がエルザの傍にいることが、今は一番大事なことだ。
それだけだ。
オッホン。
カイル
追伸 リゼット・ハウゼンは、悪い人間ではない。ただ、複雑な立場にいる人間だ。
マティアスは手紙を読んだ。
「深く掘るな」という一行のところで、長く止まった。
カイルが調べた。
調べた上で、深く掘るなと言った。
掘れば何かが出てくる時だった。
でも今は掘る時ではないと言っていた。
マティアスはしばらく両方の手紙を見ていた。
それから便箋を二枚出した。
フワンへ
それ以上は聞かない。
ただ、一つだけ言う。
エルザを頼む。
理由は書かない。
ただ、頼む。
マティアス
追伸 秋に行く。カボチャを見せてくれ。
カイルへ
手紙を読んだ。
深く掘らない。
一つだけ聞く。
エルザは安全か。
マティアス
二通封をした。
行商人に渡した。
引き出しを開けた。
二通の手紙を入れた。
閉めた。
それから、誰にも送らない手紙を書いた。
フワンがカボチャを渡して追い返した。
カイルが深く掘るなと言った。
どちらも、それ以上は書かなかった。
言わない理由が、それぞれにあった。
来年の春、また行く。
今年の秋も行く。
自分の目で見る。
それで十分だった。
折って、入れた。
閉めた。
窓の外では、夏の夜が続いていた。
つづく




