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マティアス・クロイツァーその人。  作者: Kentarou Theater
第三章 整いすぎた女と、即答する男

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32/50

第二話「三人と、四人と、間違っている」


三日後、リゼットがまた来た。

ノックをして、返事を待った。

今日は、それを待った。

「入れ」とマティアスは言った。

リゼットが入ってきた。

今日も軍服に近い服だった。手に書類を持っていた。

「拘留の延長について、ご報告に来ました」

「延長か」

「ええ。上層部の判断です。私の権限では、すぐにお出しすることができません」

「分かった」

リゼットは少し意外そうな顔をした。

「抗議はされないのですね」

「抗議して変わるなら、する」

「変わりませんので」

「だから、しない」

リゼットは書類を机に置いた。

それから、椅子に座った。マティアスが許可するより先に。

マティアスは何も言わなかった。

「マティアス様」

「なんだ」

「占いというものを、信じますか」

マティアスは少し考えた。

「占いか」

「神父様に、運命を見ていただくことがあります。私は」

「それで」

「三人の神父様から、同じことを言われました」

「何を言われた」

リゼットは少し間を置いた。

「あなたと、運命の糸で結ばれている、と」

マティアスは表情を変えなかった。

「三人とも間違っている」

リゼットが止まった。

「即答ですね」

「迷う理由がない」

「神父様が三人ですよ」

「三人とも間違っている」

リゼットはしばらくマティアスを見た。

それから、わずかに笑った。

「面白い方ですね」

「事実を言っている」

「事実、ですか」

「そうだ」

リゼットは立ち上がった。

窓辺へ歩いた。中庭の噴水を見た。

「クロイツァー殿には、お戻りになりたい場所が、おありなのですか」

マティアスは少し間を置いた。

「ある」

「どのような場所ですか」

「答える義理はない」

「そうですね」とリゼットは言った。「失礼しました」

リゼットは扉へ向かった。

扉の前で、足を止めた。

「クロイツァー殿」

「なんだ」

「神父様が、四人になりました」

マティアスは窓の外を見た。

「四人とも間違っている」

リゼットは、今度は声に出して笑った。

小さく、しかし確かに、笑った。

「では、五人目が来た時も、同じ答えですか」

「同じだ」

「分かりました」

リゼットは出て行った。

扉が閉まった。

マティアスは窓の外の噴水を見続けた。

水音は、変わらず続いていた。


つづく


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