十七話「 夜間校内散策その③ 」
「じゃあルールを説明するわね?。今から二人一組になってもらうわ。ペアになった人と校舎の四階にある花を持って降りてくる、その後体育館の中央にある花瓶にその花を入れる事ができたらこの場所に戻ってきていいわ。」
ルールはシンプルかつ単純な肝試しだ。皆で行くのではなく二人一組、たしかに雰囲気はでてるな。
重松が話を終わらせるとペアを決める順番決めが始まった。俺はてっきりクジ引きか何かでするもんだと思っていたが、偶然か必然か以下の通りとなった。
一組目、咲野桜花 & 朝比奈大斗
二組目、小佐鬼剣閣 & 成瀬二葉
三組目、重松茂美 & 一宮岳人
俺と重松のペアに関してはちゃんとした理由があるらしい。
「だってアンタの謎を解明しにやってるのにあたしが居ないところで解決さたらつまらないじゃない!。」
だそうだ。確かに目の前に幽霊がでたとしても、重松の滅茶苦茶パワーなら何とかなりそうだ。
重松は自分が早く行きたいため、咲野さんと朝比奈のペアに急いで行くよう命じた。二人並んで校舎に向かおうとしたその時、突然カラスの鳴き声が響いた。
「きゃぁっ!。」
不気味なカラスの声に驚いた咲野さんは咄嗟に朝比奈の腕にしがみつき、その豊満な胸で腕を挟んだ。それと同時に朝比奈は固まった。校舎に入る前からこれでは先が思いやられる。
「……一宮、さっきの話、俺平気って言ったけど。」
その先は何も言わずこちらを振り返く朝比奈は不安の表情を見せた。まるで「前言撤回、やっぱり平気じゃない…。」とでも言いたげな顔だった。まぁこの場合、幽霊が怖いのではなく、好きな咲野さんに突然抱きつかれるのが心臓に悪いという意味であると思うが。
その後、ゆっくりながらも校舎に入る二人の背中を俺達四人は見ていたわけだが、皆分かっていただろう。このペアはある意味失敗であったと。案の定、しばらくすると咲野さんの悲鳴が何度も聞こえてきた。成瀬先輩がなにかしらの細工をしているらしいが何をしたのやら。
結果、一時間以上かかって二人は戻ってきた。咲野さんは青ざめた顔で朝比奈の腕にしがみついており、もう一方の朝比奈は冷や汗と緊張疲れしているような顔だった。お二人ともお疲れさん。
「いやぁ、こうなるとコッチまで怖くなるね。」
二人の姿を見てこの言葉を言ったのは小佐鬼先輩だった。
「やっぱり先輩も怖くなりますか?。」
「あ、いや。僕が怖いのは幽霊とかじゃなくて…アレだね。」
俺にしか見えないように指をさすとその先には成瀬先輩の姿があった。確かに夜の学校で成瀬先輩と二人っきりだったら最悪、命の危険すら感じると思われた。
咲野さんと朝比奈がベンチで休憩にはいると、小佐鬼&成瀬の先輩ペアが校舎に入っていった。
時計をみながら待つこと15分程度で二人は帰ってきた。成瀬先輩はいつものように凛々しい表情で、小佐鬼先輩はずっと苦笑いである。俺は帰ってきた先輩にたずねる。
「いや、夜の学校自体はそうでもなかったけど、やっぱり二葉さんは凄いね……。」
それ以上何も語ることなくずっと苦笑いを続けた小佐鬼先輩を見て、何があったかなんて俺にも予想はつかなかった。




