十二話「 強制的仮入部 」
学校に到着すると、朝のホームルームで担任教師が昨日のサッカー部員の事故の一件について話をした。部活動と言えども気を抜かず注意するように。などという体育会系の担任の指導など頭に入ってこず、昨日の事故が事実だと知った。クラスメイトの友人も救急車が学校に来ていたことも知っていたし、運動部の連中もグラウンドで事故の現場を目撃していたらしい。
その話をするとさっきの佐藤同様、俺とクラスメイトの会話には矛盾が生じる。結局その日は授業にも集中できず、最近寝不足だったためか、午後の授業では爆睡してしまった。
放課後のチャイムが鳴り、帰宅部の生徒は次々と帰っていく。ついでに俺は委員会に入ってるだけで部活はしてないから帰宅部だ。教科書などの用意を鞄にしまい、帰ろうかと席から立ち上がると、教室の後ろの扉にもたれかかってこちらを見ている生徒が視界に入った。
「………よう。」
朝比奈大斗だ。昨日と変わらない黒いバンダナを頭に巻き、そこから見える目つきは立派なオーラを醸し出している。
「ちょっと部室まで来てくれないか?。うちの重松が話したい事があるんだと。」
朝比奈が悪い奴じゃないことくらいは分かっているが、そんなオーラ出されると誰でもビビるぞ。それはさておき、重松が俺に話したい事?。やはり昨日の一件だろうか、それとも部室受け渡しのことか。俺は朝比奈についていき、三日連続の部室棟となった。朝比奈が先に部屋に入ると続けて俺も入室した。部屋には重松を含め、新遊部全員が集まっていた。
「よく来たわね。アンタに話があるのよ。」
最初に話を切り出したのは勿論、重松茂美である。俺に何かようですか?
「アンタしばらくの間、我が新遊部の仮部員として活動しなさい?。これは命令よ。」
「はぁ?何言ってるんだ。仮部活なのに仮部員だと?。何で俺が。」
「昨日のアンタの話、家に帰ってから考えたんだけど、信じてあげてもいいわ。」
「………信じてくれるのか?。」
俺は重松の言葉にある意味驚いた。もし俺が友人でもない奴から昨日起きた話を聞かされても信じる事はないだろう。でも重松は違ったのだ。
「あたしは人を見る目があるのよ?。アンタは嘘なんか言ってない。それに、そんな不思議現象おもしろそうじゃない!。」
どうやら最後の方が本音のようらしい。重松は部員確保と遊びの提供者が欲しかったようだ。
「今さら嘘だったなんて言わせないわよ?。アンタの謎を絶対解明してやるんだから。」
俺のネクタイを引っ張り上げ、無理やり説得を始める重松。実際に嘘ではないが、この時は嘘であってほしかった…。
「具体的な活動は明日から始めるわ。安心しなさい、あたしに頼んだからには大船に乗った気分でいていいわよ!。」
まるでいつもの如く、俺が反論する前に重松が話を進めていき勝手に物事が決まる。そして終いにはこう言うのだ。
「 ようこそ、新遊部へ!。」




