十一話「 その後の経過 」
翌日、あまり眠れず気分の悪い朝になった。
母親にも顔色が悪いと言われて、俺は適当に誤魔化しながら登校する準備を始めた。昨日起きた出来事がまるで理解できない。缶けりをしていた俺は突然金縛りにあい、回りの人はそれを見ていない。いつもの通学路を歩きながらその事をずっと考えていた。
なにがどうなってるんだ?。さっぱり分からん。
「おっ、一宮じゃん。おはようさん。」
俺は肩を叩かれ、振り返ればクラスメイトの佐藤のお気楽面がそこにあった。
「なぁ、聞いてくれよ。昨日駅前までナンパしに行ったんだけどさ、駅前の病院に救急車が二台走ってきて、ケガ人が二人運ばれたらしいんだ。」
「ふーん、それで?」
「それがどうもうちのサッカー部みたいなんだよ。」
その後佐藤が言ったことを整理すると、サッカー部員が二人、昨日の練習中に前方不注意で正面衝突したらしい。病状までは分からんようだが。
「別に事故くらいあるだろ。演習でケガする奴も少なからずいるぞ?」
俺がそう言うと佐藤は何か詰まったかのような表情をする。
「一宮、お前なに言ってんだ?昨日は演習じゃなくてうちの学校で起きた事件だぞ?。」
そんな事言われたら何か詰まった表情をするのがこちらの番になる。昨日の学校?
俺と新遊部が缶けりの勝負をしていたとき、グラウンドには誰も居なかった。逆に誰も居なかったから不思議に思ったくらいだが…。
「なぁ、昨日のサッカー部は何時まで練習してたんだ?。」
「詳しくは知らねぇけど、ほとんどの運動部が放課後から7時くらいまでやってるぞ。」
「そんなはずない、昨日グラウンドには誰も居なかったぞ?。」
「んな訳ないだろ?うちの学校は運動部が盛んなんだから。何もない平日に休みなんてあるわけないだろ。」
これはまた何がどうなってるんだ?これ以上俺に考える事を増やさないでくれ。
でも半信半疑ながらもこれだけは分かった。
昨日の突然の金縛り、消えていた俺の存在、居たのに見ていない運動部、そして謎の少女。
…何かがあったという事だけは。




