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第32話:絶対運命の算出(ラプラス・エンジン)と、未来すらカツアゲする究極の「運命保護サブスク」

「……アリス。人間という生き物が、有史以来、どれほどの権力や富を手に入れても『絶対に消し去ることができなかった恐怖』とは何だか分かるかしら?」


 超巨大・魔導豪華客船『A&Lグランド・リヴァイアサン』。

 天候も、時間も、才能も、そして世界中のあらゆる情報も完全に支配し、私たちの魔導商会A&Lが名実ともに【地球という惑星の支配者】として君臨している穏やかな午後。

 最上階のCEO執務室にて。ルミアは、ヒマ端末から空中に投影された『世界各国の事故死者数と、暗殺による政権交代の確率』のグラフを見つめながら、氷のように冷徹な声で問いかけた。


「絶対に消し去れなかった恐怖? うーん……オバケ? それとも、太ること?」

 私が空間転送で取り寄せた『旧王都産・特濃マナ・チーズケーキ』を頬張りながら首を傾げると、ルミアは美しい顔で盛大なため息をつき、バインダーで机を叩いた。


「違うわ。『見えない明日(未来)』よ」


「未来……。明日何が起こるか分からないってこと?」


「ええ。いいこと、アリス? どんなに強大な権力を持った皇帝でも、明日自分が暗殺されるかもしれないという恐怖からは逃れられない。どんなに大富豪でも、明日自分の商船が嵐で沈むかもしれない(※天候は私たちが支配したけどね)という不安を抱えている。人間は『明日がどうなるか分からない』という不確定要素のせいで、無駄な保険に入り、無駄な護衛を雇い、経営判断を迷うのよ!!」


 ルミアは、空中のグラフを忌々しげに赤く塗りつぶした。


「未来が分からないから、人間は不安になる。不安になるから、財布の紐が固くなる! 経営学的に見て、消費者の『将来への不安による貯蓄』なんて、これほど腹立たしい機会損失はないわ!! 彼らのタンス預金をすべて吐き出させるためには、彼らから『見えない明日への恐怖』を取り除き、同時に『確定した絶望』を突きつける必要があるのよ!」


「あー……。まあ、未来予知ができたら、誰も苦労しないわよね。でも、占星術師の予言なんて当たる確率半分以下だし」


「占いなんていう非科学的なオカルトに頼るからいけないのよ」

 ルミアの瞳が、狂気と強欲のゴールドの輝きを放ち始めた。


「世界のすべての情報、天候、人々の健康状態、そして全人類の才能スキルのデータ……。それら【現在】のあらゆる変数は、すでに我が社が完全に掌握しているわ。ならば、その無限のビッグデータを元に、物理法則と因果律を極限まで計算し尽くせば……【一秒後の未来】から【百四万年後の未来】まで、一ミリの狂いもなく『確定した未来』を弾き出せるはずよ!!」


 ルミアの口から飛び出したのは、宇宙の因果律(運命)そのものをハッキングし、人々の『未来』すらもサブスクリプション(定額制課金)の商材に変えてしまおうという、恐るべき神への反逆計画だった。


「なるほどね……! 究極の決定論デターミニズム! 現在のすべての原子と魔力の動きを把握できれば、未来は完全に計算できるってことね!」

 技術者としての私の脳髄に、またしても強烈なインスピレーションの電流が走った。

 私はチーズケーキのフォークを置き、白板の前に立ってガリガリと新たな魔法陣と、一つの『巨大な演算装置』の計算式を書き殴り始めた。


「いい、ルミア。これを実現するためには、人工月『アストラル・ルナ』の超並列思考・魔導人工知能アカシャ・ブレイン限界突破オーバークロックさせるわ! 世界中からリアルタイムで吸い上げている全データを、私が新しく組む【超・因果律演算陣】に入力するの!」


「素晴らしいわ! つまり、世界最強の『予言の書』を物理的に創り出すということね!」


「ええ! 名付けて、絶対未来演算機……【A&L ラプラス・エンジン】よ!! このエンジンを使えば、『明日のサイコロの目』から、『十年後の帝国の株価』、『百年後の誰かの死因』まで、確率百パーセントで完璧にシミュレーション(予知)できるわ!!」


「…………ッ!!」

 ルミアの瞳孔が、限界まで拡大し、美しい三日月の形に歪んだ。


「あはははは!! えげつない! えげつなすぎるわアリス!! これぞ究極の錬金術! 未来の定額制サブスクリプションよ!! これがあれば、我が社は未来の株取引で無限に勝てるわ!!」


 ルミアは歓喜の声を上げ、猛烈な勢いでヒマ端末にビジネスモデルの構築を始めた。


「いい、アリス! もちろん株で儲けるのもいいけれど、一番の利益マネタイズは【個人への運命の切り売り】よ!」


「運命の切り売り?」


「そう! アプリで『貴方の明日を無料で占います』と謳って、ユーザーに【ラプラス・エンジン】が弾き出した『確定した未来』を見せるの。……もし、その未来が『明日、馬車に轢かれて死にます』とか『来週、暗殺されます』という絶望的なものだったらどうする?」


「そりゃあ、死にたくないから回避しようとするわよね」


「でも、ラプラス・エンジンが弾き出したのは『確定した未来』よ。個人の努力で回避しようとしても、必ずその運命に収束してしまう。……そこで! 我が社の出番よ!!」

 ルミアは、極上に邪悪な笑みを浮かべた。


「絶望的な未来を見せられた富裕層に、【A&L プレミアム・デスティニー(運命の強制書き換え)】プランを売りつけるのよ! 月額一千億ゴールドを支払えば、我が社が気象操作や空間転送、時間操作のあらゆるインフラを駆使して、その【死の運命】を物理的に破壊し、強引に『生き残るルート』に世界線を書き換えてあげるの!!」


「うわぁ……。自分の命の値段を一千億で買い取らせるってことね……。でも、もし未来が『大金持ちになる』っていう良い運命だった場合は?」


「あら、こっちの方がもっとえげつないわよ」

 ルミアは、悪魔そのものの笑顔で断言した。


「もし『宝くじに当たる』とか『金鉱脈を発見する』という良い運命だった場合、我が社がこっそりとその情報を横取りして、A&L商会がその金鉱脈を先に掘り尽くす(運命を奪う)のよ! 自分の幸運を守りたければ、【幸運保護サブスクリプション】を払いなさいってこと! 究極のマッチポンプ・運命の恐喝ビジネスの完成よ!!」


 不幸な未来からは救済の名目で金を巻き上げ、幸福な未来からは嫉妬の名目で金を巻き上げる。

 もはやマフィアの「みかじめ料」すら可愛く見える、惑星の因果律そのものを人質に取った究極のカツアゲだった。


「さ、最高ねルミア社長! じゃあ、今すぐこのラプラス・エンジンの試作機を起動して、私が『明日の夕飯のメニュー』を予知するテストを――」


「――私の許可なく、君の『未来』を、勝手に計算機に委ねるなど、許されると思っているのか?」


 ふいに、執務室の空気が物理的に凍りつき、絶対零度の冷気と、極上の威圧感が部屋中を満たした。

 重厚な扉が開く音すらなく、漆黒の軍服に身を包んだ帝国の影の皇帝、ユリウス大公が私の背後に立っていた。


「ゆ、ユリウス様! お疲れ様です! どうですか、私たちの究極の未来支配ビジネス!」


 しかし、ユリウス様のアメジストの瞳は、これまでに見たことがないほど剣呑で、ドロドロとした独占欲と、機械システムに対する絶対的な殺意に満ちていた。

 彼はスタスタと白板に歩み寄り、私が描いた『ラプラス・エンジン』の図面を鋭く睨みつけた。


「アリス。君はこの機械で、世界中のすべての未来が百パーセントの確率で分かると言ったな。……それはつまり、君と私の未来すらも、このチンケな機械が【決定】してしまうということか?」


「えっ? あ、いや、決定するというより、あらかじめ決まっている因果律を読み取るだけで……」


「絶対に許さん」


 ドゴォォォォンッ!!

 ユリウス様から放たれた圧倒的な魔力プレッシャーで、執務室の机が真っ二つに割れ、私の手元にあった試作エンジンのコア(水晶)が、一瞬にして微塵に粉砕された。


「ゆ、ユリウス様!? 私の徹夜の試作品が!!」

「君の過去も、現在も、そして君が明日見る景色も、百年後に流す嬉し涙も……君の未来のすべては、私の意思あいによってのみ創り出される。私と君の未来を、因果律だの確率だのという得体の知れない法則に決定されるなど、想像しただけでこの宇宙のことわりを物理的に消滅させたくなるほどの殺意が湧く」


 それは、常軌を逸した、運命(神)レベルでの絶対的な全肯定と束縛だった。

 妻の未来を計算機に当てられるのが嫌だから、運命そのものを力業で捻じ伏せると言い張る男など、世界中のどこを探してもこの魔王パトロンだけだろう。


「大公閣下。いくら貴方でも、理不尽が過ぎますわよ。アリスの演算テストができなければ、この世紀の未来ビジネスが頓挫してしまいますわ!」

 ルミアが呆れたように抗議するが、ユリウス様は氷のような視線で彼女を一瞥しただけだった。


「私の妻の未来をテストする必要などない。……アリス、この『ラプラス・エンジン』の出力結果を、私の魔力波長で強引に上書きしろ」

「う、上書き?」


「そうだ。他の羽虫どもの未来はどうでもいい。だが、誰かが『アリス・フォン・ヴァルハイトの未来』を検索した時は、過去・現在・未来のいかなる時間軸においても、ただ一つの確定事項だけが表示されるようにしろ」


 ユリウス様は、不敵に笑って私を見下ろした。


「【アリスの未来は、永遠にユリウスの腕の中にあり、一切の悲しみも痛みも存在しない、絶対的な愛の極致にのみ収束する】と。……それ以外のバッドエンド(可能性)が存在するなら、私が世界線を何度でも物理的に破壊して、この結果に強引に結びつける。……君の運命の決定権は、私にある」


「ひゃっ……!? ゆ、ユリウス様、それはもう未来予知というより、私の人生に対する完全無欠のスポンサー契約(永久保証)じゃないですかっ!!?」


 私が顔から火が出るほど真っ赤になって抗議するが、もはや暴走した大公閣下の愛の暴力を止めることは誰にもできない。

 私の純粋な未来革命は、彼の手によって「妻に一切の不安を抱かせず、どんな世界線でも強引にハッピーエンドにねじ伏せるための絶対運命防衛システム」へと完全に組み込まれてしまったのである。


「(……ほんと、どこに行ってもこの二人のイチャイチャには頭が痛くなるわ。まあ、大公閣下の魔力がシステムにリンクしたことで、演算エンジンの処理能力が神の領域まで跳ね上がったから、ビジネスとしては最高ね)」

 ルミアは、呆れ顔でヒマ端末を叩きながら、悪びれる様子もなく新たな事業計画書を完成させた。


 ◆◆◆


 それから数日後。

 『アストラル・ルナ』の通信網を通じて、世界中のヒマ端末に【A&L ラプラス・エンジン(未来予知アプリ)】のサービス開始が通知された。


 帝都の裏社会を牛耳る、とある巨大商会のボスの屋敷にて。

 ボスは、冷や汗を流しながらヒマ端末の画面を見つめていた。


「おい……嘘だろう。明日、俺が移動中に乗る馬車の車輪が外れ、崖から転落して死ぬ確率……【100%】だと!?」

「ボス! 別の占い師に見てもらっても、全員が『明日は大凶、死の相が出ている』と言っています! このアプリの予知は本物です!」


 部下たちがパニックになる中、ボスのヒマ端末に、ルミアからの【特別通知】がポップアップした。


『A&L プレミアム・デスティニー:ご案内。貴方の明日の【確定した死】を、当社の気象操作および空間転送インフラを駆使して【強引に生存ルートへ書き換え】ます。料金:貴方の商会の全資産および、今後百年の利益の八割(A&Lペイ決済のみ)』


「な、なんだとぉぉぉ!? 全資産だと!? そんな無茶苦茶なカツアゲがあるか!!」

「しかしボス! 払わなければ明日死にます!!」


「ええい、払え! 背に腹は代えられん! 命さえあればまた稼げる!!」

 ボスが血の涙を流しながら『支払い』のボタンを押した、その瞬間。


『ピロロン! 運命の書き換えが完了しました。明日の馬車は、我が社の空間転送で安全な場所にワープします』

 無機質な電子音と共に、画面の死亡確率が【0%】へと変化した。


 文字通りの『運命の定額制サブスク』。

 自らの努力では絶対に回避できない死の運命を突きつけられ、彼らは「課金」という名の生命線を握られたまま、永遠に魔導商会に資産を吸い上げられ続ける奴隷と化したのである。


 幸福な未来を持つ者はそれを奪われまいと課金し、不幸な未来を持つ者はそれを回避するために課金する。

 世界中のすべての人間は、自らの『見えない明日』という最後の希望すらも、魔導商会A&Lのシステムに完全にハッキングされ、吸い上げられ続ける軍門に降ったのである。


 ◆◆◆


 その恐ろしい運命支配の真実を、文字通りの『地獄の底』で支えている者たちがいた。

 グランド・リヴァイアサンの地下最下層、魔力自家発電プラント(懲罰房)。


「ウガァァ……!! ギァァァァ……!!」


 巨大な鉄の回しハムスター・ホイールの中で。

 前回の「才能抽出」によって知性と記憶を完全に消去され、ただの獣(筋肉ダルマ)と化したギルバート元王子とザイード元王子は、ヨダレを垂らしながら本能のままに全速力で走り続けていた。


 彼らの目の前に設置された巨大モニターには、現在彼らの電力で処理されている『世界中の未来演算結果』がリアルタイムで表示されている。


『あらあら、元・殿下たち。知性が消えても足だけはよく動くわね』

 頭上のスピーカーから、ルミアの冷酷な声が響く。


『いいこと? 今日から貴方たちには、世界中の全人類の未来を計算するための「超・因果律演算マナ・サーバー」の電力を賄ってもらうわ。……でも、知性がないまま走らせるのも、少し面白みに欠けるわね』


 ルミアは、ヒマ端末を操作して、ある『えげつないコマンド』を実行した。


『特別に、貴方たちの脳の【恐怖を感じる部分】と【少しの言語理解力】だけを復元してあげる。……そして、ラプラス・エンジンが弾き出した、貴方たちの【未来】をモニターに映してあげるわ』


「……あ? はっ……!? 俺は……俺は一体……!?」

 ギルバートの瞳に、わずかな理性が戻った。

 しかし、彼が正気を取り戻した直後、目の前の巨大モニターに映し出された【自分の確定した未来】の映像を見て、彼は完全に絶望の底に叩き落とされた。


『未来予測:百年後』

 映像の中のギルバートは、今と全く同じ姿で、全く同じ回し車の中を走っていた。


『未来予測:一千年後』

 グランド・リヴァイアサンは宇宙空間を飛び立ち、銀河を支配する巨大な宇宙戦艦へと進化していた。しかし、その地下の最下層で、ギルバートは相変わらず回し車を走っていた。


『未来予測:一億年後』

 太陽系が寿命を迎え、宇宙が終焉(熱的死)を迎えようとする中。アリスの魔法で永久保存された回し車の中で、ギルバートはただ一人、無限に走り続けていた。


「なっ……!!? あ、あああぁぁぁぁぁっ!!!」

 ギルバートの顔が、恐怖と絶望で完全に蒼白になった。


「嘘だ! 嘘だろ!? 俺の未来には、救いも、死すらも存在しないというのか!? 永遠に……永遠にこの車輪を回し続けるだけが、俺の運命だというのかぁぁぁ!!!」


『ええ、その通りよ。アストラル・ルナの演算結果は絶対。貴方たちは、宇宙が滅びても我が社の動力源として生き続けるの。……さあ、自分の確定した絶望(未来)を理解したなら、もっと死ぬ気でペダルを踏み込みなさい!! 足を止めたら熱板で丸焦げよ!!』


「ひぃぃぃっ!! や、やめろぉぉぉ!! 殺してくれ!! いば殺してぐれぇぇぇ!!」

「アリスぅぅぅ……! 俺が悪かった! 頼む、運命を……俺の運命を書き換えてくれぇぇぇ!!」


 かつて私を無能と嘲笑い、自らの地位にあぐらをかいていた愚かな男たちは、自らの「絶対に終わらない無限の労働」という未来を明確に悟らされ、究極の絶望の中で一生走り続ける運命にあった。


 ギルバートの悲痛な絶叫は、永遠に等しい時の牢獄の中で無限に反響し、誰の耳にも届くことはない。

 彼らの流す絶望の涙は、最強のエンタメ帝国と運命支配を支えるための極上のエネルギーとして、今日も一滴残らず吸い尽くされていくのであった。


 ◆◆◆


 その日の夜。

 グランド・リヴァイアサンの最上階、ペントハウス。

 世界中を狂乱の未来支配で支配した熱狂など一切届かない、絶対不可侵の静寂の中で。


 私は、ペントハウスのバルコニーで、ユリウス様の広い胸の中にすっぽりと収まり、彼の力強い鼓動を聞いていた。


「……アリス。世界中の人間が、あの機械が弾き出した未来に一喜一憂し、恐怖している。……だが、君だけは何も恐れる必要はない」


 ユリウス様は、私の銀髪を愛おしそうに撫でながら、極上に甘く、そして狂おしいほど熱い声で囁いた。


「ゆ、ユリウス様……。私、自分の未来がどうなるか、全然知りたくないです。だって、明日何を作るか、自分で決める方が絶対に楽しいですから」

 私が顔を上げて彼のアメジストの瞳を見つめると、彼は私の頬を優しく包み込んだ。


「ああ。君のその自由な魂こそが、私の世界を照らす唯一の光だ。……君の未来は、君の好きに描けばいい。もし君の描いた未来の途中に障害があるなら、私がすべて物理的に排除する。もし君が失敗して転びそうになったら、私が宇宙の法則を捻じ曲げてでも君を抱き止める」


 帝国最強の影の皇帝からの、運命(世界)すらも凌駕する、逃げ場のない独占と愛の誓い。

 彼の言葉はどこまでも重く、狂気じみているのに。私はその圧倒的な庇護と熱に、完全に心を奪われ、ただ彼に寄り添うことしかできなかった。


「……はい。私、ユリウス様が守ってくれるこの腕の中で、ずっと私だけの未来を創り続けますから」


 私が彼のアメジストの瞳を見つめ返し、そっと口付けを交わすと、彼は限界まで理性を吹き飛ばされたような瞳で私を抱き上げた。


「ああ。君のすべてを、永遠という名の未来の果てまで、骨の髄まで愛し尽くしてやろう」


 世界中の人間の運命をビジネスに変えたえげつない計画の裏で。

 私たち二人の、誰にも邪魔されない、そしてどんな演算機でも予測できない甘すぎる愛の時間は、果てしなく深く、無限に続いていくのだった。


(第32話 終わり)

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