居眠り
目を閉じる
父の横顔
照らし出す
スタッフロール
下から上へ
小学生のころ、父にねだって映画館に連れて行ってもらった。
有名なテレビアニメの劇場版で、毎週欠かさずに放送を見ていたのでどうしても見たくなってしまったのだ。
普段からアレコレ物をねだるほうではなかったので、私の願いはあっさりと聞き入れられた。
当日、朝はいつもより早起きして元気に支度。
前売りチケットをもって、父と共に映画館に向かう。
周りは自分と同じくらいの親子連れで込み合っている。
せっかくならポップコーンを食べようと父が言った。
私は食が細かったので、一番小さいものを買ってもらった。
映画が始まった。
いつもはテレビで見ているキャラクターが、スクリーンに映し出されて躍動している。
アクションシーンでは、巨大なスピーカーが放つ音圧に思わず耳を塞いでしまった。
そしてクライマックス、悪役との戦闘が佳境を迎えたとき、私はなぜか父の方を見た。
そこには、映画館の座り心地の良い椅子に体を預け、深く寝入っている父の姿があった。
明滅するスクリーンを目の前に、耳を塞ぎたくなる轟音の中、私の父はぐっすりと寝ていたのだ。
エンディングが始まり、スタッフロールが流れ始めても父はそのままで、起きたのは劇場の照明が明るくなってからだった。
目を覚ました父は、清々しい表情をしていたからだ。
途中、何度か父を起こそうかと思ったのだが、やめておいた私の判断はきっと正解だっただろう。




