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天気雨
『ひと雨くるよ』と
わたしに言って
駆け出すあなたの
あとを追う
「あ、なんか降りそう」
そう言うが早いか、友人はわたしの手を引いて走り出した。
彼女には『これから雨が降る時の匂い』がわかるのだという。
「ほら早く、またびしょ濡れになっちゃうよ!」
雨が降っている最中や、降った後の匂いならわたしにもわかる。
仕組みとかはいまいちよく覚えていないが、どこかの言葉でペトリコールと呼ばれるものだ。
どんどん走っていく彼女に引っ張られて、屋根のある場所までたどり着いたところで尋ねてみた。
『雨が降る前の匂い』とはどんなものなのかと。
「うーん、なんて言えばいいんだろ。それまでジメッとしてた空気が、急にサラッとするというか」
……それは匂いというより、湿度の変化なのでは?
わたしがそう言いかけたとき、雨が降り出した。
「やっぱり!アタシ、今日も冴えてるな!!」
彼女はそう言って、太陽のような笑顔を私に向けた。




