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カジロウは王宮の入り口で骨達の動向を監視していた。
シナガワ王は数名の部下と共にロビンス達を待ち、王宮の廊下で待ち構えている。
「ガハハハ!来たか!人間共!
俺様はシナガワの王!クロコダイルだ!」
「我が名はロビンス!お前の首を貰い受けに来た!」
『5名はロビンスと共にパワックの残党狩りを……残り5名はレーザーポインターを警戒に集中!』
隊長達は突撃し、王の周りのパワック達と次々斬り結んでいく。
ロビンスとクロコダイルはしばらく睨み合っていたが、先に動いたのはクロコダイルだった。
「ウォォォォ!若造が!どいつもこいつも俺様を舐めやがって!」
クロコダイルは斧を脇に構えて走り出し、ロビンスに対して力一杯振った。
ロビンスは力の流れを読み、クロコダイルの斧を受け流して肩を切り裂く。
「グゥッ!生意気な人間だな!死ね!」
「フンッ!」
クロコダイルは口を開けて何かを吐こうとしたが、ロビンスの剣は口を縦に貫き開口することが出来なかった。
ロビンスは左手で腰に付けたナイフを取り出し、クロコダイルの心臓に突き刺した。
「ぐ……ぐぷっ……クソァ!」
「……呆気ないが終わりだな……」
突然、王宮の奥の暗闇から赤いレーザーがロビンスの喉元目掛けて射した。
「お前がな!」
《パチュ》
「ヒュ……ヒュー」
ロビンスは渾身の力でクロコダイルの首をはねた後、武器を離して喉元を抑え、膝を付く。
『カジロウ様!レーザーですが、距離はかなりある様子……感知は届きませんでした!』
奥から声が聞こえてくる。
「はははは!超簡単にやられちまったな!ロビンスくんよ!すげー気分いいぜ!」
「ヒュー……」
「ゴメ!能力の使い様によっちゃ!強いから!苦しそうだね?ははははは!ホントゴメ!」
《パパパパパチュ》
ロビンスの顔や胸や腕は次々レーザーを当てられ、ポコポコと抜き取られていく。
「どう!?どう!?どうしようもないだろ?」
……う……少しだけ、ウザイなこいつ……
そんなに嬉しいのか……
ゴメ!じゃなくてゴメン!ってちゃんと発音してくれないかな……うう、イラっとする
『まぁいい!一人はロビンスを……他の者はレーザーの来た方に行き、詮索しろ!』
ロビンスは隊長に必死に抵抗したが、王宮の外まで引き摺られる。
「おっ?真打?やってやるよ!俺はやってやる!」
突撃している隊長の膝関節が次々レーザーで抜かれて、3体が床に倒れた。
「アハハハハ!よわっ!楽勝!」
骨達が気配を確認する。
『前方のドアの向こう側から撃っている様です!』
「近づいてきやがったなぁ!やってやる!」
犯罪者がドアから離れ、部屋の中央に歩いている。
骨達はドアを破り、部屋に雪崩れ込んだ。
部屋は全面鏡張りで構成されていた。
「アハハハハ!終わりだな!」
犯罪者はアルミホイルで作った様な鎧を装備して部屋の中央に立ち、大笑いしながらレーザーを照射する。
レーザーの光は鏡に拡散され、部屋中にレーザーが照射される。
《パチュ》
骨達がポロポロに抜かれて倒れ、抜かれた破片が犯罪者のレーザーポインターを持つ手から落ち、散乱する。
「アハハハハ……」
……確かに知らずに入ったら死んでたな……
だけどこんな能力じゃ、籠城しても大して脅威になら無いのに……何を狙ってんだ?
「ヒュー」
「ロビンスくん……カジロウさん!中では一体何が!」
「わからないよ……イタタタ!離せ!」
ゼスタはカジロウの耳を強く引っ張り口元に寄せた。
「カジロウさん……本当は?隠してばっかりいると耳が無くなりますよ?」
「痛い!取り敢えず離してぇ!」
必死にゼスタの手にしがみつくが、女とは思え無い握力で掴んでくる。
「ヒールも効かないんです!ロビンスくんは一刻を争うんですよ!……なんです?」
少し前に川上から到着したカイゼンハーツがカジロウとゼスタの肩に手を置く。
『私におまかせ下さい……』
「わかってるよ!死力は尽くす!カイゼンハーツと将軍を連れて行く……」
「私も行きますからね……こんな事する子にはお仕置きが必要です!それに掌の借りもありますし!」
犯罪者には聞きたい事、ゼスタに聞かれたくない事が一杯ある。
「ちょっと待って!ロビンスを見ててよ!」
「ヒールが効か無い以上、ここに居ても意味ないですから……」
「ゼスタ!そんなの酷いよ!」
ロビンスは息を荒くして、ゼスタはそれを見ている……いいぞ!もっとやれ、ロビンス!頑張れ!
「ロビンスくん……」
「ヒュー……」
ロビンスはヨロッと四つん這いになり、ゼスタの背中を押して倒れた。
ゼスタの顔が明るくなる。
「ね?わかりませんか?ロビンスくんも……」
「わかったよ!」
……まったく!タフだな!ロビンスも根性出して頑張らなくて良いのに……
倒れながらプルプル痙攣する位のサービスしてくれてもいいだろ!
『カイゼンハーツ、何か考えがあるか?……出来れば生け捕りにしたい』
『御座います……カジロウ様も見た事あるでしょう?あの魔法です』
『……ああ、あれね……犯罪者の能力に有効なのかな?』
『まぁダメなら部屋ごと炎で消し飛ばしてご覧にいれます……』
カジロウは将軍とカイゼンハーツ、ゼスタと共に王宮へ入っていく。




