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宝島で逢いましょう  作者: 沖藤 花香
第一章 はじまり
4/7

4.

ネットカフェから出てきた章斗は、一瞬息を飲んだ。

同じ場所でも夜になれば、全く別の場所のようだと感じたからだ。

さすが名古屋の街だ。昼間と変わって、金山の街は光で蠢いていた。

今まで自分が居たネットカフェも、夜はブルーのライト等で看板や入口がライトアップされていた為、この店のマークは魚のようだったことから、このブルーのライトで海をイメージさせていたのかと気付き、少し関心を持った。

翔馬との待ち合わせ場所は駅前の『明日なる』という野外ショッピングモールのような所だった。大きくもないがステージもある為、イベントやライブ等もよく開催されているらしい。

「よう。待たせてごめん。」

謝りながらも笑顔でそう近づいて来たのは、上原翔馬うえはらしょうまだった。

「お疲れ様です。」

章斗も敬語を使いながらも、軽い感じで返した。

二人は久しぶりの再会で嬉しい様子であった。

「章斗、元気だったか。」

「まあまあですよ。」

曖昧に章斗は応えた。

「引っ越しはどうしたの?もう終わったの?」

翔馬は思い出したかのように、聞いた。

昨日出発を決めた人間が住む家まで見つけて、引っ越しを完璧に終わらせているわけがないと章斗は思いながら、「いや・・さすがにまだですよ。」と答え、こんな天然な質問は翔馬らしいなと思いながら、このやり取りを通して懐かしさを増に感じていた。

「え?!家まだ決めていないのか。じゃあどうする気だ?」

翔馬は真顔で聞いている。

章斗はさっきの質問はやはり本気だったのだなと思い、心の中で苦笑した。

「上原が仕事している間に、ネットカフェで探してみた。いくつか候補もある。」

そう言いながら、ネットカフェで印刷してきた物件情報の紙をボストンバックから取り出した。

四枚の紙を翔馬は受け取り、一枚一枚目を通していた。

「それで、不動産には行ったの?」

紙を持ったまま、章斗の目を見て翔馬は聞いた。

「いや・・・。」

章斗も翔馬の顔をチラッと見てから答えた。

「よし。じゃあ不動産へ行こう。まずどこから行く?」

翔馬は印刷した紙を二つ折にたたみながら言った。

 章斗は家が決まるまで、せめて今日くらいは翔馬の家に泊めさせてもらえると思っていた為、少し狼狽した。

 一番近いところから廻ろうともなったが、家賃や条件から考えると、高畑にある物件が一番都合よかった為、少し遠かったが高畑まで行くことにした。

 高畑まではJR東海道線で名古屋駅まで行き、市営地下鉄東山線へ乗り換えて、中村公園方面の終点だった。章斗は地下鉄に乗るのも初めてだった為、しどろもどろしていた。

翔馬といえば、乗り物酔いをする為、電車の中では少し気分が悪そうに、顔をしかめていた。

 地下鉄から降り地上に出ると、二人は無意識に深呼吸をしていた。

高畑は金山と雰囲気は全く違っていた。住宅も多いし学習塾も数件あるようで、学生が多く感じた。金山といえば、パチンコやカラオケ、居酒屋、キャバクラなど飲み屋やアミューズメントが多く、眠らない街のようだった。同じ名古屋市内とは思えない。ここなら金山よりは住みやすいかもしれない。そんなことを章斗は思いながら、翔馬と駅前の不動産に入った。

 不動産の店員にネットカフェで調べた物件について問い合わせをしてみたが、保証人が必要という事や、初期費用が高いという事などデメリットしか出てこなかった為、保証人なしで、ある程度初期費用を抑えて入居できる物件はないのかと章斗が尋ねると、「あと今すぐ入居できる所で。」と翔馬が付け加えるように横から言ってきた。

 そこらへんは、相変わらずちゃっかりしているなと思い、章斗は苦笑した。

「調べてみます。」と男性の店員はいい、棚に入っている資料やパソコンで調べだした。

 少しして、印刷した紙を「お待たせしました。」といいながら、二人の前に置いた。

その物件は高畑駅から五分くらいのところにあった。条件も全て満たしていた。

章斗は物件を見に行くこともなく、そのアパートに住むと決めた。

 


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