3.
章斗を乗せた飛行機は、無事に地上から離れた。窓を見下ろすと、生まれ育った大好きな島が、綺麗な青い海に囲まれている。
上空から見ても海の透き通りがよくわかるくらいだ。沖縄の海は本当に綺麗なんだなと、改めて思った。
次、この島に来るのはいつになるだろう。
またこの青い海を見る時は、翔馬との夢が叶う時だ。名古屋で頑張ってお金を貯めて、必ず沖縄で飲食店を出すのだ。
章斗の決意はとても固いものだった。
しばらくして章斗は眠くなり、うとうとしていた。その時ぼんやり夢を見た。夢の中でも章斗は飛行機に乗っていた。だけど一人ではない。翔馬かなと思ったが、翔馬でもない。どうやら同じ年くらいの女が隣に座っているようだ。栗色の長い髪の女の子だ。白いワンピースを着ているせいか、ますますぼんやりした光景に見える。その女の子はずっと飛行機の窓を見ていた。誰なんだろう・・・夢の中で思った。
飛行機は昼前に中部国際空港に到着した。
到着ロビーに出て、深呼吸をしてみた。確かになんだか違和感がある。
息苦しいなと感じた。空気も冷たく、寒いなと思った。
ポケットから携帯電話を取り出し、上原翔馬から届いていたメールを見直した。
そこに翔馬の住んでいる住所が記載されている。
どうやら翔馬は名古屋市中区にある金山という地域に住んでいるらしいが、空港からの詳しい移動手段が記入されておらず、電車などない沖縄で育った章斗には、ちんぷんかんぷんな事だった。
仕方なく空港のインフォメーションで聞く事にした。名鉄という赤い色の電車で金山という駅で降りればいいと聞いた。ミュースカイという別途料金を払って乗る特別電車だと25分くらいで着くとも聞いたが、翔馬は仕事中だし特別急いでいるわけではなかったので、普通電車に乗ることにした。それでも乗った電車が特急電車だった為、30分くらいで金山駅に到着した。
ごちゃごちゃ人がごったかえしている中、どう出口に進んでいいかわからず、取りあえず、人の流れについて行くことにした。改札を出ると、とても寒かった。章斗は今まで沖縄県から出た事がない。三月でも沖縄は暖かい為、薄着であった。寒いなと小さくつぶやきながら身震いをした。腕時計を見るともうすぐで午後2時になるところだった。そういえばお昼を食べていない事を思い出し、駅の中に入っているファーストフード店に入った。翔馬の今日のシフトは午後6時までだと聞いていた。
あと四時間どう過ごそうか迷った。外はとても寒かったので、駅前にある漫画喫茶で時間をつぶすことにした。
店内に入り受付を見ると、どう見ても清潔感のないような男性が、「12時間パック入りなおしで」と受付のスタッフに話しているところだった。グレーのスウェットズボンの裾はボロボロにすたれており、髪の毛も無造作に伸びきっている感じだった。
その姿を見て、この人は家がないのかなと思い、漫画喫茶に来るお金があるのなら、安いアパートでも借りたらいいのに。と思うのと同時に章斗は大切な事を思い出し、無意識に体をピクンと動かした。
そうだ。自分も住まいを見つけなくては。章斗は沖縄で頑張って貯めた30万円と、このボストンバックしか持ってきていない。家のことなどスッカリ忘れていたのだ。
漫画喫茶に入ったから丁度いい。パソコンでいろいろ調べてみることにした。




